【ライブレポ・インタビュー】野口五郎、変わらぬ美声を響かせた45周年記念ライヴ、板野友美と早見優がサプライズ出演でデュエットを披露

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<インタビュー>
野口五郎 45年の活動を振り返るインタビュー
“改札口で待ちすぎたんじゃないですか”


オーチャードホールでのデビュー45周年記念コンサートでは、変わらぬ美声で観客を魅了した野口五郎。豪華女性陣と全曲デュエットしたアルバム『風輪』も発売目前だ。そんな彼が、デビュー前後の話やアイドル時代の新御三家の話、さらにあの名曲にまつわる驚きの裏話まで、記憶をさかのぼって語ってくれた。

――コンサート、お疲れさまでした。どの曲も昔のままのキーだったのもすごかったし、声も歌い方も以前よりパワフルになっているようでした。声をキープするためにどんなことをしているんですか?

野口五郎:いや、何もしていないんですよ。これはDNAだなって思ってるんです。父も歌ってましたし、僕のひいじいちゃんは人形浄瑠璃の語り部をやってたりしたんで。キーを変えずにこうやってずっと歌えるっていうのも、努力ではどうにもならないことなんじゃないかな。

――でもなにか特別に気を付けていることってあるんじゃないですか?

五郎:いやなにもないです。辛い物も食べますし。

――今日は昔の映像も見られましたし、初期の曲も本当によかったです。

五郎:16歳のころの曲でしたね。

――若いときのことを恥ずかしがる人も多いですけど、五郎さんにとってあのころのことは、ご自身の原点として大事な部分なんですね?

五郎:そうですね、今はできないことですから。執念というか絶対トップを獲ろうという気持ち。あのころはそれしか考えてなかった。当時、同じようにトップを獲ろうと考えていたのが天童よしみちゃん。だからお互いに印象に残って覚えてるんだと思います。

――演歌でデビューしたとき、その後大ヒットを連発して今のようなアーティストになっていく、そんな未来は想像できましたか?

五郎:いや、それはまったくないですね。僕はもともとギターを弾いて歌っていて、歌手になる予定で上京したのに、2週間で変声期になった。それからの2年間は色々やりましたよ。スクールメイツに入って、ロックバンドでギターを弾いて、演歌も習っていた。それぞれにデビューの話があったんですけど、僕はグループでやりたくなかったんです。そのとき一人でやれるものがたまたま演歌だったから、それでデビューしたんです。あの時代って、あまりジャンルは関係なくて、なんでもいいからデビューできればいい、レコードが出せれば勝利っていう、そんな時代だった。だから売れるなんていうのは夢のまた夢で、デビューがゴールなんです。だからデビューした後も、次はどうしようなんて何も考えてなかった。

――すぐ次の曲の「青いリンゴ」で、ポップスに変わったのは?

五郎:それも最初から決まっていたことではなくて。そのころ、バイトで雑誌のモデルをやっていたんです。メインは女の子なんですけど、その後ろとかに写ってる男の子のモデル。そうしたら読者の女性から編集部にファンレターが来るようになった。それで、もしかしたらポップスのほうがいいんじゃないか、という話になったんです。

――そこからヒット連発で、70年代のアイドルブームを引っ張る立場になりましたよね。

五郎:僕の1年先輩は、団塊の世代の錦野旦さん。だから錦野さんから僕までぽっかり空いていて、突然僕がデビューするんですね。その後に秀樹とかひろみとか、昌子、百恵、淳子が出てきて、アイドル世代ということになりました。でも僕は当時、アイドルって、プロ歌手の予備軍みたいなイメージがあってあまり好きじゃなかった。だから、どうしたらちゃんとしたプロ歌手になれるのかと思って、もっと勉強しようと思って色々なものを聴きました。19歳までにフィルハーモニーの譜面を書けるようになろうと決めて勉強してたんですけど、17歳くらいでミキサーに凝り始めちゃって(笑)。


▲『風輪』(DVD付き)


▲『風輪』

――アイドル時代は秀樹さん、ひろみさんとともに“新御三家”と呼ばれていましたが、その中の当人としてはどんな意識だったんですか?

