【インタビュー】丸本莉子「すごく辛い、苦しい、でもこの感情は歌にしたい」
■プレゼントを買ったあとは早く誕生日当日にならないかなって、ずっとソワソワしちゃって
■あげた時に喜んでくれたら、すっごい嬉しい気持ちになるんです
――「トロイメライ~人魚の夢~」は人魚姫のストーリーが好きだったから、いつか曲にしたいと思っていてできた曲なんですよね。人魚姫って、好きな人と結ばれず、最後は海の泡になるという悲しいストーリーですが、この楽曲は悲恋ではないんですね。そこに至るまでの途中の気持ちを描いたの?
丸本:ディズニー映画の『リトルマーメイド』はハッピーエンドなんですけど、どちらかというと、その人魚のイメージなんです。少し大人びた曲を書きたいなと思って作りました。Aメロの「残った体温が愛おしくて」のようなフレーズを入れて、大人っぽい、艶っぽい歌詞にしたいと思って、これが今の私の精一杯の大人なんです(笑)。
――遠距離恋愛風のラブソングとしても聴けますよね。
丸本:逢えない感情を歌にしたいと思ったので。ハッピーエンドなのか、泡になるのか、いろいろ物語があると思いますけど、この曲ではどっちも描かないようにしたんです。だから、確かに途中なんですよね。ここからどう転がっていくのかという。失恋した人が聴いてもいいし、片思いの人が聴いてもいいし、両想いで逢いたいけど今日は逢えないっていう人が聴いてもいい曲なんです。
――「トロイメライ」っていうのはシューマンの曲にもありますよね。
丸本:はい。大阪でライヴをした時にこの歌を披露したんですけど、「この曲のタイトルがまだ決まってないんです」という話をしたんですよ。歌詞がメルヘンチックなので、(スタッフの方に)「これが丸本莉子の体験談だったらダメだけど、人魚の恋ならリリースしてもいいよ」って言われて(笑)。だから、タイトルに「人魚」という言葉を入れて、あとは(色んな人に)「どんなタイトルにしたらいいと思う?」って聞いてみたんです。そうしたら、シューマンの「トロイメライ」という曲があって、「夢見心地」という意味だからいいんじゃないかと。
――みんなに支えられて完成した曲なんですね。
丸本:最後まで聴くとシューマンの「トロイメライ」のフレーズが入っているんです。それもヴォイトレの先生が「このタイトルにするんだったら、ちょっと入れたら?」ってアドバイスをくれて。アルバムだから出せた曲ですよね。私が好きで作った曲なので、ぜひ聴いてもらいたいなと思います。
――アレンジも気合が入っていますね。
丸本:平野晋介さんがアレンジしてくれたんですけど、この曲をアレンジするにあたって、『リトルマーメイド』を何回も見たらしいです。パソコンのデスクトップも人魚にして気合を入れてやってくれました。
――「ぷれぜんと」は恒例のワンマンライヴ「丸本ん家(ち)へようこそ~ぷれぜんとふぉーゆー」でお客さんのために書いた曲なんですね。
丸本:はい。去年のワンマンライヴにサプライズで新曲として披露しました。もともと私は家族のみんなにプレゼントをするのが好きなんです。もちろん誕生日もプレゼントをするんですけど、その時にいつも疲れるくらい悩むんです。いろんなお店を回って、こっちもいいけどあっちもいいって、行き来して、選ぶだけですごく疲れる(笑)。買ったあとは、早く誕生日当日にならないかなって、ずっとソワソワしちゃって、もうあげちゃおうかとか思うくらい。あげた時に喜んでくれたら、すっごく嬉しい気持ちになるんですけど、そういう気持ちをいつか歌にしたいなと思っていて。この曲はそれが実現できた曲。プレゼントをするってすごくいいですよね。
――どちらかといえば、相手が喜んでくれたら、その笑顔だけで自分がプレゼントをもらったような気になりますよね。すごくホッコリする。
丸本:はい。それを書きたくて。結構ストレートに書いた曲です。
――「たどりつく場所」は、瀬戸内海をイメージした曲ですね。
丸本:もともとは瀬戸内海のPRキャンペーンとして作らせていただいた曲なんです。瀬戸内海って対岸のすぐそばに街が見えるんですけど、上京する前は、海はやっぱり広くて水平線が見える方がいいって思っていたんです。でも、上京してみて、大きい海は大きい海で気持ちいいけど、瀬戸内海のような穏やかな波とか街が見える海って温かかったんだなと思って。そこが私の地元だなんて嬉しいなと改めて思って書いた曲です。
――自分のアイデンティティだもんね。
