パンクからキャラソン・アニソンまで、SONARを駆使するパフォーマー&コンポーザー、エンドウ.(GEEKS)の曲作りの秘密を聞く vol.3
■一生鍵盤には触らないで生きていこうと思ってる
エンドウ. 僕、オーディオを扱わせたらSONARの操作一番早いと思っているんですけど(笑)。毎日録っていますからね。自分で歌いながらパパパパパーって。MIDIを最近始めてようやくスムーズに打てるようになってきたので。
―― でも、基本はマウスで……
エンドウ. トラックボールなんですけど、ずっと。もう今後も一生鍵盤触らないで生きていこうと思っています。
―― (一同笑)。
―― それだったら鍵盤で入れていく方が速いんじゃないかと思うんですけどねえ。
エンドウ. いやあ、もう鍵盤覚えるのが大変です。「どこがドだ? ド? Cか」みたいな(笑)。ぜんぜんわかんないです。
―― でも、たとえばMeloyne editorを使われているのであれば、ギターでばっと弾いてMIDIに変換してってのは……。
エンドウ. それはできるんですけど、やっていないですね。でも、ギターはMIDIに変えなくてもいいんじゃないかな? 昔、ローランドのギターMIDIのGKシリーズでMIDI入力に挑戦したんです。やっぱり鍵盤ができないし、ギターで入れられたらと思って。でも反応の設定とかそういうのがぜんぜんで。すんごい小さい細かいノートが生まれちゃったりとかして。もう、これはダメだって。
―― そうですね。当時のはちょっとでもチョーキング入れたりしたら、もうノイズがぶわーって入っちゃって。
エンドウ. だからマウス打ちの方が速いわ、と思って。
―― SONARでタブ譜入力できるのはご存知ですよね?
エンドウ. ギタリストはタブ譜あんまりやらないですよね。ギター始めた時くらいじゃないですか?タブ譜読んだのって(笑)。
―― (一同笑)
エンドウ. この前、別のアニメのやつで「タブ譜くれ」って言われて、タブ譜なんて書けなくて、もう一日がかりでした。
―― SONARなら表示でタブ譜が選べる……。
エンドウ. でも、ギターは生で録っているんで、タブ譜にならない。
―― そうか(笑)。そりゃそうだ。
エンドウ. だから自分で書いて(笑)。
■DAWもエフェクターもビジュアルがよければ音がいい
―― ギター関連ではSONARにはギターアンプシミュレーターのTH2がありますが、間もなくTH3にバージョンアップします。また、新たにマスタリングエフェクトが追加される予定で、すでにCakewalkのサイトに画像が掲載されています(どちらもインタビュー時点では未リリースだったが、その後4月末にリリースされた)。
▲4月末のアップデートで追加されたばかりのSONAR Platinum、Professionalに新たにマスタリング品質のリニアフェイズEQ(左)、リニアフェイズマルチバンドコンプ(右)。
エンドウ. ビジュアルがいいですね(笑)。プラグインは完璧にビジュアル重視ですよ。DAWもビジュアルがよければ、音も良いですもん。
―― (一同笑)
エンドウ. 聞こえる音もよくなってきます。僕はそれ、信じてやまないです。ギターのエフェクターもそうです。見た目がかっこよければ音も良い。
―― いい発言ですね。見出しに使いましょう(笑)。
エンドウ. アンプもそう。見た目がよければ音も良く聞こえます。
―― アンプシミュレーターのTH3も期待できそうです。
▲OverloudのアンプシミュレーターTH2はTH3に進化。SONARには「SONAR Edition」として特別版が収録。第4世代のアナログエミュレーション搭載で、よりリアルなアンプサウンドが得られる。従来のTH2のプリセットに完全な互換性を持つのがうれしいところ。
エンドウ. 僕は、Guitar RigとBIAS Desktopを使っています。BIASには自分が録った音と同じ音にしてくれる機能があって。僕が昔、アメリカのプロデューサーと仕事をした時のギターのトラックがあって、その音がすごく気に入ってるんですけど、その後作れなくて。でも、その機能で読み込ませればできる。要するにKemperみたいなことができるんですけど、それをやったらその音になって。これ(TH3)にはないんですか?(笑)
▲Native InstrumentsのGutarRig、Positive GridのBIAS Desktopともに人気のギター・アンプシミュレーター。Gutar RigはNI Kompleteに収録されているので持っているという人も多いはず。BIASはiPad、iPhoneバージョンもリリースされており、PC/Mac用のBIAS Desktopと同期が可能。上位グレードのBIAS Professionalでは実機のトーンを再現するアンプ・マッチング・テクノロジーを搭載。エンドウ.はこの機能を愛用。
―― そこまではないですね。サウンドやビジュアルがよくなったっていうのと、MIDIのアサインが楽になるとか。
エンドウ. BIAS Desktopだとエフェクトがない。Guitar Rigがエフェクト満載なんで、そっちを使っちゃうんです。これ、いいですね。
―― でも、エフェクター自作されてるくらいなので……。
エンドウ. でも、面倒くさいんで(笑)。
―― ギター・アンプ・シミュレーターも使うんですか?
エンドウ. ちゃんとしたレコーディングは全部、アンプで録るんですけど、ギターメインじゃない曲に添えるくらいのときは絶対にシミュレーター使っちゃいますね。要するにこだわらないタイプのギターを弾くときは。あと、デモを録る時はシミュレーターを使っています。最後に、完成した後でギターを録り直すんですよ。だからシミュレーターって意外と、かなりの頻度で使うかな。
―― そうなんですね。先ほどのお話だとシミュレーターはそれほど使わないのかと。
エンドウ. 自分たちのリリース音源では使ったことはないです。でも、アニソン、キャラソンとかでは使いますね。
―― 差し替えたりとかも、多分、エフェクターとかだと出てくることも……。
エンドウ. そうですね。便利なんですよね。「あっ、これもうちょっとゲイン落としたかったな」とか「クリーントーンにしたかったなあ」とか、そういうのがいくらでもできるんで。かなり便利に使い分けています。
■ライブ・曲作り・リリース、全部をやれる立場いるからこその作り方
―― エンドウ.サウンドのキモみたいなのはありますか? いろんな音が使える中で。
エンドウ. それ、ギターですか? 全体?
―― 両方とも。
エンドウ. それがわかったらすごく助かるんですけどね(笑)。エンドウ.サウンドのキモか……。なんだろう。僕、勉強とかしてないし、思いつきでやることがたまに褒められたりするんで、そういうとこかなあ(笑)。
―― ひらめきというか……
エンドウ. だから、そうですね。この前、“チ~ン”という音を入れたり、ノイズとキックを飽和させて「ドンッ」みたいな音を作ったり。
―― あれがすごくよかったんですよ!
エンドウ. 中学校の時やってた“Singer Song Writer”の時と同じ感覚でやってるので(笑)。
―― 「バイバイでさよなら」はハッとしましたよ。
エンドウ. そうですね。そういう……なるべく型にとらわれないことをやりたいなと思ってるところとかですかね。あとは、実際にステージに立っている人間でしかわからないことだと思ってやっていますね。作家さんってステージ立ったことない人いっぱいいるんで。
―― あっ、そうなんですね。
エンドウ. やっぱり作曲家さんとは違う作り方はできるかなあ。どっちもいいところあると思うんですけど。やっぱり実際にライブをやって、実際に音楽を作って、実際にリリースしてっていうのを全部、やれる立場にいるので。そういう視点で見ることはできていると思うんですけどね。
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