五郎:どうでしょう。新御三家ってマスコミが作った言葉なんで、僕自身はさほど意識してなかったかもしれません。今だから言えることだけど、僕は洋楽もよく聴いていたから、この曲いいよ、ってひろみに教えたり。そんなことしていましたね。まあ、同級生みたいな感じだったかな。僕の1年後に秀樹、ひろみって、順に彼らがデビューしてきたのが、僕はすごくうれしかったんです。

――そのころの五郎さんで印象に残っているのが、ご自分の番組でコントを積極的にやっていたこと。あの時代のアイドル、スターとしてはすごく珍しいタイプでしたよね。

五郎:僕は、テレビ創生期の大先輩の影響をすごく受けてるんです。クレイジーキャッツとかドンキーカルテットとか。ハナ肇さんにはすごくかわいがっていただいたし、谷啓さんはディナーショーにずっと来ていただいていた。大橋巨泉さんとか小野ヤスシさんとかいかりや長介さんとか、そういうバンド系の方たちにかわいがってもらってたんです。そんな中で、音楽って“間”なんだなということを学びました。ギャグだって、いきなり“ガチョーン”じゃなくて、“ンッガチョーン”って8分休符で来るんだって(笑)。みんな音楽じゃんって。そういうところから色々学んで、僕にもできるかなと思いました。もともとは人を笑わせるのが好きなタイプではなかったんですけど、やってるうちに、これは難しいけど面白いなと。笑わせる“間”っていうのは1つしかないんだなと思ったときに、これはすごいことだな、と。

――笑いもやはり音楽と結びついてるんですね。

五郎:そうです。全部音楽なんです。

――TVの歌番組でギターを持って歌って、自分でソロも弾くっていうスタイルも珍しかったですよね。

五郎:そうですね、あまりいなかったな。ギターはレコーディングでは弾いていたんですよ。でも当時は、アイドルはあまり器用ではいけないような風潮があって、クレジットもされてないし、あえて自分ではやっていないふりをしていましたね。

――あの「私鉄沿線」のイントロのシタールも五郎さんが弾いているそうですね。

五郎:そうです。ほかの曲でも、18歳以降のものはたいがい自分でギターを弾いています。

――その「私鉄沿線」と「甘い生活」の2曲は、今日のライヴでも金メダルだとおっしゃってましたが、ファンにとってもやはり特別な2曲だと思います。

五郎:筒美京平先生とは、なにか特別なタッグを組んでいたような感じでしたね。「甘い生活」でいうと、サビのところは、“今では~”までは譜面に書いてあるんですけど、その後は“フェイク”って書いてあったんです。

――えっ!そうなんですか? じゃあ、あれは五郎さんのメロディということですよね?

五郎:まあ、そうですね。あ、いや京平先生の曲ですよ(笑)。その中で京平先生が僕に歌わせた、ということなんだと思います。

――その次の曲が「私鉄沿線」。これはお兄さんの作曲ですね。

五郎:兄貴の曲って、わかっちゃうところがあるんです。やっぱり兄弟、性格が出ますからね。兄貴だなぁって思いましたよ。今は好きですけど、実は当時は微妙なところもありました。お互い突き詰めて音楽をやってきたから、ちょっとした違いがすごく大きくなっちゃうんですね。

――「私鉄沿線」や「甘い生活」は昨年の『The birth GORO anniversary』にも新しいバージョンで収録されていましたが、オリジナルと比べてニュアンスが少し変わってきたように聴こえました。

五郎:改札口で待ちすぎたんじゃないですか(笑)。まあ、歌詞の解釈が変わってきたというのはあるでしょうね。当時これを歌っていたころは反抗的でしたから。“待ちたくねぇ”って(笑)。今のほうがもしかしたら“待ってる感”が出てるのかな。なんかもうずっと待っていそうな(笑)。

――デビュー以来45年、もっとも印象に残っていることってどんなことですか?

五郎:いやあ、それは全部ですねぇ。45年すべてだから、端折って話しても3日はかかる(笑)。最近面白いと思ったのは、今回『風輪』の中で若いアイドル系の人たちとも一緒にやったんです。僕には自分が宝物だと思っている財産があるんですね、歌い方とか発声のしかたとか。これまでは、もったいないから誰にも教えまいとしてきたんです。でもそれをちょっと教えてあげたら、若い子たちはびっくり仰天するんです。これは面白いと思いましたね。若い子が知らないことを教えてあげるのって、すごく面白い。

――ではこの45年間で大きく変わったことは?

