冨田勲、最初期の貴重音源が初CD化。ジャケットワークは宇川直宏
世界的な作曲家でシンセサイザーアーティストの草分けである冨田勲が、最初期に創った音源を詰め込んだアルバム『オホーツク幻想』を3月23日にリリースする。
◆アルバム『オホーツク幻想』ジャケット画像
初音ミクやオーケストラとコラボした「イーハトーヴ交響曲」を作曲し、昨年には北京で公演を行い大きな話題となったことも記憶に新しい冨田勲。今年84歳を迎えるも今なお衰えぬ創作意欲を燃やす巨匠による、新たなアルバムのリリースが発表された。
日本コロムビアからリリースされる今作は、冨田勲が70~80年代に世に送り出した傑作シンセサイザー作品を再構成&サラウンド化する“ISAO TOMITAプロジェクト”の最新作だ。宮沢賢治の作品世界を音で描いた「イーハトーヴ交響曲」により明るみになった冨田の賢治への思慕が、今回のアルバムにも深く刻印されている。「賢治最愛の妹トシから賢治にあてた架空の手紙」を表象したという「オホーツク幻想」が収録されていると共に、トミタのシンセサイザーによる最も初期の作品「銀河鉄道の夜」を収録。当時の価格で1000万円したというMOOGシンセサイザーを入手し、手探りで操作方法を模索しながら音を作り出した、まさに最初期に作られた貴重な音源だ。
さらに、80年代にリリースされた人気作「マ・メールロワ」や「亡き王女のためのパヴァーヌ」なども、サラウンド化され今回のアルバムに収録されることにより、賢治の世界と呼応しながらまた別の様相を呈すと言えるだろう。
なお、ジャケットワークは、宇川直宏が冨田と対話を重ねながら作り上げたようだ。冨田は今回の音楽イメージについて、「賢治は、北へ行けばトシの魂に会えると、樺太の日本最北の地まで樺太鉄道に乗って行った。賢治にはオホーツクの海はあまりにも広大だった。」とコメントを寄せ、このイメージに着想を得て作り上げた今回のジャケットに関しては「“銀河鉄道”は更に見たことのない遠くの世界へ行こうとしています。」と感慨を込めて語っている。
アーティスト写真:Photo by Yasuhiro Ohara
3月23日発売
SACD Hybrid
COGQ-89 ¥3,000(+税)
[収録曲]
(1)オホーツク幻想(冨田勲)
(2)亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
[マ・メール・ロワ](ラヴェル)
(3)眠れる森の美女パヴァーヌ
(4)夜の森に迷った一寸法師
(5)パゴダの女王レドロネット
(6)美女と野獣の対話
(7)妖精の園
[銀河鉄道の夜](冨田勲)
(8)ケンタウルス祭の夜~天気輪の柱~白鳥の停車場~水晶の砂の川原~鳥捕りのおじさん~さそりの火
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