【インタビュー】究極のエルヴィス・プレスリー・トリビュート。当時の機材で録音環境も再現

2015.4.20 9:41

── 「YOU DON'T HAVE TO SAY YOU LOVE ME」についても訊かせてください。この曲は豪華な音の中でSUGARさんもすごく気持ち良さそうに歌っていますね。

SUGAR：海外のトリビュート盤を聴くと、この曲をみんな再現できていないんだ。シンセで弾いていたり打ち込みになっているのを聴いて“それはちょっと寂しいよな”って感じていたんだ。だから今回僕はこれだけは譲りたくなかった。どんなに困難があっても生音で、全部の楽器をやろうと思ったんだよ。だから全部生楽器で演奏しているんだ。バイオリンも相当な数入れているしね。おそらくオリジナルの演奏で使われる楽器は全部入れていると思うし、音に関してはこの曲はすごく良いトラックだと思う。タワーレコードの初回特典でこのアルバム全曲（※同録の「BLUE MOON」を除く）のトラック集CDが付くんだが、生音で完全にアレンジメントをなぞったトラックをカラオケにして歌えることの意味を理解してほしいね。

── それはどう考えても単なるカラオケではないですね。

SUGAR：「HOUND DOG」のレコーディング写真を見ると、エルヴィスがここにいて、ジョーダネアーズがいて、ビル・ブラックがいてここにD.J.フォンタナがいて、という風に演奏しているんだが、結局彼のマイクに音のかぶりが入るんだ。それを僕のレコーディング・システムでは、その当時のそれよりあと2年進んだ機材を導入している。そのことによってボーカル・トラックだけ分けられたんだ。

── その2年でどこが進化しているんですか？

SUGAR：ステレオだね。ステレオのテープレコーダーを2チャンネルのテープレコーダーとして使ったんだ。それでボーカル・トラックだけを分けて。そこはデジタルの力を借りたんだが、トラックを分けたことで抜き差しができるから、当時と同じ音像で同じ作り方をしたにも関わらず、ボーカルだけを消すことができたんだ。ただ、他の人のマイクには漏れて入ってはいて、かすかには聴こえるんだ。でもそれはオリジナルでもエルヴィスが人のソロの間に鼻歌を歌っているのが漏れて入っている曲があるんだよ。僕は鼻歌も全部再現して入れている。「A BIG HUNK O' LOVE」のソロの手前のところにエルヴィスがマイクから離れて“ラララララ～”と言うんだが、それを僕がコーラスで入れているんだ。

── 鼻歌が漏れているところまで再現していますか（笑）。本当に前代未聞の究極のトリビュート・アルバムですね。

SUGAR：自分で言うのもなんだが、本当に面白いアルバムだと思う。良くこんな作品を作れたなと思うよ（笑）。

── 今後、このアルバムに参加したアーティストによるライヴ・イベント等は考えていないですか？

SUGAR：そうだね。具体的には決まってはいないけど、参加アーティストが全員出られるようなイベントができたら良いなとは思っているよ。それと、こういうトリビュート・アルバムというのは本来ものすごく売れているアーティストがやると文化事業として意味のあるものだけど、みんな古い音をマニアックに追及していても、ここまでのものを作れると思ってなかったと思うんだ。でもできないことはない。自分としては“こういう作品を作ることは不可能じゃない、みなさんどうですか？”という提示をこのアルバムでしたつもりだよ。このアルバムが出来たことで、“これは自分が望んでいたことだから、ぜひやりたい”と思う若者が出てくるかもしれない。2015年にリリースしている作品なんだから、ただの真似とか懐古主義以上のものが必ずあるはずなんだよね。音を聴けばそれがわかると思うよ。そこにどれだけの人が気付いてくれるかなんだ。

