【インタビュー:前編】フルカワユタカ、ART-SCHOOLとの対バンを語る「猥雑ですね」
■黒い部分を全部出しちゃおうっていうね
■そうしたら、なにかがひっくり返る
──当日のライブについては木下さんとの対談でセッションを行うことが決定したそうですが、全体的にはどんな内容になりそうですか?
フルカワ:これだけプライベートで付き合いが深くてもね、ART-SCHOOLとDOPING PANDAの対バンのときもそうだったんですけど、マジックが起きづらいんですよ。それは、本当に僕らの関係を象徴していて。
──とおっしゃいますと?
フルカワ:すっげえ見えないところで物凄く濃いんですけど、表面上は“付かず離れず感”が超強い(笑)。それはファンもわかっていると思いますけどね。“本当に仲いいの?”っていうくらい、本人が居ようが居まいが、お互いに悪口を言い合ってるし。でも、本当に仲がいいんです、僕と木下は、たぶん。……結局“たぶん”って言葉が付いちゃうんだけど(笑)、あいつもそう思っているだろうし。14~15年かな、お互い尖ってたり丸くなってたりしているのに、ずっと同じ温度で、お互いの関係性だけは変わっていない自信があって。
──それぞれを取り巻く状況に変化はありつつも。
フルカワ:そう。他の人と話をしているときとかとは会話が違うんですよね、僕も木下も。いろんな自分ってあるじゃないですか、BARKSさんだって当然そうじゃないですか。家族と話をしているとき、本当に仲のいいやつと話をしているとき、仕事上の人と話をしているとき。いろいろあると思うんですけど。木下と僕にはお互いのモードというか、変わらぬチャンネルがあるんですよ。
──それって何のチャンネルなんでしょうね。世間一般の“親友チャンネル”とは異なるわけですよね?
フルカワ:たとえばそれは、ファンにとって見たくない/聴きたくないモードだったりするみたいで。昔、ラジオで一緒にしゃべったときも苦情のメールとか来てましたから(笑)。
──ははは。どんな苦情ですか?
フルカワ:“木下さんと絡むとフルカワさんがヘンな感じになるので、ラジオはメンバーとやってください”って書かれちゃうような(笑)。それが一通とかじゃなくて、本当にたくさんあったんですよ(笑)。具体的に言うと、品が良くなくなるようなんです。品が悪く……下品になるらしく(笑)。
──話題が、ですか? いろんな意味で、ロックスターのイメージから逸脱していたんでしょうか?
フルカワ:それがわからないんですよ(笑)。僕は普段木下としゃべっているようにラジオでも話していたつもりですから。そういう意味で言うとね、僕は僕で、木下が後輩のバンドマンと話をしているところを見たりするでしょ。そういうときに、“すげぇカッコつけてしゃべってるー。な、なに言っちゃってるの?”って思っちゃったりするときもあるんですよ(笑)。“ART-SCHOOLっていうバンドはね”みたいなことを先輩面して言うんですよ。僕からしたらもう完全にキャラが違う。超二枚目キャラで後輩にいけしゃあしゃあとしゃべってるから、もうこっちが恥ずかしくなっちゃってね。
──ただ、木下さんってそういうイメージですよね。知的でクールだけど狂気をはらんでいるような。
フルカワ:そうでしょ。でも、全然そんなことないんですよ、ホント全然ですよ(笑)。
──それは出会ったときから、今も変わらず?
フルカワ:そう、出会ったときから。お互いクズ野郎になるんですよ、2人でしゃべっていると。素のクズの部分を出し合える間柄っていうか。それだから、“これって親友って呼んでいいのかな?”って思うのかもしれない(笑)いわゆる世間で言う親友って、困ったときに助け合って、みたいな。相談にのって、涙を流してみたいな(笑)。将来のことをポジティヴに語ってみたいな。
──熱く強い絆ですよね。
フルカワ:そこが違うんですよ(笑)。お互いに悪の部分をさらけ出し合って、お酒が進んでいくみたいな(笑)。……うん、そうかもしれない。だから、これって親友?って。
──でも、この間のコラムで書かれていましたが、木下さんが『音楽と人』のイベントに出演したのは、フルカワさんのためとも読み取れるような熱く強い絆の話もありました。
フルカワ:まぁ、そうなのかもしれないですけどね。ただ、2人が揃ってステージに上がっても、その悪の部分が出ちゃうんで、ファンが盛り上がる感じにならないんですよ、いつも(笑)。MCでもけなし合ってみたいな(笑)。
──それこそライブでマジックが起きない理由かと。
フルカワ:そこを今回の対バンでは打破したい。うちの現サポートベースは元ART-SCHOOLの宇野剛史で。彼と木下は5年くらい前にケンカ別れしてるような感じだから(笑)。そこを強引にくっつけることで、さらに悪の部分を(笑)。だって、中途半端にお見せしたらいけないと思うんです。全部をさらけ出しちゃえば、お客さんもひとつになるんじゃないかと思うわけですよ。キネマ倶楽部っていう場所のイメージもそれを増幅させるでしょ。
──鶯谷の猥雑さが拍車を掛けそうです。
フルカワ:そう!猥雑ですね、ART-SCHOOLとフルカワユタカに流れるのは。人間の本音が持つ黒い部分を全部出しちゃおうっていうね。そうしたら、なにかがひっくり返るんじゃないかなって。だって、ここ最近のロックバンドには綺麗事が多すぎるでしょ。もちろん、ロックバンドってドキュメンタリーでありショウであるから、ある程度の綺麗事も必要なんだけど、ガチンコのセメントマッチ的なところで、全部出しちゃえばもうひとつひっくり返ると思うんです。たとえば船だって、ひっくり返ったところで、また船底に乗れるでしょ。沈まないでひっくり返れば、そこにまた乗れますから。あー、これだ。今日話をして、12日に僕が目指しているところが見えましたよ。
──ひっくり返す?
フルカワ:遠慮なくいきますよ。
取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
■<東京キネマ倶楽部プレゼンツ ~ヨカノスゴシカタ 3~>
OPEN:18:15/ START:19:00
出演:ART-SCHOOL、フルカワユタカ
前売:¥3,800(税込、D別)
▼一般発売:4/16(土)より
・イープラス http://eplus.jp/512kinemaclub/
・チケットぴあ 0570-02-9999 Pコード:295-113
■<フルカワユタカ presents「play with B」>
6月18日(土)下北沢 Garden
w/ Base Ball Bear
OPEN 17:00 / START 17:30
(問)下北沢GARDEN tel :03-3410-3431 (13:00~21:00)
【「play with B」~with SEE YOU~】
7月22日(金)代官山 UNIT
w/ the band apart
OPEN 19:00 / START 19:30
(問)代官山UNIT tel :03-5459-8630 (11:00~20:00)
【チケット】
前売り¥3,990(税込、D別)オールスタンディング
▼オフィシャルサイト最速先行
受付期間:4/30 (土) 20:30 ~ 5/8 (日) 18:00まで
http://eplus.jp/frkw16f/ (PC・携帯・スマホ)
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