【ライブレポート】真空ホロウ、現体制ラストステージで「孤独にはならない」

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真空ホロウが7月18日、東京・キネマ倶楽部にてワンマンツアー<真空ホロウ TOUR 2015梅雨~回想列車で全国へ。嘘です本当は機材車です。~>のファイナル公演を開催した。

◆真空ホロウ 画像

本ツアーは、メジャーデビュー後初のフルアルバム『真空ホロウ』を掲げて、6月の高松を皮切りに全国7公演の規模で開催されたものだ。そしてこの日は、村田智史(B)と大貫朋也(Dr)の脱退に伴う、3人揃っての最後のステージでもある。ソールドアウトした会場は、この節目となる一日を、今の真空ホロウの3人を、見届けるべく集まったオーディエンスで埋め尽くされた。

場内が暗転し、3人がステージに登場すると、大歓声と拍手が彼らを迎えた。「真空ホロウへようこそ」という松本明人(Vo/G)お決まりの台詞で幕を開けたステージの1曲目は「開戦前夜」だ。会場の熱は早くも突き上がり、インディーズ時代の代表曲「被害妄想と自己暗示による不快感」では、村田と大貫が向き合って互いの音を確かめ合うかのようなシーンも。自然とクラップが起こり、一緒に歌うオーディエンス。会場は一瞬にして真空ホロウの世界となった。

MCでは、村田がライブに訪れていた父親と掛け合い、「あの親にしてこの子あり」と笑いをとるなど、いつもの和やかな雰囲気で会場を満たす。その後もライブは「新世界より」「虹」と続き、メンバー全員が好きな曲でもある「こどものくに」では、まるで深海に音が降りてくるかのような圧倒的な世界観に、誰もが引き込まれた。

松本が「ブレイクタイム」として設けた弾き語りは、先のアルバムの中で唯一バンド演奏していないという「ミラードール」と新曲「ひかりのうた」が演奏された。時に叙情的に、時にやさしく響く歌声は、人の心に寄り添う一筋の希望を感じさせる。「このツアーは、夢を見るためにも現実を見るためにも大事なものでした」と語った松本。夢と現実の狭間を描いた「回想列車」は、会場をどこまでも温かく包み込んだ。

大貫のドラムソロを挟み、再登場した村田が会場を煽る。これが最後になるであろう二人のセッションに会場もより一層の盛り上がりを見せた。「アナフィラキシーショック」「闇に踊れ」など立て続けに披露し、1曲1曲を惜しむ間もないほどテンションが上がっていく。ダンスロック「Balance cont(r)ol」「MAGIC」ではビートに会場が揺れるのを確かに感じ、何よりもオーディエンスの笑顔が印象的だった。そして、本編ラスト「バタフライスクールエフェクト」へ。ステージと客席の境が完全になくなったかのような一体感をみせ、「これが真空ホロウなのだ」と改めて感じずにはいられなかった。アンコールで再びステージに戻った3人。村田と大貫が今回の脱退についてこう語った。

「真空ホロウは続いていくし、僕らも音楽を続けていくと思う。違う形で応援してほしい」──大貫朋也
「本当はサポート3カ月のはずだったのにここまで続けてこれたのは、何よりもみんなのおかげです。改めて音楽の面白さをみんなから教えてもらいました」──村田智史

思い思いの気持ちを告げ、特に村田が感極まって言葉に詰まるシーンに、涙するオーディエンスも多かった。そして、メンバーの出会いとなった曲であり、今回のツアーでは初の「I do?」を。一音一音を大切に紡ぎだす3人の姿に、思わず心を打たれた。「最後は踊って帰ろう」と松本が会場を煽り、いよいよラスト「Highway My way」へ。今この時を刻み込むかのように伸ばされたオーディエンスの手は、常に3人に向けられていた。目の前に広がる景色は3人が描いたものだ。そして最後の瞬間まで、紛れもなく3人の音だった。ステージに残った松本が、最後に自身の想いを語った。

「3ピースバンド真空ホロウでした。物理的に一人になったわけですけど、孤独にはならないと、皆さんを見て安心しました。これからも歌い続けていこうと決心できました。僕も皆さんを安心させ続けるので、是非これからも、真空ホロウへようこそ」──松本明人

これまで3人が色づけてきた真空ホロウは、これからの真空ホロウに受け継がれ、また新たな色が足されていく。次はどんな景色が見られるだろうか。それを確かめるために、明日からの真空ホロウを見届けたいと思う。3人が去った後のステージには、温かな拍手がいつまでも鳴り響いていた。

取材・文◎矢作綾加

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◆LINE MUSIC「真空ホロウ 28songs」プレイリスト
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