【インタビュー】LIPHLICH 久我新悟「『破壊の日』にしようと燃えています」
■LIPHLICH流の和洋折衷
■メンバー全員の技量とか経験が爆発しているアルバムになった
──先日ミュージックビデオのスポットが公開された「不条理、痛快、蛇の歌意」ですが、和風なメロディーをピアノで弾いていますよね。映像ではシャンデリアがある洋風の部屋でメンバーが和服を着ていて、視覚・聴覚共に和洋折衷が楽しめる曲だなと思いました。和装を好んでいらっしゃる進藤さんは、撮影中どんなご様子でしたか?
久我:渉くんはご機嫌でした。この曲は、元々タッキー(新井)がオケを作ってきたものです。リズムは良かったんですが、旋律にパンチが足りないなーと思って2人で色々と話し合いながらゴッチャゴチャに壊して面白くしていった感じです。パズルを組み立てるみたいで楽しかったです。リズムが先にあったので、まず歌は超早口で日頃の鬱憤みたいなものをまくし立てるような歌にしようと思いました。イメージはドラマ『リーガルハイ』の堺雅人さんです。ベラベラベラベラベラベラ相手に隙を与えずにずーっと悪態をついてる、みたいな笑 その後にサウンドも異国感のあるテイストにしていきました。
和装については、この歌のイメージが悪態ついてるようなものなので、そこからワラ人形に五寸釘をカーンカーン!と打ち付けて呪いでもかけそうな怖い老婆が頭に浮かんで、そこから「じゃあ着物」となって、でも着物をメインにしているバンドもいるので、和のイメージを全面に押し出し過ぎないように撮影場所は思い切り洋風にして……という具合に出来あがりました。LIPHLICH流の和洋折衷がうまく出せたと思います。「ウロボロス」のMVはまだSPOT映像等出ていないですが、元々この「ウロボロス」のMVがアルバムを象徴するようなMVになっていますのでそちらも楽しみにしてもらいたいです。
▲進藤渉(B)
──アルバムを通して、一番驚いたのは「リインカーネーション」でした。『24時間テレビ』で流れていてもおかしくないくらいの壮大さで。今までにこういう曲って無かったんじゃないかなと。
久我:この曲はたぶん制作に1番時間がかかりました。歌詞も何度も書き直したり。単純に名曲ができたなぁと感じています。元々メンバー全員普遍的なメロディやサウンドも好きなんです。ただひねくれているだけで笑 曲調は“破壊と創造”というテーマに合っていると思います。
僕の中でバンドの曲は幅広くあるべきというのがあって……例えばバンドによって1つのサウンドを追求し続けて進化させていくっていうスタイルもあると思います。メタルならどこまでもメタル!みたいな。それも信念を持っていてすごくカッコイイし憧れもあります。それはきっとメンバー全員がそのサウンドを愛しているからこそできるんだろうなと思っていますし。LIPHLICHのメンバーはあれもこれも好きで良いとこ取りしたいタイプなので色々とやりたくなってしまうし、その反面すぐに飽きちゃうんですね。だから毎回色んなタイプの曲を作りたくなる。その中で広くパッとバンドのイメージになるような曲とサウンドっていうのがあって、というか色々やるならまずそれがないとダメだと思うんですが、僕らの曲だと「マズロウマンション」とか「飽聴のデリカテッセン」とかですね。そういう曲があってから、どこまで幅を広げられるか、どこまでギャップを持たすか、バランスをとるかっていうのがバンドのセンスだと思っています。
以前だったらメジャーキーでこんなに明るい印象の曲をLIPHLICHでやるのはダサいとかセンスや美学に反すると感じていたんですが、今だとLIPHLICHでこういう曲をやるのが良いと思っています。うちがやるからカッコイイんだみたいな。歌詞もそうですね。リリースされてからじっくり読んでもらいたいです。
──「リインカーネーション」の楽曲全体の雰囲気はもちろんなんですが、特にギターのフレーズでジーンときてしまいました。新井さんがいい顔をして弾いている姿が目に浮かびます。
久我:まさに、ライブでは顔でギターを弾いてくれると思います。歌うギター……大好きなギターですね。全曲通してギターのスキルアップ具合が凄いと思っています。タッキーも自分で「俺、ギターうまくなったなー」ってボソッと言ってましたし笑 やっぱり良いギタリストっていうのは顔で弾きますよね。ギターだけでなくメンバー全員の技量とか経験が爆発しているアルバムになったと思います。
▲新井崇之(G)
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