【ライヴレポート】LUNA SEA、SLAVE限定GIG2日目「歴史を今日、塗り替えたい」

ポスト

LUNA SEAが12月23日と24日の2日間にわたってFC限定ライヴ<SLAVE限定GIG 2015 The Holy Night –To The Next Dimension->をZepp DiverCity Tokyoにて開催した。LUNA SEAがこの先も止まらないことを宣言し、バンドの根幹が何も変わっていないことを証明したともいえる最終日、24日の模様を詳細レポートでお届けしよう。

◆LUNA SEA 画像

セットリストは彼らにしては珍しく、曲順も含めて2日間、全く一緒だったが、これは多くの人が見られるよう抽選で当選した人が2日間1人もかぶっていないゆえのLUNA SEA側の配慮だったのだろう。


聖夜にふさわしい賛美歌が流れる中、SUGIZO、真矢、J、INORAN、RYUICHIが順番に姿を現し、定位置にスタンバイすると超満員のフロアが大歓声に沸いた。SUGIZOが右手を高く掲げ、フランジャーをきかせたギターで空気を切り裂くとオープニングナンバーは「SLAVE」。のっけからガシッと塊になったバンドサウンドは初日を超えている。SUGIZOとINORANが下手で向かい合ってギターを鳴らし、エンディングでJがペットボトルを投げいれ、太く芯のあるベースで始まる「TIME ID DEAD」に突入するとSLAVEは早くも大熱狂。SUGIZOがセンターで身体を反らし、伸びやかなロングトーンが冴えるソロを響かせるとRYUICHIが肩に手をかけ、見逃せない場面の連続だ。

「みんな、元気ですか? 今夜はLUNA SEAの終幕から15年目なんだよね。そして<One Night Dejavu>からちょうど8年、俺たちが初めて(東京)ドームに立ったのが20年前です。そういう歴史を今日、塗り替えたいなと。“2015年12月24日にやばいGIGをやったよね”みたいな。今日は何してもいいから思いきり暴れて帰ってください」──RYUICHI

メンバーの衣装は初日も2日目も真矢以外は黒で統一。INORANは初日、ライダースを着ていたが、この日は4人ともジャケットだ。

鮮やかな赤の照明の中、燃えるような「Rouge」が投下され、その熱をさらに上昇させる「JESUS」へ。LUNA SEAのアッパーなナンバーはリズムのキレとブレイクの全員のタイミングが大きな鍵を握っている。パフォーマンスの華やかさは言うまでもないが、RYUICHIのヴォーカルと真矢のドラムを中心線に鳴らされる弦楽器のアンサンブルも聴きどころ満載だ。


そして本ライヴに向け、SLAVEからリクエストを募った結果2位にランクインした「a VISION」は凄まじかった。大歓声の中、RYUICHIが圧倒的な声量の歌を響かせ、SUGIZOのギターが唸りを上げ、真矢が入魂のドラムでドッシリと支え、INORANが最前列にギターを向けて煽り、Jのビートにコールが起こる。終幕前のLUNA SEAは、全員がフロントマンでありライバルだと表現されていたが、月日を重ね、スキルを磨き、各自がソロアーティストとしてもポジションを確立している今なお、そのスタンスは不変である。RYUICHIの歌が振り切れるほどに全員の演奏が呼応するかのように刺激しあって、高みにと昇りつめていく。これこそLUNA SEAの真骨頂だ。

「今夜はみんな最高だね。昨日もすごく盛り上がったんだけど、今日はさらに上を行くからね。日々上を行って、上を行って、わからなくなったら立ち止まるけど(笑)、常に目線は上にあるからさ。忘れられない夜にしようぜ! SLAVEでみんなが投票してくれた曲たちがいっぱいあって、その中からクリスマスプレゼントというか、久々の曲たちを選びました」──RYUICHI

そんな言葉の後に演奏されたのはリクエストの4位にランクインした「TWICE」と名盤中の名盤『MOTHER』に収録されているリクエスト3位の「AURORA」である。美しいメロディとスケール感のあるグルーヴに揺らされるこのセクションはSLAVE限定GIGならでは。特に20年ぶりに披露された「AURORA」は音を最小限にまで削ぎ落としたアプローチが曲の魅力をあますことなく引き出していたのが印象的だった。