丸本:そうですね。私が実際に住んでいたところは山の方なんですけどね(笑)。でも、広島といえば瀬戸内海だし、東京で頑張れるのも帰る場所があるから頑張れるんだっていう、そんな思いも込めて「おかえり」っていう歌詞も入っているんです。旅で訪れた人が、次にまた訪ねたら「ただいま」って思ってもらえるような街だと思うので、そういう思いも入っています。
――「ご機嫌ベイベー★」はボーナストラックなんですよね。
丸本:はい。これは、3年前の曲なんですけど、今年、広島東洋カープがセ・リーグで優勝したから、特別に入れようということで。
――カープの中崎翔太投手の登場曲ですもんね。
丸本:はい。一昨年のワンマンライヴを中崎翔太投手が見に来てくれて、その時に「ご機嫌ベイベー★」がすごく好きだから、いつか、これを登場曲で使うって言ってくれたんです。そしたらその後、友達から連絡があって、「マツダスタジアムで莉子ちゃんの曲が流れてるよ」って教えてもらって、実際に使っていただいているのを知りました。
――約束を守ったんですね。それくらい気に入っていたんだ。
丸本:嬉しいですね。それから2年くらい使ってくれているので。優勝して、盛り上がっている中で、楽曲で関われたのはすごく嬉しかったです。でも中崎投手は本当にすごいですよね。1対2とかの僅差で、もう打たれたら負けっていう場面でいつも登場するわけですよね。精神的にかなり強い。
――メンタル強いですよね。でも、そこで「ご機嫌ベイベー★」が流れるんでしょ?
丸本:はははは(笑)。そうなんです。監督に、お前の顔は優しいから、睨むように、威嚇するように立てって言われているらしいのに、「ご機嫌ベイベー★」で出てくるという。
――この楽曲は女子を応援する楽曲ですよね。
丸本:はい。でも、男の子で好きっていう人が結構いるんです。プラス思考な楽曲だから、それがいいのかな。女子あるあるを詰め込んだ楽曲なんです。自分にいつも起こりうること。きっとみんなこんな感じだと思うんですけど。私自身、ネガティヴになることがすごく多いんです。そういう時にネガティヴを拭い去るような歌を作ろうということで、こういう楽曲が生まれるんです。こう思いたい、みたいな(笑)。
――こうありたいというのを歌にしたんですね。
丸本:はい。そういうのはよく歌に込めます。歌詞にあるように、フラれたって笑い飛ばすなんてできませんけど、笑い飛ばしたい!
――「曲にしてやる!」みたいなのもあるでしょ?
丸本:はい。すごく辛い、苦しい、でもこの感情は歌にしたい!そんな感じはあります。楽曲が書けた時には立ち直ります(笑)。
――ははは(笑)。すごい! それは笑い飛ばすのと近いですね。このミニアルバムは、聴き始めと聴き終わりの印象がかなり変わりますね。色合いがカラフル。
丸本:バラエティー豊かな作品に仕上がりました。
――これが人間ですよね。真剣に考えることもあるし、落ち込んで自分を奮い立たせたり、恋もしたりね。この作品を引っさげて、広島と東京で恒例のワンマンライヴ「丸本ん家(ち)へようこそ~ぷれぜんとふぉーゆー」をやるんですね。
丸本:はい。今年で4回目になるんですけど、毎年、クリスマスに近い時期にやっているんです。ライヴだけじゃなくて、何か楽しい企画を考えてやろうというものなので、広島ではクリスマス仕様でやりました。でも、東京は12月29日でクリスマス過ぎちゃって、もうお正月なんですよね。
――忘年会ですね。
丸本:ですね。だから、東京は、クリスマス色は出さず、一年間ありがとうという思いを込めて、プレゼントできたらなぁと思います。この時期にみんな東京にいるか心配なんですけど、年末、頑張りますのでみなさん、来てくださいね!
取材・文●大橋美貴子
ミニアルバム 「誰にもわからない~何が幸せ?~」
VICL-64628 (\1800+税)
≪収録曲≫
1.誰にもわからない
2.ガーベラの空
3.糸
4.トロイメライ~人魚の夢~
5.ぷれぜんと
6.たどりつく場所
7.ご機嫌ベイベー★ ※ボーナストラック
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ミュージックビデオ情報
◆https://youtu.be/2bxHl8CZM30
「ガーベラの空」ミュージックビデオ
◆https://youtu.be/urDb8j1zwCo
ライブ・イベント情報
2016年12月29日(木) 東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
OPEN 18:30 / START 19:00
<お問合せ>ディスクガレージ:050-5533-0889
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