【インタビュー】VALSHE、復活「“そうまでしても作りたいんだ”っていう自分の気持ち」
■「VALSHEは悲しい時に怒るよね」って
■minatoが言っていたことを思い出したんです
──ミニアルバム『RIOT』は映画音楽のように美しくもの哀しいインスト「silencio」で始まりますね。
VALSHE:ええ。リリースした直後にツアーが始まることもあって『RIOT』はツアーにこの作品を持っていくんだという意識で作っているんです。「silencio」はライヴのオープニングをイメージしています。ここから「RIOT」に繋がっていくので嵐の前の静けさを表現した楽曲ですね。
──その嵐のポジションに来る「RIOT」はどんなふうに生まれた曲ですか?
VALSHE:ミュージックビデオに出てくるイメージシーンが先に浮かんだ曲です。頭の中にあったものを絵に起こして監督に伝えて、その次にジャケットのアートワークを決めました。VALSHEと壁とグラスと水をモチーフにした映像を撮りたかったんですが、その時点では曲はまだ存在していなくて、後から絵のストーリーに合う曲をイメージして作りました。
──すでにアップされているショートヴァージョンでもグラスに注いだ水がしたたり落ちるシーンが出てきますが、なぜ水だったんですか?
VALSHE:ミュージックビデオ、ひいてはアルバム全体を“喜怒哀楽”の感情で表現しようと思ったことがキッカケになっているんです。自分は感情をウワーッて発散させたい時に水を凍らせて割るんです。
──どうやって割るんですか?
VALSHE:プラスティックのコップに水を入れて凍らせたものを出すと氷の塊になるじゃないですか。それをバーンとベランダに投げつけたりとか。
──ビデオにそういうシーンが出てきますね。壁に投げつけている。
VALSHE:そう。すごくスッキリします。
──損害も少なそうで、それ、いいですね(笑)。
VALSHE:水ですからね。小さい頃によくそういうことをしていたのを思い出したんです。それだけではなく、人は水の中で遊んだり、いろんなことを表現するし、水そのものにいろいろな表情があると思ったので、今回のアルバムにピッタリだなと。
──なるほど。ライダースジャケットに身を包んだファッションも曲調と同じく攻めのイメージですが。
VALSHE:これまでは楽曲の世界観に合わせて着るものもミュージックビデオもいろいろ挑戦してきたんですが、VALSHEとして復活する時には、自分がいちばん好きなもののド真ん中を行こうって最初から決めていたんです。なので、単純に自分の好みのファッションですね。それが結果、アルバムのコンセプトと合致したっていう。曲調に関しては激しいロックサウンドにしようということだけは最初から決めていました。このタイミングで悲しげなバラードを歌うのは絶対に違うと思っていたのと、曲を作る時にminatoが「VALSHEは悲しい時に怒るよね」って言っていたことを思い出したんです。“だったら怒ってやろうじゃないか”と。怒りを表現すればするほど、つまりはそういうことなんだっていう解釈してくれる人がいたらそれでいいと思って作りました。歌詞は自分自身の素直な気持ちだったり、“こういうふうに生きていくんだ”っていう決意表明でもあります。今回のことでファンの人にはすごく心配をかけたんですが、その答えになるような歌詞を書きたいって。
──サウンドは?
VALSHE:VALSHEが歩んできた過程を踏まえつつ、ViCTiMで取り入れた生のサウンドや激しさを融合させています。VALSHEのライヴ制作を手掛け、ViCTiMでもプロデューサーを担当してくれたShunさんと、いろいろ相談しながら作っていきました。
──「RIOT」のミュージックビデオを最後まで見るとストーリーの読み解きができるということですが。
VALSHE:そうですね。喜怒哀楽がモチーフになっているアルバムでもあるので、いろいろな壁に立っているVALSHEを見て、どれが怒りの壁でどれが喜びの壁なんだろうって探してほしい。置いてあるグラスたちがどうなっていくのか、どのグラスはどんな感情に侵食されているのか追って見てもらっても楽しいと思います。
──まさに核となる1曲ですね。minatoさんと歌詞を共作している「COUNT DOWN」はViCTiMの「ゼロサム・ゲーム」を思わせる部分もあったのですが。
VALSHE:「COUNT DOWN」は本作で唯一の既存曲なんです。実はVALSHEがデビューする前から存在していた曲で、これからどういうサウンドを作っていこうかと話している時に作曲者のdorikoが「VALSHEにはこういう曲が合うんじゃないかな」って持ってきてくれたんです。当時からすごくカッコいい曲だと思っていただけに簡単にはリリースしたくなくて、いつか出す時が来るまで待っていようって6年間、眠らせていたんですが、この復活のタイミングでVALSHEのいちばん根底にある曲を形にするべきだろうって。歌詞は当時、minatoの書いたものを活かしながら完成させたので、2人の共通部分をくりぬいているという意味でViCTiMに近いのかもしれないですね。
──では「COUNT DOWN」のサウンドはVALSHEの原点?
VALSHE:そうですね。アップテンポのデジタルサウンドで、全トラックの中でいちばん過去のVALSHEが強く出ている曲だと思います。復活するに当たって変化した部分もあるけれど、歌詞も含めて、こういう部分を捨てる気は一切ないということをわかってもらえたらいいなと。
──踊れるナンバーからガラッと曲調が変わる「MONOLOGUE」は美しく普遍的なメロディが光るバラードとなっていますが、この曲は“喜怒哀楽の”哀“ですか?
VALSHE:そうですね。この曲は「RIOT」の裏側にスポットを当てた曲です。
──失意と希望が混ざり合った歌詞ですよね。どんな終わりもすべて始まるためだと思っていたいと歌っている。
VALSHE:今回のことに限らず、VALSHEとしてさまざまなことを経験する中、喪失感に襲われたこともあったし、止まろうと思えば止まれると感じたこともあったけれど、そんな時も前に進むことで結果、新しいことが始まっていて、歩みを止めなくて良かったなと思うことが多かったんです。聴いた人もあきらめず進んでいってほしいと思いながら作った曲です。
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