SUGIZOがヴァイオリンをかまえると場内からはSUGIZOコールが。その音色に耳を澄ませ、惜しみない歓声を送り、歴代のライヴで熱狂的な支持を得てきた「RA-SE-N」ではLUNA SEAワールドの渦に巻きこまれていく恍惚感を覚えた。彼らがニューウェイブ、ゴシック、プログレッシブロックに影響を受けたバンドであることがダイレクトに伝わるこの曲もSUGIZOがヴァイオリンからギターへと持ち替えて演奏するという新たなアプローチで鳴らされ、RYUICHIのシアトリカルなヴォーカルと一触即発の演奏に息を呑んだ。

そして、ここで区切るのかと思いきや、真矢の高速ドラミングで始まるインディー時代からの代表曲の1つ「BLUE TRANSPARENCY」へ。センターでRYUICHIとINORANが向かい合い、SUGIZOとINORANが背中合わせでギターを弾くなど、再び、見逃せないシーンの連続のステージが繰り広げられた。

「今日は晴れたね。昨日はINORAN(雨男)に負けたけど」とRYUICHIが笑い、初日にひき続き、LUNA SEAが“嵐を呼ぶバンド”(重要なライヴがことごとく台風や大雪、突風に襲われてきたため)と呼ばれてきたことに言及。「嵐を呼んでいるのがLUNA SEAだということが科学的に証明されたら…」と話し、「どの会場でもできなくなったら、LUNA SEAの小屋作るしかないな。“SLAVE限定ドーム”とかどう?」と笑わせた。


「Metamorphosis」で幕を開けた後半戦はJのベースがバンドをグルーヴさせ、INORANの空間系ギターサウンドがインターでフィーチャーされた後に、SUGIZOが速弾きとアームプレイの合わせ技のソロプレイで魅了し、曲間ではINORANが生声でシャウト。耳に手を当てて歓声を浴び、「TONIGHT」のギターカッティングが響きわたると場内は大合唱だ。

この曲の途中でRYUICHIが突然、マイクスタンドと目の前のモニターを蹴り倒し、暴れながらシャウトするという場面もSLAVEの度肝を抜いた。何が起こるか予測不可能のLUNA SEAのライヴは、これだから今も一瞬たりとも目を離すことができない。何らかのトラブルが原因だったのかもしれないが、その後のRYUICHIのヴォーカルは言うまでもなく鬼気迫るものがあった。超絶シャウトで煽り、「Dejavu」へとなだれこみ、下手ではSUGIZOとJが並んで煽り、同じセットリストとは言え、初日とは異なる緊迫感がLUNA SEAとSLAVEを燃焼させていった。そして本編ラストは全てを浄化させるような「BELIEVE」で締めると、真矢はスティックを宙高く放り投げた。

“アンコール”代わりのSLAVEが歌う「きよしこの夜」が響きわたる中、やがて天井から雪が舞い落ちると、クリスマスイブにぴったりの演出に“ウォーッ”という大歓声。そんな幸せな景色の中、5人が笑顔で姿を現した。「次のナンバーは俺たちからのプレゼントです」と披露されたのはリクエスト1位に輝いた「FOREVER&EVER」だった。


メンバー紹介ではまず最初に『MOTHER』からLUNA SEAのサウンドをサポートしてきたマニュピレーターの菊地氏(d-kiku)がステージに呼びこまれた。背後からSUGIZOがスプレーを吹きかけるイタズラをしたのも長年の付き合いならでは。RYUICHIが仕切る順不同のメンバー紹介では、INORANがAC/DCのリフを弾き、SUGIZOも長年のSLAVEを喜ばせる映画「007」のフレーズを弾き、生声で「昨日、盛り上がったからもう1回、やってみよう! 男! 女!」と叫んで場内を盛り上げる。Jは湧き上がるJコールに両耳を澄ませ、真矢はドラムセットから降りて、センターへ。「今日はキミたちに絶対に後ろ姿は見せない。なぜなら、ちょっとズボンが破れた」と笑わせ、「SLAVE、SLAVEってキミたちのこと言ってるけど、実は俺たちがキミたちのSLAVEなのかもしれないね」とコール&レスポンスで沸かせて去っていくものの、INORANにジャケットをめくられて苦笑。最後にINORANに紹介されたRYUICHIがついに核心に触れた。

