【インタビュー】Purple Stone、新曲「回転木馬」が描く「時間の流れと変わらぬ記憶」

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Purple Stoneが12月9日、3rdシングル「回転木馬」をリリースする。表題曲は作詞者の風麻曰く、「時間の流れを連想させるものがある」という“メリーゴーランド”を題材に、悲劇の恋を艶やかに表現したドラマティックナンバーだ。加えて、“メリーゴーランド”でなく“回転木馬”という言葉を選んだところに、郷愁や変わらぬ記憶を感じさせる味わい深さがある。

◆「回転木馬」ミュージックビデオ

サウンドはエモーショナルだ。ロックを基調としてオリエンタルテイストが散りばめられたアレンジが、ループする心情とその移ろいを描き出した。また、通常盤A収録曲「アドレナリンBANG!」にはレゲエアレンジが採用されたほか、Purple Stone史上最もチューニング下げてギターRECを行なうなど、新たな挑戦もそこかしこに見受けられる。12月11日には初の東京ワンマン開催が決定していることをはじめ、ますます上昇気流を描き続ける彼らに楽曲構築法の詳細まで訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■ラブソングの形を採っているけど
■人生を重ねて聴いてもらうこともできる

▲Keiya(Vo)

──ニューシングル「回転木馬」の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

Keiya:僕らはリリースに関係なく曲作りをしていて、常にストックを切らさないようにしているんですね。前シングルは、その中から「アオイヤミ」を選出して、次はどういう曲でいこうかという話になった時に、「回転木馬」が良いんじゃないかということになりました。以前から出したいと思っていた曲で、一番良いタイミングが来るのを待っていたんです。

風麻:原曲を作ったのは、結構前ですね。デモを聴いたGAKが「ぜひアレンジさせてください」と言ってくれたんです。完成形を聴くと分からないだろうけど、僕が作った原曲はメロコアっぽい感じだったんですよ。GAKは「曲調よりもメロディーにインスパイアされた」と言っていたよね?

GAK:そう。サビのメロディーを聴いた時に、オリエンタルテイストとロックを混ぜたら面白いものになるんじゃないかなと直感的に思ったんです。そういう方向性で勢いに任せてアレンジを進めていって。大体のアレンジを形にした後に新しい世界観に合わせてメロディも少し変えました。

風麻:GAKがアレンジしたトラックを聴いた時は、あの曲がここまで変わるんやと思ってビックリしました(笑)。その後、作詞に取り掛かったんですけど、当時はちょうど1stシングルの「甘酸っぱいマンゴー」リリース前後の時期だったんです。すごくインパクトのあるタイトルだから、2~3作目もタイトルは大事にしたいなと思っていて。「甘酸っぱいマンゴー」には勝てないにしても、それに匹敵するなにかが欲しいなとずっと考えていました。

──結果、フックのあるタイトルになりましたね。メリーゴーランドではなく、回転木馬という和的な表現も曲調にぴったりで。

風麻:はい。仮歌詞を書いていた時に、サビの出だしは硬い感じの言葉がいいなと思って。そうしたら“回転木馬”という言葉がパッと閃いたんです。古めかしい言葉だけど、最近はあまり使われていないから、逆に新鮮さがあるかなと思って。

▲「回転木馬」初回限定盤

──すごく雰囲気のある言葉ですよね。歌詞の内容的は、過ぎ去った日々を思い返す心情を描いています。

風麻:タイトルを“回転木馬”と決めたちょうどその頃に、昔の写真を見る機会があったんですよ。苦笑いしてメリーゴーランドに乗っている自分の写真があったんですけど、その写真を見ながら“今はもうメリーゴーランドに乗ることもないな”と、少し淋しい気持ちになったんです。大人になると離れてしまうものがあるというか。メリーゴーランドは時間の流れとか、若い頃の恋を連想させるものがあるなと。そこから広げて、昔のことに思いを馳せる心情をテーマにした歌詞を書きました。ラブソングの形を採っているけど、それぞれの人生だったり、人間関係だったりを重ね合わせて聴いてもらうこともできるんじゃないかな。僕は友達を亡くしていて、そこに対する想いも込めている。人は生きていく中で変わっていったり、アイデンティティーを無くしていったりするけど、記憶の中にある人は変わらないじゃないですか。その人のことを思い出すことで、今の自分が見えてくる。そういうことも描いた歌詞になっています。

──エモーショナルな曲調にマッチした深い歌詞になっています。では、この曲のレコーディングはいかがでしたか?

GAK:シンセサイザーや和風の音が乗っているので、ギターに関してバッキングは結構シンプルにしました。サビやイントロはコードを白玉で鳴らしているだけだし、歌のバックもクリーントーンが薄く鳴っている感じ。その分、ギターソロをいつもよりちょっと長めに弾かせてもらいました。昔のハードロックをイメージしたんです。速弾きではなくて泣きのソロというか、僕はそういうプレイがすごく好きなんですよ。

Keiya:ヴォーカルに関しては、風麻から仮歌をもらっていたんです。なので、それを参考にしつつも自分の中でもいろいろやりたいことがあった。たとえば、語尾をちょっとしゃくりあげてみたりとか。ただ、いろいろやってみたけど録ったものを聴くとあまりシックリこなくて、一度なにも考えずに真っすぐ歌ってみようと思ったんです。“モノクロ”という言葉が歌詞に出てくるし、いつもそこにあるはずのものが無いという儚さや虚しさを描いている歌詞なんだから、自分がやっていることはもしかしたら逆やなと。小手先で切なさを出そうとするよりも、ストレートに歌おうとする中に、少しだけ滲み出る切なさみたいなものがこの曲には合うんです。それが分かってようやく方向性が見えた。感情を入れずに歌うことで生まれる情感というのは大きな発見だった。そういう意味で、自分にとって収穫のあるレコーディングになりましたね。

風麻:デモのベースはほぼ8ビートで刻んでいたけどベタっとしているなと感じて、その中に16ビートを入れたらすごく難しくなりました(笑)。先日、「回転木馬」のミュージックビデオを撮ったんですけど、音に合わせて弾いたらメッチャ弾きにくい(笑)。8分から急に16分を引っかけて再び8分に戻ったりするし、Bメロはちょっとずらしたところにキメが入ったり、すごく細かいんですよ。ノリに任せて弾けない曲なのでライブに向けて練習しないと、と思っています(笑)。

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