【ライブレポート】KREVA、<UNDER THE MOON>後半戦にかける人間臭い「思い」

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7月26日、KREVAが自身初となる全国47都道府県ツアー<UNDER THE MOON>、その後半戦である<with BAND STYLE>のセミファイナル公演を東京・中野サンプラザで開催。終演後には2つのビッグニュースを発表し、最後の最後までファンを驚かせた。

◆KREVA 画像

2014年からソロ10周年イヤーを疾走中のKREVAが、2015年に打ち出した自身最大のプロジェクト。それが、2月27日に東京・Zepp DiverCityからスタートし、 約5ヵ月間をかけて47都道府県を回りながらトータル53公演を行なうという今回の<UNDER THE MOON>ツアーだった。47都道府県ツアーを行なうのは、KREVA史上初の試み。

しかも、それをツアーの前半戦はKREVA with DJ+DRUM STYLEで地方に点在する小さなライブハウスを、6月3日の千葉・浦安市文化会館以降はKREVA with BAND STYLEへと形態をシフトチェンジ、会場もホールにジャンプアップさせて行なうという、要は1本のツアーを2種類のハコと形態でライブをやっていこうというものだった。そうして、本来ならこの中野サンプラザ公演が記念すべき47都道府県を廻るロングツアーのグランドフィナーレを飾る予定だったのだが、BANDメンバーの緊急入院により大阪のライブが延期となったため、この日のライブはセミファイナル公演となった。

いうまでもなく、サンプラは余裕で超満員。観客の男女比はほぼ同じぐらい。この日のオーディエンスは開演とともに会場を揺らすテンションではしゃいで踊り、歌いまくり。オープニングから、場内は観客が放つKREVA愛で充満。ホールツアーではバンドの生演奏が加わることによって、既存の曲の端々に大人っぽい雰囲気を感じさせるアレンジを加え、次々と名曲たちをプレイしていったKREVA。

なかでも、ストイックな表情で自身のスキルフルなラップを繰り出して人間臭満載のメッセージを伝える場面では男性ファンをとことん胸アツ、汗だくにしていき、オートチューンをフル活用して、伸びやかな声でメロウなナンバーをロマンチックに披露する場面では思わず「んっ……好き」とつぶやきたくなるようなジェントリーかつセクシーなKREVAで、女性ファンのハートを次々奪っていく。

と同時に、そこにもっていくまでの曲間の茶番劇混じりのパフォーマンスではとことん笑わせ、KREVAマニアから初心者まで気配りを忘れないトークを使ってスムーズに心を通わせる場面も作りつつ、さらには音、照明すべてのタイミングを合わせて繰り広げていく演出では観る者をはっとさるなど、ステージにおける総合エンタテインメント性はさらにスケールアップ。その精度と密度は全都道府県ツアーという経験値が加わり、これまでいた“すごい領域”のさらなる先、それこそMOONの彼方まで高まっていたのである。

プロとして、アーティストとして、ラッパーとしてとてつもないトップレベルにまで到達しながらも、この日のライブを観終わって気づいたこと。それは、今回のツアーは前半戦も後半戦もその幹にあったものは、KREVAという男の生き様をそのまま観てもらいたいというKREVA自身の欲望をストレートにぶつけることによって、オーディエンスと裸と裸の付き合いをするようにリアルなコミュニケーションを重ねたいというKREVAの非常に人間臭い「思い」だ。そして、これこそKREVAが10年目にしてファンに送った「愛」なのではないだろうか。


このツアーに出る前、BARKSのインタビューでKICK THE CAN CREW時代から変わらず、ブレずに歌い続けているとこと、それが自分の“ミスター向上心”(from「これでよければいくらでも」)と呼ばれる部分だと話していたKREVA。向上心を持ち続けて日々生きていくのは大変だ。失敗が続けば誰でも心がポキッと折れるときもある。ポジティブ人間でもない自分が、これまで常に向上心を歌に込め続けられた理由。それをこの日のKREVAは「それは、みんながこうして会いに来てくれるって分かってるから。信じてるから。だから、込められたんだよ」と話した。

これまででもっとも熱い、ストレートなKREVAの愛情表現を受け、客席はこのとき感動の渦に包まれた。そんなファンに「これまでありがとう」という気持ちを直接伝えて回るためにも、今回の47都道府県ツアーがあったのだろう。こうして、KREVAの生き様、ダイレクトな対話を通して、よりファンとの絆を深めていった今回のツアーも、8月25日の大阪フェスティバルホール(振替公演)でついに幕を閉じる。ファイナル公演を前にして、この日のアンコールではKREVAがこのツアーが終わった後は、<908 FESTIVAL 2015>で今年のライブ活動を終え、次作の創作活動に「じっくりじっくり取り組む」ことを発表し、ファンを驚かせた。

「だから、今年のライブは908FESが最後になると思うから、ぜひとも会いに来て下さい」そう伝えた後、ファイナルの大阪公演に向けて「行ってきまーす!」と手を振って最後の挨拶を終え、この日のライブは終了。だが、その直後に客電がおちると映像が流れだし、まだ発表されていなかった<908 FESTIVAL 2015>の東京・日本武道館公演にKICK THE CAN CREWが出演することをいきなり発表。観客を最後まで狂喜乱舞させたセミファイナル公演となった。

47都道府県ツアーではKREVAがみんなが住む場所へとわざわざ足を運び、会いに行った。今年最後のライブ公演となる<908 FESTIVAL>では、全国各地にいるファンのみんながKREVAに会いに行って欲しい。

取材・文●東條祥恵



KREVA 47都道府県TOUR 2015「UNDER THE MOON」後半戦 with DJ+DRUM STYLE

【6月20日(土)振替公演】8月25日(火)大阪 フェスティバルホール キョードー関西
後半戦 with BAND STYLEチケット通常価格:全席指定6800円
*3歳以上チケット必要

908 FESTIVAL 2015 情報

<908 FESTIVAL in OSAKA 2015>
2015年8月26日(水) 8月27日(木)
【会場】大阪フェスティバルホール
【時間】開場:18:00 開演:19:00
【出演】 KREVA / AKLO / 三浦大知 / MIYAVI
【チケット】¥7,000(税込・全席指定)※3歳以上チケット必要
【一般発売日】8月1日(土)10:00〜
【お問合せ】キョードーインフォメーション 06-200-888(全日10:00〜18:00)

<908 FESTIVAL 2015>
2015年9月07日(月) 9月08日(火)
【会場】日本武道館
【出演】
9月07日(月)KREVA (1MC+DJ+DRUM) / KICK THE CAN CREW (3MCs+DJ+DRUM)
9月08日(火)KREVA / 三浦大知 / AKLO / KICK THE CAN CREW and more!!
【チケット】
9月07日(月)¥7,907(税込・全席指定)※3歳以上チケット必要
9月08日(火)¥7,908(税込・全席指定)※3歳以上チケット必要
【一般発売日】8月15日(土)
【お問合せ】ディスクガレージ 050-5533-0888

SINGLE「Under The Moon」

2015年2月25日(水)発売
CD only PCCA-04151 ¥1,200+TAX
※初回生産分のみ「蓄光ジャケット仕様」(9,080枚限定)
1.Under The Moon
2.これでよければいくらでも
3.47都道府県ラップ
4.Under The Moon(Inst.)
5.これでよければいくらでも(Inst.)
6.47都道府県ラップ(Inst.)

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