【ライヴレポート】VAMPS、Nothing's Carved In Stoneとの<JOINT 666>で「一緒に飲みたいな」

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VAMPSが1月9日、籠城型にして対バン形式となるツアー<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>の名古屋公演初日をZEPP NAGOYAにて開催した。ZEPP TOKYO 6DAYS、なんばHATCH 6DAYSを経て、追加ワンマン公演を除くと、ジョイントツアーはここZEPP NAGOYAが最後の決戦地となる。その初日の対バンはNothing's Carved In Stoneだ。

◆VAMPS × Nothing’s Carved In Stone 画像

ギタリストの生形真一(ELLEGARDEN)とベーシストの日向秀和(ストレイテナー/FULLARMOR etc.)を中心に、ドラマーの大喜多崇規(FULLARMOR)とヴォーカリストの村松 拓(ABSTRACT MASH)を迎えて結成されたNothing's Carved In Stoneは、2009年の始動から現在まで毎年コンスタントにアルバムリリースを重ね、ライヴの場で着実に確実にステップアップを遂げてきた。メンバー個々のプロフィールを見れば、その実力のほどはうかがい知れるだろう。加えて、7年間の真摯な活動が一朝一夕には成し得ないグルーヴと鉄壁のバンド感を育み、極上のサウンドを響かせている。

というバンドだからこそ、大型フェス出演は茶飯事。時代を築いてきた大御所から新進気鋭の先鋭バンドまで、異種格闘技戦的な対バンも珍しくない。しかし、開演前の楽屋で行なったインタビューでは「今回の対バンはそのどれとも違う」とメンバーが話してくれた。VAMPSと初顔合わせとなるこの日は、Nothing's Carved In StoneにとってもVAMPSにとっても2016年一発目のライヴとなる。フロアを含め、ある種のテンションの高さを伴っての開幕となった<JOINT 666>名古屋初日。そこにはヒリヒリした緊迫感と、すこぶるゴキゲンな音楽があった。



ステージを覆う幕に“16:60”の時刻が示されると会場に流れるSEの音量が一気に高まり、“16:66”10秒前からBLOODSUCKERSのカウントダウンが始まった。青一色に照らされた舞台上から、日向の重厚な轟音ベースが響き渡る。冒頭からの凄まじいサウンドとフレーズに、全身が引き寄せられて微動だにできない。照明が赤一色に変化すると生形のキレ味鋭いアルペジオリフが重なり、ライヴは「Gravity」からスタートした。続く「Milestone」は生形の高速アルペジオと日向のスラップの応酬、16ビートを基調とした繊細な大喜多のドラムとそれらを貫く村松のフィジカルなヴォーカルが超満員に膨れあがったZEPP NAGOYAの隅々にまで轟く。序盤からしてサウンドとアンサンブルが桁外れに濃厚だ。

「こんばんは、Nothing's Carved In Stoneです。初めましての人も多いと思うけど、オレたちも“ブラサカ(BLOODSUCKERS)”だから。最後まで盛り上がっていこう、よろしく!」──村松 拓



最初のMCで村松がこう語るとフロアが大歓声と拍手に沸き、ストレートなロックチューン「YOUTH City」、様々なリズム要素が詰め込まれた「(as if it's)A Warning」の連打へ。序盤こそ凄ワザの応酬に固唾を飲んで聴き入るような場面が見受けられたが、疾走感と高揚感が充満した「YOUTH City」でフロアのそこかしこに腕が挙がり、スリリングで混沌としたリズムアプローチが秀逸な「(as if it's)A Warning」にダンスの輪が広がった。「今日は呼んでいただいて本当にありがとうございます!」というMCに続けて村松が語ったのは、最新アルバム『MAZE』の表題曲と、この日のライヴをなぞらえたものだった。

「長い迷路があって、その中で人と人が出会う。それは人が変われるチャンスだと思います。今日こうしてみんなに出会えたことを嬉しく思います。思い切り交ざり合って、僕らの熱を受け取ってもらって、楽しいライヴにしてもらえたら嬉しいです!」──村松 拓


