【短期連載】佐々木亮介 (a flood of circle) のTHE BLUE TOUR DIARY＿第2回『粘る女、HISAYO @水戸LIGHT HOUSE』

「水戸と言えば、ねばーる君やで」とHISAYO姐さんから教わった。

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彼女は“網タイツにハイ・ヒールのDr.Martensに変形ワンピースに部分青髪”という出で立ちの為に、ハードな（ある種サディスティックな）キャラクターだと思われがちだけれど、本人自身は至ってユルい人柄だ。時折「私をちびまる子ちゃんのキャラクターに例えると、だぁれだ」という、それなりに鬱陶しい（失礼）問いを投げかけてくる程に。それ故か、彼女は世にはびこるいわゆるユルキャラに対して並々ならぬこだわりがある。


ツアー2日目の水戸ライブハウスの楽屋においてもそれは変わらなかった。男前な店長イナバ氏寄贈のねばーる君ストラップを身につけ、ねばーる君が描かれた水戸納豆風味のうまい棒をつまみにビールを煽りながら、しかし、ふなっしーがいかに愛しいかを語る姐さん……いやもちろん、ねばーる君もお気に入り。元のフェイバリットは奈良のせんとくん、今はキリミチャン、だそうで。へえー。

ちなみに、ちびまる子ちゃんの劇場版作品『わたしの好きな歌』は必見映画だと思う。大滝詠一さん「1969年のドラッグ・レース」と笠置シヅ子さん「買い物ブギ」の絶妙な用い方……更にヤバいのは細野晴臣さんの名曲「はらいそ」を下敷きにして、とてもサイケデリックにぶっとんだ映像体験が出来るところ。もうね、曼荼羅です。さくらももこ先生の作品は、折りに触れインド哲学的なサイケデリアが満開になる。テーム・インパラばりに。ああ、観たくなって来た。



とは言え、ライブが始まる前はピリッとしたもんなんだ。どれだけ楽しい昨日だっとしても、昨日よりもっと今日を楽しみたいからね。この基本的な欲求を実際に体現するのがいかに面白く、そして難しいことか、ロックンロールにこだわってツアーを転がし続けてりゃ、身を持ってして感じるところ。水戸が好きだ。偕楽園で花見したかったよ。

最後にもう一つまるちゃんについて。名作がまだあってね。『大野くんと杉山くん』っていう映画がある。合唱コンクールのシーンがあってさ、そこがクライマックスなんだけど、俺が死んだらあんな感じで誰かに歌ってほしいよ。人はいつも一人だけど、一人では何も出来ない。そういう感じ。俺はまだ死なないけどね。やりたいこと、ばっかりだよ。笑うならほくそ笑みたくない、腹の底から笑いたい。


この後は東北へ向かう。まだまだ転がし続ける。

16/04/04 00:55 日本リリース直後のカニエ・ウエストの新作を聴きながら

佐々木亮介


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