【インタビュー】オワリカラ、メジャーデビュー作のテーマは「“変化”かなと思っているんです」

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■この曲をみんなに聴いてもらってアルバムに入って来てもらわなくてはいけないと思った
■いままでの音楽にないような言い回しができているかどうかが勝負

――ところで『ついに秘密はあばかれた』というタイトルにはどういう意味が込められているのでしょう?

タカハシ:9割9分インスピレーションなんですけど(笑)。…僕はやっぱり、音楽を聴いているときに常識を疑わせてほしいんですよね。ちょっと世界を塗り替えてほしいという気持ちがあって。例えばこのアルバムを全部聴き終えたあとに、いままで感じていなかったもの、隠されていたものに気付けたり…そういうところに意識が行ったり。そういうアルバムになったらいいなと思って。それがオワリカラというバンドの役割と思って、このタイトルにしました。

――2曲目の「今夜のまもの」の歌詞には“秘密あばき隊”という言葉が入っていますが、この曲がキーになったということでしょうか。全曲のメッセージも詰まっていると思いましたが。

タカハシ:そうですね、歌詞も、サウンドとしてもそうだと思います。だからこの曲が完成するまでにいちばん時間が掛かりました。そのぶんアルバムの象徴になったかなと思います。この曲をみんなに聴いてもらってアルバムに入って来てもらわなくてはいけないと思ったので、単純にリードトラックとしてのプロな使命を果たしてほしかった。だから考えましたね。

――“今夜のまもの”とはなにものなのでしょう。

タカハシ:なにものなのか僕にはわからないですけど…“今夜のまもの”ということは毎晩まものが来るわけですよね。例えばいまパッと考え付くものとしては“憂鬱”とか”不安”がいちばんハマるのかもしれないな。音楽はそういうものを変えることができるんじゃないか、それがロックバンドがやれることなんじゃないかと思うから。

――さきほどヒョウリさんもおっしゃっていたように、オワリカラの歌っていることもすごくシンプルなんですね。

タカハシ:そうですね。音楽が伝えてることは基本的にずっと変わらないと思うんですよ。ただボールを投げる場所が無数にあって、そこからどういう投法をするか、ですよね。

――今回は歌っている内容が別世界や物語のなかの世界ではなく、日常的なものや生活に根付いたものが多いと思いました。誰にでも当てはまるような。

タカハシ:それは結構意識して、そういうふうにしましたね。サビはできるだけシンプルな言葉を使おうと思って。回りくどい表現の歌詞を入れて、聴いている人が“この歌詞どういう意味なんだろう?”と思ったとき、演奏のスピード感と聴いている人の脳みそが理解しようとするスピード感がずれちゃうのが嫌で、サウンドで聴いたらそれぞれがストレートにそのままのスピードで想像できるものにしたいと思っていたんです。だからシンプルな言葉を使いながらも、いままでの音楽にないような言い回しができているかどうかが勝負、というか。

――とてもシンプルな言葉でそれが実現できていると思います。そして、「今夜のまもの」は「まもの」と「僕ら」の台詞の掛け合いも面白いと思いました。「あなたのお好きな歌/わりと得意なんだ/奈落の隅に咲く/輝けムダの花」という部分の「ムダの花」とは?

タカハシ:…今年(2016年)デヴィッド・ボウイが死んだじゃないですか。そのときにデヴィッド・ボウイは何がすごいのかな? と考えたときに、ムダのすごさを教えてくれた人なんじゃないかなと思ったんです。本来音楽をやるうえであんなに化粧をする意味はないんですよ。あんな変な存在である意味はないのに、みんなすごく感動するんですよね。それは人間にしかできないこと。ムダなことにこそ人間の美しさが入ることがある、というのを教えてくれたんだと思うんです。音楽は必需品じゃないから、いまプライオリティ(優先順位)が下がっている。でもそういうものを愛せるのが人間のすごさだと思っているので、「輝けムダの花」ということですね。

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