【インタビュー】オレスカバンド、女としての生き様を煮詰めた等身大感に溢れる3rdフルアルバム『Slogan』
■自分が女として言いたいことを正直に言ったんだが
■女って本当にわがままだと思った
――「Heart Waves」でB面になるわけですね。
iCas:そう。カチャって気分を切り替えて「Hands Up Girls」に行くんです。
――この曲はシンセがすごく80's。
iCas:シンディ・ローパーから影響を受けました。
――この曲がiCasさんのモットーなんですね。もっと女性に頑張ってほしい、活躍しましょう!みたいな。
iCas:そうです。女の子と接している時に、私たちの活動に勇気をもらえるって言ってくれる友達が多くて。その子たちに伝えたいというのもあったし、その子たちが落ち込んだ時に笑顔をもう一回思い出せるような曲にしたかったんです。「輝け!女子!」みたいな感じで作りました。HAYAMIがそういうモードだったから、ブースの外のHAYAMIに向かって歌っていました。
HAYAMI:それを知らずに聴いて、私は泣いていました(笑)。私の場合は、嫌と言うほどいろんな経験をして……ですね。自分の人生と向き合うことも多いし、恋愛もぜんぜんうまく行かないってこともあったし。そういうことって、ありきたりの世の中に転がっている名言には片付けてもらえないんですよね。自分も素直にこう思えばイケるんですけど、「さぁ!頑張ろう!」とは思えず、「ダルい、しんどい、辛い」っていうことに対して正直にならざるをえないんです。それを見てた周りの仲間や友達の存在のデカさにも改めて気づいたり。ライヴでやる時も、自分みたいな子がもしいたら、その子たちに向けてやってるというのがあるかもしれないです。
――なるほど。
HAYAMI:あと、この曲、通勤の時に聴いているという感想がすごく多くて嬉しいんです。綺麗事だけじゃないのがこのアルバムのいいところですよね。taeちゃんがこのアルバムを作り終えた時に、「改めて、自分が女として言いたいことを正直に言ったんだが、女って本当にわがままだと思った」って言っていたんですよ。本当にくだらないことも言うし、自分勝手やし、そういう生き物やなって。それを聞いて「確かに!」と思ったんです。決して美しいものではないんですけど、しょうがないよねって(笑)。
――「Answer」もそういう曲だよね。
iCas:そうですよね。今まで言い切った曲っていうのはなくて、割とフワっと気持ちを伝えるとか、コンセプチュアルな曲が多かったんですけど、等身大の自分の強い気持ちが欲しいなと思って作ったんです。これは、話を詰めていくにつれて、会社に退職願を出した女の人にしようと。
――わかる。「後悔しないか?」って歌詞にそれが現れている。
iCas:そうそう。そこの踏ん切りをつける瞬間みたいな。恋人とも別れて、一人になって、今までのぬるい環境ではなく、もう一回自分を作り出すみたいな。自分で作っている時はそこまで意図してなかったんだけど、今、そういうマインドなんですね。今作は全員で何かを伝えるというよりも、一人の人として何が伝えたいかという作品になってるんです。一人の女性として各々が思うことというか。
――ルイ・アームストロングのカバーの「On The Sunny Side Of The Street」のあと、最後の「Music」はオレスカバンドのモットー?
iCas:この曲は自分たちのことっていうよりも、自分たちが音楽で教えてもらったことを伝えたい、もらったものを返したいみたいな感じでしたね。
HAYAMI:讃えたいみたいなね?
iCas:うん。
HAYAMI:この曲は結構前からあったんです。今年の3月にスカとレゲエに特化した<Stay Irie,Go Rudy 2016>っていうイベントを自分たちの主催でやったんです。オーセンティックなスカというよりも、着心地のいい服を選ぶように自分たちのスタイルに落とし込んでいるスカとかレゲエのバンドが増えてきていて。そのバンドを集結させてお祭りをやったんです。その時のアンコールで「Music」をやりました。去年、リコ・ロドリゲスさんが亡くなったことで、「Music」をやりたいねって話に結びついたんです。
――リコ・ロドリゲスさんといえば、スカ・トロンボーンの第一人者ですから、その追悼とリスペクトを込めて?
