【寺田正典 連載】ザ・ローリング・ストーンズ『トータリー・ストリップド』【ベストパフォーマンスCD&日本盤限定ボーナスCD編】
ザ・ローリング・ストーンズの公式アーカイヴの最新作、5月20日リリースの『トータリー・ストリップド』の内容を少しずつ詳らかにするニュース第2弾として、今回は通常盤以外に付属する「アムステルダム/パリ/ロンドン公演ベスト・パフォーマンス集CD」および「日本盤限定ボーナスCD」についての情報をお届けする。
◆ザ・ローリング・ストーンズ画像
1995年の5~7月、『ヴードゥー・ラウンジ』世界ツアー中だったストーンズは変則ライヴ・アルバム『ストリップド』制作のために、スタジアム・ツアーの合間を縫ってヨーロッパの3箇所での1,000~5,000人規模のスモール・ギグを敢行した。その模様はもちろん『トータリー・ストリップド』の本編にも盛り込まれているわけだが、今回の初回限定盤に付属する「ライヴCD」は、アムステルダム、パリ、ロンドンの3箇所で行なわれたスモール・ギグから、現時点で選ばれた(つまり当時の『ストリップド』の編集意図とはちょっと違う観点で選ばれているということ)ベスト・パフォーマンスを14曲分集めた『ヴードゥー・ラウンジ』ツアーからのもうひとつのライヴ・アルバムなのである。オマケCD扱いするにはあまりにももったいない、これ自体がひとつの「作品」と捉えてもいいような、なかなかのクオリティを備えたCDに仕上がっているのである。
スタジオ録音も含まれていた『ストリップド』とは違い、最初から最後までライヴとしての流れをきちんとふまえた14曲は、その3箇所でのライヴの中でもっともユニークでアコースティック・ギターの使用度も高かったアムステルダムのクラブパラディソ公演からのトラックが7曲と多く選ばれているのは、プロジェクトの流れからいっても当然だ。
そこにライヴ定番曲をタイトにプレイしたパリのオランピア劇場での録音から4曲、3公演の中では最多の5,000人の観客を集めた南ロンドンのブリクストン・アカデミーでの1970年代前半のストーンズがアリーナ・クラスの会場で演奏しているような感覚も楽しめる3曲を加え、アコースティックな味わいのバラード曲から、ライヴならではのエッジを効かせたハードなナンバーまで、アルバム一枚分の分量で14曲を一気に聴かせてくれるのだ。しかも、日本盤には、1966年以来、29年ぶりとなった「クモとハエ」の貴重なライヴ演奏も含む3曲入りのボーナス・ディスクが付くのもたまらない。
もともとのアルバムである『ストリップド』との重複テイクが1曲あるが、その「ストリート・ファイティング・マン」も今回は三十数秒ほど長いノー・カット・ヴァージョンで収録されているというのはマニアには見逃せないポイントのはず(ほかに『ストリップド』関連シングルとの重複は1曲あり)!
なお、前回のニュースの後、さらに『トータリー・ストリップド』本編ドキュメントをシーン別に分けて解析(それほど厳密なものではないが)を進めたところ、シーン数は編集の細かさもあって121点、日本では1996年にTVスペシャルとして放送され、今回のドキュメントのたたき台になっている「ストリップドTV」が41点だったことからすると、約3倍の増加だ。収録時間は1.5倍強になっただけだが、情報量は3倍に増えてると言っても良さそうだ。
文:寺田正典
Photo by Ilpo Musto
◆『トータリー・ストリップド』オフィシャルサイト
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