五郎:我慢することを覚えました。いつからなのかわからないけど、たとえばステージをやっていても、感情移入しすぎてどっぷり入り込んじゃうことがなくなりました。その曲の感情になろうとする95%の自分がいて、冷静な5%の自分がそれをコントロールする。その5%というのが難しいんですけど、そういうことが少しずつできるようになりましたね。

――これから目指すことは?

五郎:今日はステージでカラオケも使いましたが、目指すのはカラオケの第一興商さんと一緒に1億2千万人を総歌手化することですね(笑)。

取材・文●田澤仁

なお、野口五郎アルバム『風輪』(2/22発売)の先行試聴会イベントが2月19日に開催される。このイベントでは、収録楽曲を、いち早く野口五郎と視聴でき、野口五郎自身による曲解説も行われる。

開催は、2月19日(日)1部 14時~、2部 16時~(各1時間ほどを予定)。mu-moショップにて、『風輪』(先行試聴会イベント抽選対象商品)を2月10日(金)正午までに予約した人から抽選で160名様が招待される。

ライブ・イベント情報

<2月19日 野口五郎アルバム『風輪』(2/22発売)先行試聴会イベント>

野口五郎 アルバム『風輪』mu-moショップ予約オリジナル特典イベント
※抽選申込は~2/10正午まで!

収録楽曲を、いち早く野口五郎と視聴できるイベント開催。野口五郎自身による曲解説も行います。

●試聴会イベント開催概要
日時:2017年2月19日(日)1部 14時~、2部 16時~(各1時間ほどを予定)

場所:都内某所にて
※1部、2部のお時間のご指定はできません。
※ご当選された方は、ご入場時に、ワンドリンク(¥1,000)を、頂戴いたします。予め、ご了承ください。

<応募方法>
mu-moショップにて、2月22日(水)発売 野口五郎アルバム『風輪』(先行試聴会イベント抽選対象商品)を2月10日(金)正午までにご予約いただいたお客様から抽選にて160名様をご招待いたします。※ご購入いただいた時点で自動的に抽選対象となりますので、別途ご応募頂く必要はございません。
<mu-moショップ販売ページ>
<先行試聴会イベント抽選対象商品>風輪(CD+DVD)
http://shop.mu-mo.net/a/item1/?jsiteid=mumo&seq_exhibit_id=189128
<先行試聴会イベント抽選対象商品>風輪(CD)
http://shop.mu-mo.net/a/item1/?jsiteid=mumo&seq_exhibit_id=189127

リリース情報

デュエットアルバム『風輪』
発売日:2017年2月22日

<CD+DVD>
●DVD映像内容
ジャケット撮影、レコーディング風景&コメント映像
IOCD-20373/B 3,780円(税込)
<CD>
IOCD-20374 3,240円(税込)

●CD収録曲
「愛が生まれた日」/ 早見優
(オリジナルアーティスト:藤谷美和子・大内義昭)
「今だから」/ 信近エリ・小野賢章
(オリジナルアーティスト:松任谷由実・小田和正・財津和夫)
「愛の奇跡」/ 沢田知可子
(オリジナルアーティスト:ヒデとロザンナ)
「ロンリーチャップリン」/ LiLiCo
(オリジナルアーティスト:鈴木聖美 with Rats & Star)
「東京ナイト・クラブ」/板野友美
(オリジナルアーティスト:フランク永井、松尾和子)
「AM11:00」/ callme
(オリジナルアーティスト :HY)
「別れても好きな人」/ 研ナオコ
(オリジナル(カバー)アーティスト:ロス・インディオス&シルヴィア)
「銀座の恋の物語」/ ひとみ
(オリジナルアーティスト:石原裕次郎・牧村旬子)
「冬のファンタジー」/ i☆Ris(芹澤優、若井友希)
(オリジナルアーティスト:カズン)
「もしかしてPART II」/ 小林幸子
(オリジナルアーティスト:小林幸子・美樹克彦)
ボーナストラック
「それぞれの時」/ 高柳明音(SKE48)


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