【インタビュー】KOZZY IWAKAWA、次の世代に伝えたいルーツ・ミュージック『THE ROOTS 2』

ポスト

── パールハーバーさんが参加している「JUMP JACK,JUMP!」はウィノナ・カー(Wynona Carr)という人の曲のようですが、この曲はどこから出てきたんでしょう?

KOZZY:これもDJのやつが“パールさんとやるならこれどうですか?”って紹介してくれた曲なんだけど。よくクラブとかでかかっている曲だから、耳にしたことはあったけど誰が歌ってるかは知らなかったんだよね。でも曲はカッコイイなと思って。

── 2曲目の「LEAVE MY KITTEN ALONE」はちょっとマイナーな音で緊張感があるようなメロディですが、THE MACKSHOWのアルバム『スリー・ホット・ミニッツ ~3人はアイドル~(Three Hot Minutes)』でも2曲目はこういうニュアンスの曲でしたよね。

KOZZY:ありましたね。今そういう時期なのかもね、僕たちが(笑)。THE MACKSHOWのこの前のアルバムは1曲目がインストだったけど、今回の1曲目の「NOT FADE AWAY」も、絶対1曲目じゃなきゃいけない曲なんで。

── オープニングから本編という感じで、1、2曲目が並んでいるような。

KOZZY:そうですね。確かにそういうアプローチは前回のTHE MACKSHOWのアルバムと一緒ですね。

── 今、活躍している若いバンドのルーツを探って行ったときに、こういう音楽にたどり着くということはほとんどない気がします。たとえば忌野清志郎さんが好きでルーツを探って行くと、オーティス・レディングやサム・クックに行き着いたりするんですけど、そういうことがあまりないのはさみしいなと思います。

KOZZY:最近、こっちが音楽を勝手に教えてもらったと思っている人が亡くなられることが多いし、僕らはその次の世代としてそういうものも出して行かなきゃいけないな、みたいな使命感も多少あって。特に清志郎さんが亡くなったときにはありましたね、自分の中で。やっぱりああいうソウルとかロックンロールとかR&Bをちゃんと根っこに持ってポップスまで作れるような人だから。それって途切れたらどうなんだろう? みたいな気持ちもあるしね。もちろん、もともと清志郎さんと近い音楽性の人なんていないんだけどね。マイナーな部分ではたくさんいるとは思うけど。

── メジャーなフィールドでそういうことをやってきたという意味ではいないですよね。

KOZZY:うん、そういう影響を受けて掘り下げて音楽を聴いてきた僕たちみたいなのが、続かないとなくなっちゃうなと。もちろん音楽の歴史はなくならないし、でもそれを聴く人がいなくなるのは随分さみしいなと思いますね。ただ次に伝えることを目的とするなら、多少噛み砕かないと若いやつはわからないぞ、というのもあるし。ある意味そういう使命を持ったバンドなんですよね、THE COLTSもTHE MACKSHOWも。で、今回のようにルーツ・ミュージックということに関しての自分のソロだったら、いろんなミュージシャンともやれるしいろんなところにも行けるから、オープンにしておこうみたいな。だってこれいくらやっても儲からないんですよ、所詮は人の曲だから(笑)。利益はそこに求めてないんで。でもそれを聴いてくれる若いやつも出てきていて、そういうものは僕らにとっては宝物だし、金には変えられないものがありますね。

トミー:聴いてて損はないだろうし、やっぱり聴いて欲しい気持ちはありますよ。

KOZZY:音に限らずね、その姿勢というか。(SUGAR SPECTOR『A TRIBUTE TO ELVIS』のジャケットを見ながら)まあ、ここまで掘り下げる必要はないかもしれないけど(笑)。この人は作っちゃいけないものを作ってしまう博士みたいなものだから(笑)。

── この『A TRIBUTE TO ELVIS』にもKOZZYさんは2曲(「TROUBLE」と「BLUE MOON」)参加しているんですよね。

KOZZY:そうです。自分の中では“エルヴィスを歌うの僕!?”って、ちょっとやりすぎじゃないかという気持ちもあったんだけど。やっぱりエルヴィス、ビートルズというのは相手が大きすぎじゃないかと思って(笑)。

── 『THE ROOTS 2』と同じ時期にやっていたんですね。

KOZZY:博士が“僕にはKOZZYさんの声が聴こえるんです”って言うから(笑)。聴こえないでしょ、まだ録ってもないのに(笑)。

── レコーディングはこのスタジオで行なわれたんですか?

KOZZY:「BLUE MOON」はここでやりました。ここって、本当に今いるここ(スタジオ入り口付近)にテレコ置いて。ここに僕が座ってギターを弾きながら歌って、ベースがいて、SUGARがギターを弾いて、モノラルのテープレコーダー1個で。それだけですよ、2回くらいしかやらずに。もう一曲の「TROUBLE」はブラサキ(Bloodest Saxophone)と一緒だったら良いよって言って。それは楽しかった、やっぱり。自分で練習して行って、バンドと一緒だから何回もできないから、一発で決めないといけないという緊張感もあったし。ブラサキと、ずっと鳴ってるか鳴ってないかわからないようなエノッキー(ジャッキー&ザ・セドリックス)さんのギターも一緒に(笑)。

── リリースも同じ3月25日だったんですね。

KOZZY:『THE ROOTS 2』とは違うアプローチで同じようなことを表現しているアルバムなんで、面白いよね。結局のところ、楽しんで自分のルーツをみんなでわいわいプレイして、それを作品にしてみんなが聴いてくれるということは、こんなに幸せなことはないですよ。

── そしてなんと5月には8年ぶりのオリジナル・ソロアルバムのリリースも控えているそうですね。

KOZZY:そう、現在鋭意制作中です(笑)。そして両方のアルバムを踏まえてのツアーも行なうので、こちらもお楽しみに。

取材・文 岡本貴之

この記事をポスト

この記事の関連情報