取材・文　岡本貴之

V.A./ A TRIBUTE TO ELVIS

FAMC-173　価格:2,300円（税別）
2015年3月25日発売
発売・販売：株式会社 KADOKAWA メディアファクトリー
Released by TONEFLAKE RECORDS
憧れのあの時代のあのサウンド。タイムマシーンの世界にようこそ！
世界屈指のアナログ・ヴィンテージ機材の録音技術者で稀代の音楽家“シュガー・スペクター”総指揮！
エルヴィス・プレスリーのソウル、サウンドを強者ミュージシャンと共に現代に甦らせる究極のトリビュート、本気のカバー・アルバム。
参加アーティスト：
鈴木茂（ex.はっぴいえんど）、KOZZY IWAKAWA（THE MACKSHOW, THE COLTS）、BIG JAY McNEELY 、BLOODEST SAXOPHONE、THE NEATBEATS、ROY（THE BAWDIES）、KAZZ（勝手にしやがれ）、ROCKIN' ENOCKY （JACKIE AND THE CEDRICS）、THE MINNESOTA VOODOOMEN、Alissa、SUGAR SPECTOR 他

1.GOOD LUCK CHARM / SUGAR SPECTOR
Vocal : Sugar Spector
Bloodest Saxophone（Drums : Kiminori Bass : THE TAKEO Guitar : Shuji）
Acoustic Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS Pf&Chours&Baritone Guitar : Sugar Spector
2.HOUND DOG / THE MINNESOTA VOODOOMEN
THE MINNESOTA VOODOOMEN （ Vocal : Ringo Drums : Pete Guitar : Fabian ） Bass : Makiji Kojima
Acoustic Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS
3.TROUBLE / KOZZY IWAKAWA and BLOODEST SAXOPHONE
Vocal : KOZZY IWAKAWA
Bloodest Saxophone （Tenor Sax : Koda "Young Corn" Shintaro Trombone : Coh Baritone Sax : Osikawa Yukimasa Guitar : Shuji Electric Bass : THE TAKEO Drums : Kiminori ）
Tp : Kazz from Katteni-Shiyagare
Acoustic Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS
Pf&Chorus : Sugar Spector
4. BURNING LOVE / SUGAR SPECTOR feat. SHIGERU SUZUKI
Vocal&Chorus : Sugar Spector Drums : Kaoru Bass : Makiji Kojima
Electric Guitar : Shigeru Suzuki ex HAPPY END
Pf&Additional instruments : Sugar Spector
5.LONG TALL SALLY / ROY
Vocal : ROY（THE BAWDIES）
Bloodest Saxophone （Drums : Kiminori Bass : THE TAKEO Guitar : Shuji）
Pf : Sugar Spector
6.I NEED YOUR LOVE TONIGHT / THE NEATBEATS
THE NEATBEATS （ Vocal : MR.PAN Drums : MR.MONDO Bass : MR.GULLY Guitar : MR.LAWDY ）
Additional Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS Pf&Chorus&Acoustic Guitar : Sugar Spector
7.LITTLE SISTER / SUGAR SPECTOR feat. BIG JAY McNEELY
Vocal&Chorus : Sugar Spector Tenor SAX : BIG JAY McNEELY
THE MINNESOTA VOODOOMEN （ Bass : Ringo Drums : Pete Guitar : Fabian ） Baritone Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS
Acoustic Guitar : Sugar Spector
8. BLUE MOON / KOZZY IWAKAWA
Vocal : KOZZY IWAKAWA
Bass : Makiji Kojima
Acoustic Guitar : Sugar Spector
9.A BIG HUNK O' LOVE / THE NEATBEATS
THE NEATBEATS （ Vocal : MR.PAN Drums : MR.MONDO Bass : MR.GULLY Guitar : MR.LAWDY ）
Additional Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS Pf&Chorus&Acoustic Guitar : Sugar Spector
10. YOU DON'T HAVE TO SAY YOU LOVE ME / SUGAR SPECTOR feat. BLOODEST SAXOPHONE
Vocal : Sugar Spector Bloodest Saxophone （Tenor Sax : Koda "Young Corn" Shintaro Trombone : Coh Baritone Sax : Osikawa Yukimasa Guitar : Shuji Electric Bass : THE TAKEO Drums : Kiminori）
Tp : Kazz from Katteni-Shiyagare
Acoustic Guitar : ROCKIN' ENOCKY from JACKIE AND THE CEDRICS Timpani&Marimba : Tomonori Oishi Vn : Sakurako Waseda Hammond Organ&Additional Electric Guitar&Pf : Sugar Spector
11. LOVE ME TENDER / SUGAR SPECTOR
Vocal : Sugar Spector / Alissa by courtesy of Nippon Cultural Broadcasting inc. Guitar&Chorus : Sugar Spector

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