迷路や迷宮を意味する「MAZE**」という楽曲は、人と人とのつながりについて書かれたナンバーである。Nothing's Carved In Stoneにとっては、BLOODSUCKERSとつながること、その熱をVAMPSにつなげることが自らに課したひとつのタスクのようなものだったのかもしれないが、この夜の彼らは、その純度の高いサウンドで、自身のファンはもとより、BLOODSUCKERSを丸ごと引き寄せることに成功していたようだ。セットリストも見事なもの。乗りやすい曲を連発するわけでも、曲調の幅広さをみせつけるわけでも、ましてやそのテクニックを誇示するわけでもない。Nothing's Carved In Stoneというマントルの爆発を何度も叩きつけられるかのようなナンバーの数々は、あまりにもコアで彼ら本来のサウンドが伝わってくるというものだ。

最新アルバム『MAZE』からのナンバーを中心に構成された中盤までに対して、後半は「November 15th」「Out of Control」「Spirit Inspiration」といったライヴでお馴染みのナンバーが投下される。ラウドでグルーヴィ。そこに無駄な音は一切ない。だからこそ、ひとつひとつのアンサンブルが目に見えるようにクリアだ。ステージから発せられる音を全身に感じながら、最後までそのパワーに圧倒される。複雑だけど整然と絡み合うプレイ、音壁に息ができないほど。あっという間に駆け抜けた全8曲全45分に釘付けとなり、彼らがステージを去ろうとした瞬間、高々と掲げられた手がフロアいっぱいに広がった。そして万雷の拍手はしばらく止むことがなかった。


まさしく圧倒的なNothing's Carved In Stoneならではの熱量が余韻として残るステージにVAMPSが登場したのは、そのわずか15分後のこと。場内が真っ赤な照明に照らされ、SEが一際大きく轟くとステージを覆う幕が左右に開いた。片足を台に乗せて客席を凝視するHYDE、空気を切り裂くように鋭いリフを刻むK.A.Z。飛び交う拍手と嬌声。続けざまに繰り出された「LIPS」「MADE IN HEAVEN」といった性急なアッパーチューンがBLOODSUCKERSを狂暴にさせる。フロアが鼓動するかのごとく波打つほどに。「MADE IN HEAVEN」の曲中、「カモン!名古屋!」と叫んだHYDEに応える過密状態の歓声が凄まじい。

「BLOODSUCKERS! 首洗ってきた!? ちゃんと良い子にしてたんだろうな。今日は悪い子になっていいからね。Are you fuckin' ready!? しばらく楽しませてもらうぜ、名古屋!」──HYDE


「SWEET VANILLA」で再び火を点けたステージは、一転、溶け込むように柔らかな「I CAN FEEL」へ。リズム隊の淡々した8ビートの上をループするK.A.Zのテーマリフが、あまりにも美しく妖しい空間を描き出した。「JESUS CHRIST」は全身全霊を傾けているといって過言でないサウンドの荘厳な重なりだ。アグレッシヴで情熱的でありながら、ロックに欠かせぬグルーヴ感が全体を支配する。そして、JINのピアノソロから「VAMPIRE'S LOVE」への流れはもはや自然の水流のようなもの。ステージを重ねるたびに色濃く響き、深いバラードに涙腺まで刺激された。

タイプの異なる4曲が続けられた中盤だが、楽曲同士の連なりは、そこに描き出されるドラマを高め、心をとらえて離さない。そして、悲しみを帯びた音色が、やがて全てを浄化するように輝かしく移り変わる「ZERO」へ。これら心の奥底に訴えかけるような一連のサウンドが感嘆の溜息と感動を叫ばせるばかりだ。

「用意はいいか!? すげぇところ見てぇな、BLOODSUCKERSの。やれんのか!?」──HYDE


鼓動の高鳴りを抑えられない「AHEAD」のイントロは激動の後半戦への序章だ。ステージ上手下手から白煙が上がった「BLOODSUCKERS」では、「オレたちのBLOODSUCKERSはもっとすごかったよね。好きにしていいから。本能のままにいこうぜ!」とフロアを煽りに煽り、本編ラストの「MIDNIGHT CELEBRATION」へ。ツアーを重ねて強靱さを増したグルーヴが濃縮された状態で放たれるクライマックスは、吹き荒れるノイズ、エキセントリックなサウンド、パワフルなステージに露呈された肉体的なバンド感が全開。衝動的なロックの本質をぶっ放して終了した。




