【速レポ】モンパチフェス＜WWW!! 16＞、佐野元春がみせたソリッドなパフォーマンス

佐野元春 & THE COYOTE BANDが＜WWW!! 16＞マングースステージに登場したのは、日もすっかり暮れた19：00を回った頃だった。

◆佐野元春 & THE COYOTE BAND画像

日本を代表するロックミュージシャンのひとりである佐野元春、そしてTHE COYOTE BAND はNONA REEVESの小松シゲル（Dr）、元GREAT3でソロ・プロジェクトCurly Giraffeでも活動する高桑圭（B）、元PLAGUESで現在はソロ・ユニットMellowheadとして活動中の深沼元昭（G）、後に加入するPLECTRUMでも活動する藤田顕（G）、ソロ・プロジェクトSchroeder-Heatszでも知られる渡辺シュンスケ（Key）という、若いながらも実力を備えたメンバーだ。

自身より一回りも年下のミュージシャンをバックに、佐野元春がどんなステージを見せてくれるのかと楽しみにしていた人も多いことだろう。はじまる前からすでにマングースステージの観客スペースはぎゅうぎゅう詰めで、陽が落ちて涼しくなってきた終盤、佐野の登場を待つオーディエンスの目は期待に輝いていた。


大きな拍手に迎えられて登場した佐野とバンドは、沖縄での野外フェスという空間の開放感も手伝ってか、穏やかな笑顔。1曲目は「君を探している」。メッセージ性の強い歌詞が力強い音に乗っかって響く。そして、「ラ・ヴィータ・エ・ベラ」「優しい闇」と南国の夜にぴったりのポジティブなロック・ナンバーが続く。

名曲「約束の橋」で、「君はまちがいじゃない」と力強いメッセージを送り、さらに続く「ニュー・エイジ」では両手を大きく広げ、髪を振り乱して歌う。その熱に呼応するようにオーディエンスもいっそうヒートアップする。







「ありがとう。ぼくはこの曲でデビューしました」という言葉とともに披露されたデビューシングル「アンジェリーナ」。この曲がリリースされたのは、今から36年前の1980年だ。オーディエンスには当時まだ生まれてさえいない世代も多いはずだが、そんな事実は感じられないほどの盛り上がりで、改めて佐野元春というミュージシャンの偉大さを実感することとなった。若いミュージシャンたちとともにギターを激しくかき鳴らし、両手を掲げてオーディエンスを煽る佐野元春は、「友達もはじめてのやつも、そこの君も！ここに嫌な奴はひとりもいないぜ。Dance with me！」と満杯の観客に向けて熱く語りかけた。

「この素晴らしい夜、みなさんといっしょにもっともっと素晴らしい夜にしたい。そのためにはみんなの力が必要だ」──佐野元春
「愛する気持ちさえ分け合えれば I Love You！」と歌う佐野に観客が「You Love Me！」と返すコール＆レスポンスが何度も繰り返され、会場の熱気は最高潮を迎えることとなった。演奏後には、「久しぶりの沖縄でのライブ。みんな熱く迎えてくれて、ぼくは幸せです。ありがとう」と笑顔を見せ、ステージ上に並んで観客に頭を下げた。

MCも少なく、特別な装飾や演出も用意されていなかったが、伝えるべき音楽があればそれだけで十分であることを見せつけるかのように、シンプルでソリッドなパフォーマンスは世代を越えて強烈な印象を残す色彩の濃いものだった。


取材・文◎普天間伊織
撮影◎(c)WWW16 OFFICIAL




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