新世代の四天王が集ったイベントツアー<均整を抗うは四拍子>ファイナルが大成功で幕
ヴィジュアル系シーンで飛躍するバンドと新しいムーブメントを起こしたい。そんな1つの希望を胸に、バンド側が主体となって企画されたのが、本イベント<均整を乱す抗うは四拍子>だ。己龍 、BugLug、vistlip 、 R指定という、四天王との呼び声が高い4バンドが集まったというだけあって、完売する会場も多く、各バンドの人気を見せ付けた。だからといって、益々の人気や知名度が欲しいが為に彼らはこのイベントを行ったわけではない。バンド全員で一致団結することによって、このシーンの活性化に繋がるようにとの思いを込め、各地を回っていったのだった。地方公演6本、そして、7本目となるファイナル公演がついに始まった。
◆<均整を乱す抗うは四拍子>~画像~
9月26日、 ファイナルの舞台に選ばれた新木場STUDIO COASTは、大勢の観客で埋め尽くされた。トップバッターを飾ったのはBugLug。「JUGEMU」を筆頭に、ライヴでの人気曲「骨」や「ギロチン」を相次いで披露。ワンマンライヴさながらの熱いステージングで観客を魅了していく。“トップバッターなんで、とことん騒いで帰りたいと思います!(一聖)”その言葉どおり、最後まで自由なスタイルで観客を楽しませてくれた。前者のように、聴いていて暴れられる曲から、ラストに演奏されたバラード曲「TIME MACHINE」まで、BugLugの楽曲は幅広い。改めて、器用なバンドだということが感じられた。
続いて登場したのは、vistlip。彼らもBugLugと同じように自由なスタイルが持ち味のバンドだが、やはり彼らにしか出せない良さがある。それは、どの曲でもサビが際立っているということだ。J-POPと比べてしまうと、まだまだ世間的には色眼鏡で見られがちなヴィジュアル系ミュージックだが、彼らの楽曲センスに異論を唱える者はいないはず。それほど、どれもクオリティが高いのだ。新曲「COLD CASE」もその内の一つ。骨太なサウンドに乗る爽やかなサビが観客の心を捉えて離さない。最後に、自身のワンマンライヴが12月18日に国立代々木競技場第二体育館で行われることを告知。その上で、“一つでっかくなって、またこんなイベントができたらいいなと思います(智)”と力強く語ってくれたことから、このイベントが彼らにとって有意義なものになったということが分かった。
R指定は見た目の華やかさも相まって、さすがはイベントライヴキラーと呼ばれるだけのライヴを展開してくれた。本イベントで初めて彼らのライヴを観た人は、勢いのあるステージングに驚いたかもしれない。イベントライヴだからといって容赦はしない、それが彼らのやり方なのだ。そうかと思えば、途中にvistlipの「THEATER OF ENVY」と「-OZONE-」をカバーしてしまうという嬉しいサプライズも。本家も登場したことにより、フロアは熱狂の渦に包まれた。死を連想させる曲が多いだけに退廃的なバンドと見られがちだが、そうしたことを歌うのにはちゃんと意味がある。“痛みを共有して生きる糧にしてもらえたら(マモ)”その言葉を受け、ラストの「さらばビッチ」では、他3バンドのファンからも温かい歓声が沸き起こったのだった。
トリを飾ったのは己龍。47都道府県単独巡業ツアー等、ワンマンライヴを多くこなすバンドだけに、本イベントは久しぶりの対バン形式でのライヴとなった。それだけに、他のバンドには負けていられないという、剥き出しの闘志が感じられる良いライヴを見せてくれた。そうやって良い景色を作れたのは、バンドのみならず観客の力も大きい。他3バンドのファンも、自分たちの好きなバンドが登場し終えたからといってそそくさと帰ってしまうのではなく、心から己龍のライヴを楽しみにしていた。だからこそ、「朔宵」では、多くの己龍ファンが扇子を持って曲を盛り上げる中、それに負けじと右手をかざし最高の空気を作り上げていく。こうしたやり取りがあったからこそ、最後まで素晴らしい空間が作れたのではないだろうか。
最後は、出演バンド全員がステージに登場。次回があることを願い、皆が笑顔でその場を後にした。バンド側が主体となって企画したからこそ実現できた本イベント。出演した4バンドのステージを観て、間違いなくこれからのヴィジュアル系シーンを引っ張っていく存在になると確信した。シーンの均整を乱すほどの荒々しさはそのままに、これからもファンと共に素敵な四拍子を奏でていってほしい。
●文 水谷エリ
●撮影 尾形隆夫
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