「今日はたくさんみんなに話すことがあるんだ。それは俺がキレたとか、そういうお詫びじゃなくて(笑)。みんなに聞いてほしいのはもうちょっと内容のあること。何と俺たちはニューアルバムを作っています」。大歓声の中、さらにRYUICHIは続けた。

「まだまだ、やることがいっぱいあるんだよね。来年の結成記念日の5月29日、SLAVEと共にイベントをやりたいと思ってます。そして、昨日、5人で集まって思ったんだけど、12月23、24日って俺たちの日じゃない? やっぱり、その2日にLUNA SEAはコタツでミカン食ってちゃダメだと(笑)。ミカン食べるのは俺と真ちゃんぐらいかもしれないけど。2016年12月23、24日! さいたまスーパーアリーナでライヴやります! 」──RYUICHI

想像を超える発表に大興奮のフロアの中、「ROSIER」が勢いよく放たれ、これもLUNA SEAの歴史と切っても切り離せない初の東京ドーム公演で初めてカヴァーされた「White Christmas」が披露された。そしてラストナンバーは「WISH」。場内にSLAVEの歌声が響きわたった。

「俺たちのこれからの歩みは、他のバンドが経験したことがない歩みになると思います。LUNA SEAがこんなふうになるんだって思うような、いい意味での裏切りを新しい音源で届けたいと思ってます」

最後にRYUICHIはこう告げ、みんなに拍手を送ったJはマイクに向かって「素敵な夜を。メリークリスマス!」と挨拶。いつものようにセンターで深く頭を下げたSUGIZOは名残惜しそうに会場を見つめ、ステージを去った。

取材・文◎山本弘子

<LUNA SEA SLAVE限定GIG 2015 The Holy Night -To The Next Dimension->
2015年12月24日(木)@Zepp DiverCity Tokyoセットリスト

01.SLAVE
02.TIME IS DEAD
03.Rouge
04.JESUS
05.a VISION
06.TWICE
07.AURORA
08.Violin Solo〜RA-SE-N
09.BLUE TRANSPARENCY
10.Metamorphosis
11.TONIGHT
12.Déjàvu
13.BELIEVE
encore
EN1. FOREVER & EVER
EN2. ROSIER
EN3. White Christmas〜WISH


■LUNA SEA
2016/12/23(水・祝) さいたまスーパーアリーナ
2016/12/24(木) さいたまスーパーアリーナ

SLAVEリクエスト曲 最終結果発表

1位 FOREVER & EVER
2位 a Vision
3位 AURORA
4位 TWICE
5位 ANUBIS
6位 NIGHTMARE
7位 INTO THE SUN
8位 STAY
9位 Claustrophobia
10位 FEEL

LUNA SEA 25th Anniversary PREMIUM BOX(仮)

■セット内容: (12/24現在)
「写真集」A4判・上製・80頁予定
「インタビュー集」 A5判・並製・128頁予定
「メンバーオリジナルプリント」A5サイズ・各メンバー2枚×5予定
※特製ボックスケース入り予定
■先行予約特典: 内容未定 ※近日公開予定
■価格:¥28,000(税込)
■発売元:㈱ファミマ・ドット・コム/企画・編集: ㈱KADOKAWA
■先行予約受付期間:2015年12月24日〜2016年1月31日 ※完全受注生産
■発売日:2016年5月29日発売 
※先行予約受付分は2016年5月21日発売予定です。
※記載されている情報は発表日現在のものです。価格、仕様、その他の情報が変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
※この先はfamima.comに遷移します。個人情報保護方針や利用規約はfamima.comに従うものとします。
※商品の発送はfamima.comが行います。

◆SLAVE限定GIG初日レポートへ

この記事をポスト

この記事の関連情報