【インタビュー】清春、『SOLOIST』完成に「自分はソロだってハッキリ言いたいなと」

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■デヴィッド・ボウイは、ロックの自殺をしたんだと思う
■遺言のアルバムを残して

▲『SOLOIST』通常盤

── その変化は歌詞にも表れていると思います。今回は歌っている相手が具体的にいるということですが。

清春:家族、ファン、未来の自分でしょうね。たまに過去の自分も含まれていますが、だんだん聴いている人に向けた歌詞になってきましたよね。そうじゃないと意味がない気がして。昔は自分のプライベートなことを書いて、それがファンの人にリンクしてくれたらいいなと思っていたんですけど、今は自分が生まれて世に出ることができて、長持ちさせてくれた人たちへの恩返しというのかな。抽象的な歌の距離感がいい場合もあるんでしょうけど、そういう歌は聴く人にグサッとはこないと思うんですよね。

── 大人という話の流れですが、収録されているのは未来が遠くて見えない年齢の人の歌ではなく、時間に限りがあることを知っている人の愛の歌だと感じました。聴く人が自分の人生にも重ね合わせられるような。

清春:そうですね。最終的には球体というか生命体というか、自分の人生がゆっくり回っているような歌詞を書けたらいいなと思っているんです。引退もリアルに考えるから、やれる内にできることをやりたい。デヴィッド・ボウイは人の評価を聞かずにアルバムをリリースして死ぬっていう、とんでもない生き方をしたと思ってるんですね。病気で亡くなったんだけど、ミュージシャンとして意味のあるロックの自殺だと思うんです。遺言のアルバムを残して。

── デヴィッド・ボウイの有名な曲「ロックンロール・スーサイド」じゃないけど。

清春:そう、そう。最後までデヴィッド・ボウイであることから逃げなかったっていうのが凄いと思うんですよね。きっと彼にとっては『ジギー・スターダスト』も『ロウ』も大したことなかったんだと思う──。僕はまだ40代ですけど、今はもっと歌がうまくなりたいし、あとは楽しくやりたい。ライヴに来た人が「よかったな。アルバム買ってみようかな」、「この音楽、自分の人生に必要かも」って思うような──。サプリじゃないけど、今の自分にいいような気がするとかね。「悲しい時に聴きたい」とか「この曲があれば、しばらく彼氏なんかいらない」とか。そういうことを僕の音楽でできたらいい。“TVに出ても面白い”みたいな芸能人的な人気はどうでもよくて、僕の場合はいかにいい味の出る歌をうたって、言いたいことを言って、いかに音楽で表現できるか──。だからこそクオリティの高いものを作らなければいけないと思うし、このグループ全盛、フェスの時代に僕はワンマンにこだわってひとりで地道に繰り返していく。それがミュージシャン本来のあるべき姿じゃないかと思うんですよね。役割的にも。子供は「イベントやフェスにもっと出たほうがいいよ」って言うんですけどね(笑)。

── (笑)そうなんですね。『SOLOIST』は人生の傷や痛みも含めて幸せと捉えているように思えて、味わい深いなぁと思いましたよ。

清春:曲自体は昔からマイナーコードが好きなんですよね。明るい曲にもマイナーなメロディをつけてしまう。売れるような「明るい曲、たくさん作れ」って言われたとしても、それはやりたくない。自分が子供から大人になっていく過程で聴いてきた音楽を信じているから、それを自分のフィルターを通して昇華させたい。「キュンとくる」とか「切ない」、「じわっとくる」っていうのは得意なところなので、同世代の中でいったら、そういうジャンルならやっぱり自分だろうなとは思っています。

── そして『SOLOIST』の初回限定盤にはCDに加えて9曲のミュージックビデオを収録したDVD「SOLOIST special film」がパッケージされています。荒涼とした風景の中、赤い布1枚でパフォーマンスする「ナザリー」やロードムービーのような質感の「MOMENT」など盛りだくさんなので見どころを。

清春:その2曲はアメリカで撮影したんですけど、砂漠なので42~3℃あってとにかく暑かった(笑)。「ナザリー」は早朝だったので、スーツを着ても平気だったんだけど、「MOMENT」は昼下がりで裸でいられる暑さ。ビデオ撮ってて初めて途中で「止めてくれ」って言ったほどでしたね。

── 灼熱だったわけですね。「MOMENT」はアコギを弾きながら歌っていますね。

清春:あのギターはロスのギターセンターで買ったんです。あとエピソードとしては今井監督と険悪になりましたね(笑)。

── (笑)暑さが原因ですか?

清春:(笑)はい。まぁ、ほかにもタイトなスケジュールとかいろいろあったんですけど、結果的に作品は良かったっていう。「ナザリー」の赤い布も監督が用意してくれたもので、衣装は今回、全部、自前ですね。

── 全曲、撮りおろしなんですよね。

清春:そうなんですよ。ほかは全部、日本で撮っています。

── 最後に今後はソロを中心に活動していくんでしょうか?

清春:ライヴのMCでも言ってるんですけど、バンドはあと2年はやると思うんですね。

── 50才を区切りにしている?

清春:はい。解散というよりおおまかに終了かな。黒夢は<ZERO>と銘打ったツアーで区切りをつけていて、sadsでは、この夏にショートツアーも予定していますが、海外にも行きたいというプランはうっすらあります。

── 海外ツアーですか?

清春:年齢的にもそんなに時間がないので、1回やってみたいっていう。果てしないぐらいハードな全米ツアーみたいなことは無理ですけど、何回かはやりたいかな。

取材・文◎山本弘子
ライブ写真 撮影◎今井俊彦

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NEW ALBUM『SOLOIST』

2016年3月30日発売
■通常盤(CD)
WPCL-12327 ¥3,240(TAX IN)
※『SOLOIST』リリースイベント握手会参加券封入(初回プレス分限定)
■初回限定盤(CD+DVD)
WPZL-31150/51 ¥4,860(TAX IN)
※DVDにはMUSIC VIDEOを9曲収録
※デジパック仕様・全32Pブックレット付き
※『SOLOIST』リリースイベント握手会参加券封入(初回プレス分限定)

[収録曲]※通常盤・初回限定盤共通
1. ナザリー
2. 夢心地メロディー
3. EDEN
4. DIARY
5. ロラ
6. 瑠璃色
7. FUGITIVE
8. MELLOW
9. MOMENT(リード曲)
10. QUIET LIFE
11. 海岸線
12. メゾピアノ
13. 麗しき日々よ

[初回限定盤DVD]「SOLOIST special film」
1. 海岸線 Music Video Spot
2. ロラ Music Video -Full Version-
3. EDEN Music Video Spot
4. ナザリー Music Video -Full Version-
5. DIARY Music Video Spot
6. MOMENT Music Video -Full Version-
7. 夢心地メロディー Music Video -Full Version-
8. 瑠璃色 Music VIdeo -Full Version-
9. メゾピアノ Music VIdeo Spot

<清春New Album『SOLOIST』 発売記念イベント>

2016年4月2日(土) 東京ドームシティ ラクーア ガーデンステージ 14:00~START
2016年4月3日(日) もりのみやキューズモールBASE 1F BASEパーク 14:00~START
イベント詳細:http://wmg.jp/artist/kiyoharu/news_69207.html

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