HAYAMI:はい。サビの歌詞の中で「You are the one」ってあるんですけど、最初、「We are the one」だったんです。でもこれを「You」に変えた時に、リコさんに対しての思いがグッと入りましたね。さっきiCasも「自分たちが音楽で教えてもらったことを伝えたい、もらったものを返したい」って言ったけど、その人と出会ったり、その人たちが残してくれた音楽とかメッセージがあるからこそ、こんなにも音楽を好きになれてるし、自分の人生が密接にあるんですね。
iCas:しかも、私達は若い時に直接リコさんと会ってるという、本当にいい環境で音楽をやれているんです。若い時にそういう素晴らしいミュージシャンに出会って、今に至るっていう。同世代の人たちでもリコさんと接点がないバンドのほうがほとんどやし。自分たちがせっかく受けたものもちゃんと伝えたいなと。リコさんと会った時に、少ない言葉ですけどコミュニケーションをして、スカとかレゲエって、こういうものなんだっていうのを肌で感じた部分があったので、それを次に渡せるように曲にしたいなぁというか。
――直接会ってさらに伝わることってあるもんね。音楽と本人が合致する瞬間みたいなね。
iCas:そうそう。曲からも伝わるんですけど、会ったときに「なるほど!」って思えることもあるから。その人が見てきたもの...スカとかレゲエがなぜそういう音楽になっているのか結びつく瞬間みたいな。例えば、この人、常にピースだからこういう音楽になんねんなとか。そういう意味でのもらったものというか。自分たちにとって、リコさんとの出会いってすごく大きかったんです。
――「Music」の前で、ルイ・アームストロングの「On The Sunny Side Of The Street」をカバーしていますね。これにも何か意味が?
iCas:この曲から受ける映像って、自分たちがいいと思っている世界なんですよ。お日様が登って、それを見て「こういう気持ち」みたいなのをルイ・アームストロングが吹いてるみたいな。その景色が、自分たちが生きていて「いいな!」と思う瞬間と合致するんです。そういう風に生きていきたいなって思うし。「Music」の前に入れた意味みたいなのはなかったんですけど、「Music」の前に、こういうマインドの曲があってほしいと思って。
HAYAMI:今回ラインナップがいろいろあって、流れをどうしようかっていうのは結構悩んだんです。でも、インストの曲がその間をちゃんと繋いでくれているから。今まで曲を並べるしかやったことがなかったので、SCAFULL KINGさんとかを聴いていて、インタールードが入ってたりするのが憧れだったんですよ。アルバムで作品になってるということも憧れだったし。
――初めてやったけど、大成功じゃないですか?
HAYAMI:大絶賛やなぁ。
iCas:うん。よかった。
――1月からツアーがありますね。タイトルは<HAPPY!! SURVIVE!! 2017>。
HAYAMI:そうなんです。アルバムが『Slogan』っていうタイトルだし、一言で言うと、taeちゃんとiCasと三人で話していて、「HappyにSurviveっしょ?」みたいになって。人生をどうやって生きたいかってなったらそうだなって。結構意識してはいたんですけど。ここにたどり着くまでに、iCasもじゃあどういう曲作ろうかってなった時に「パワフルな女性が」とか、そういうワードがめちゃくちゃ出てたんです。
iCas:そうそう。「エッジのある」とか。
HAYAMI:たくましい、セクシーとか。でも、つまりそれってどういうこと? どんな人がどんな風に生きること?ってなった時に、この「HappyにSurviveする」って言葉にたどり着いたんです。
――絶対にポジティヴだよね。
HAYAMI:はい。でもめっちゃ戦ってるんですよね(笑)。全国ツアーも『Carry On!』以来2年とか3年ぶりだから。今のライヴはもうその頃と全然違うんです。行きたかった方向性は示していて軌道修正もしてたんですけど、それが体にも馴染んでるし。
iCas:最近はダブのセッションとかも多くなったり、グルーヴみたいなところも磨かれてきているなと思うから、ツアーでもそこをちゃんと出したいなというのがあります。ぜひ見にきてください!
取材・文●大橋美貴子
Photo●山本 生
リリース情報
VMAN-015 ¥2,500(tax in)
1. Slogan [Intro]
2. Free Now
3. NEXSPOT
4. 退屈しのぎ
5. AZAMI Spirits
6. ライフイズビューティフル
7. Heart Waves [Interlude]
8. Hands Up Girls
9. Answer
10. !Fiebre!
11. Magic Night
12. On The Sunny Side Of The Street
13. Music
ライブ・イベント情報
"HAPPY!! SURVIVE!! 2017"
2017.1.22 (sun)【愛知】名古屋E.L.L
2017.1.24 (tue)【香川】高松DIME
2017.2.3 (fri)【広島】広島 4.14
2017.2.5 (sun)【福岡】福岡 DRUM SON
2017.2.9 (thu)【宮城】仙台enn 2nd
2017.2.11 (sat)【福島】郡山 #q
2017.2.16(thu)【大阪】梅田Club QUATTRO
2017.3.4(sat)【東京】恵比寿リキッドルーム
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