「THE JOLLY ROGER」で鮮烈に幕を開けたアンコールのMCでは、HYDEから新年の御挨拶も。

「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。急にライヴが始まってしまって。ゆっくり餅でも喰っていたいところなんですけど、そういうわけにもいかないご時世といいますかね(笑)。今日はNothing's Carved In Stone。彼らも「ブラサカだ!」って言ってくれたんで。聞き逃しませんでしたよ。今日はブラサカらしく、一緒に飲みたいなと。(「髪切った?」という歓声に対して)ん?タモリさん?(笑)。そんなに切るつもりはなかったんですけど、あれ?っていうくらい気づいたら切ってくれてて(笑)。また伸ばすけどね。えっ?短いのがいいの? 本当は今は長いのが好きなんですね。長いブームがきてるんです」──HYDE

ファンとの至近距離のやり取りを楽しんだHYDEは、「もうすぐApocalypticaが来ますね」と告げて、彼らとのコラボ曲「SIN IN JUSTICE」へ。アンコールラストは「たっきゅん、呼んでもいいかな?」と親しみを込めた愛称で、Nothing's Carved In Stoneのヴォーカリスト村松を呼び込んだ。もはや沸点を超えた場内をさらに熱するかのように始まったのは、もちろん「SEX BLOOD ROCK N' ROLL」だ。ステージに登場した村松はHYDEやK.A.Zとハイタッチ。2人のフロントマンによって繰り広げられる扇動的なラストナンバーに導かれるように、客席もクラウドサーフの嵐。ブレイク部分ではHYDEと村松による華麗なジャンプで名古屋初日が着地した。


「Thank you so much!」と客席に投げキッスを贈ったHYDE。2016年の始まりは笑顔の似合う幕開けとなった。次の公演は翌日、ジョイントアクトはROTTENGRAFFTY。彼らもVAMPSとは初顔合わせとなるだけに、どんなステージが繰り広げられるか、新年早々楽しみな場面が続く。

取材・文◎梶原靖夫(BARKS)
撮影◎田中和子

■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>
12月12日@なんばHATCHセットリスト

【Nothing's Carved In Stone】
01.Gravity
02.Milestone
03.YOUTH City
04.(as if it's) A Warning
05.MAZE**
06.November 15th
07.Out of Control
08.Spirit Inspiration
【VAMPS】
01.EVIL
02.LIPS
03.MADE IN HEAVEN
04.SWEET VANILLA
05.I CAN FEEL
06.JESUS CHRIST
07.VAMPIRE'S LOVE
08.ZERO
09.AHEAD
10.BLOODSUCKERS
11.MIDNIGHT CELEBRATION
ENCORE
12.THE JOLLY ROGER
13.SIN IN JUSTICE
14.DEVIL SIDE
15.SEX BLOOD ROCK N’ ROLL


■<VAMPS LIVE 2015-2016 JOINT 666>

追加公演【福岡 ZEPP FUKUOKA】
2016年01月21日(木)
2016年01月23日(土)
2016年01月24日(日)
(問)キョードー西日本 092-714-0159
追加公演【札幌 ZEPP SAPPORO】
2016年01月28日(木)
2016年01月30日(土)
2016年01月31日(日)
(問)マウントアライブ 011-623-5555
OPEN 18:00 / START 19:06 (平日)
OPEN 16:00 / START 17:06 (土日)
前売り 6,660円(税別)

【東京 ZEPP TOKYO】
2015年11月12日(木) MY FIRST STORY
2015年11月13日(金) MONORAL
2015年11月15日(日) ASH DA HERO
2015年11月16日(月) HIM
2015年11月18日(水) HIM
2015年11月19日(木) HIM
【大阪 なんばHATCH】
2015年12月05日(土) ASH DA HERO
2015年12月06日(日) Derailers
2015年12月09日(水) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月10日(木) KNOCK OUT MONKEY
2015年12月12日(土) Nothing More
2015年12月13日(日) Nothing More
【名古屋 ZEPP NAGOYA】
2016年01月09日(土) Nothing’s Carved In Stone
2016年01月10日(日) ROTTENGRAFFTY
2016年01月13日(水) Apocalyptica
2016年01月14日(木) Apocalyptica
2016年01月16日(土) Apocalyptica
2016年01月17日(日) Apocalyptica

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