【インタビュー】摩天楼オペラ、光の向こうを目指す凛とした強さと美しいメロディが壮大でドラマティックな「ether」

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摩天楼オペラが、4月8日に8thシングル「ether」をリリース。“ether(エーテル)”という言葉が意味する、光、輝き。争いの絶えないこの世界で、それでも光の向こうを目指そうとする凛とした強さ、美しいメロディ、壮大でドラマティックな音像は感動的だ。表題曲はじめ2曲の作詞・作曲者でもあるヴォーカル・苑、「Round & Round」の作曲、ならびに「ether」が主題歌に起用された映画『心霊写真部 劇場版』の音楽監修も手掛けるキーボード・彩雨の二人に話を聞く。

◆摩天楼オペラ~画像&映像~

■最近のテーマは “ダークファンタジー”なんですが
■ファンタジー要素を加えつつも寄りすぎないアプローチができたんじゃないかな


▲「ether」

――苑さんと彩雨さん、二人でいるときは、どういう話をすることが多いんでしょう。

苑:主にアニメとか……。

彩雨:そうだね。

苑:最近だと、『ダイヤのA』とか、もうすぐ終わっちゃうんですけど(取材は3月下旬)『アルドノア・ゼロ』とか、二人とも観ているからね。

――これ好き!とかこれ面白い!とかって感じるポイントって人それぞれですけど、二人はその感性が近いところにある?

苑:うん、アニメは近いと思います。

彩雨:『ダイヤのA』はスポ根で、『アルドノア・ゼロ』は宇宙で闘うストーリーだから、一貫性はないのかもしれないですけど、はは。

▲苑

▲彩雨

▲Anzi

▲燿

▲悠

――設定はともかく、アツいストーリーが好き、ということなんですかね。

苑:そうですね。二人ともアツいのが好きです。あと、好きな作曲家がたまにかぶったりとか。

彩雨:するね。それから、日本酒好きっていうところも合う。

苑:うん。この間一緒に飲んだときは、ビールからじゃなくて日本酒から始まりました(笑)。そのときは彩雨の家で飲んだんですけど、ツアー先でもよく一緒に飲みに行ったりしますよ。

――さて、どんなに闇に呑まれそうになっても輝ける世界を目指そうという力強さ、気高い美しさをまとう「ether」、この名曲はどうやって生まれたんでしょう。

苑:「ether」は、『心霊写真部 劇場版』のタイアップが決まって、映画のストーリーを踏まえた上で曲を作り始めたんです。

――なるほど、歌詞にしても然りですね。綴られている言葉の数々は、映画のみならず世の中に山積している問題、終わることのない人と人との争いに重なるものでもあると思います。

苑:そうなんです。映画にも描かれている通り、憎しみ恨んで死んでいった人が霊になってしまうわけですが、それと自分が今、日々のニュースなどを見て感じていることを合わせて歌詞を書きました。本当に、理不尽だなと思う事件が後を絶たないですよね。

――それだけに、歌詞を読んでいても葛藤してしまうんですよ。自分が憎しみの連鎖に巻き込まれたとき、本当に許せるだろうかと。

苑:自分も、書きながらすごく葛藤しました。どうしても許せないようなことがあったとして、死ぬまでにそれを許すことができるんだろうかって。

――そういうもがきに対して、何度もリフレインされる“光の向こうへ”というフレーズが救いになってくれるのかもしれません。

苑:完全に許すことはできなくても、許す方向に少しずつでも向かっていくことはできると思うので。もちろん、簡単なことではないでしょうけど……やっぱり、憎悪にかられたらどこまでも闇に墜ちてしまう。せっかくこの世に生を受けたからには、もう一度光を見たいし、そのことで自分も、周りも救われていくと思うんです。

――身近なことだけでなく、国や人種で考えても、それができれば本当に憎しみの連鎖は断ち切れるはずだし、決して諦めたくはないですよね。なお、ドラマティックな曲を鮮やかに彩るサウンドメイクに関しては、作詞・作曲をされた苑さんからメンバーに、どう伝えたんでしょうか。

苑:Aメロ、Bメロ、サビのメロディを、単にメロディ1、2、3っていう感じで持っていって。それをみんなでパズルのように組み上げていったんです。

彩雨:曲作りに関して、最近の摩天楼オペラは“劇的”をポリシーにしていて。どの曲でも、“ハッ”とする要素を入れたり、一筋縄ではいかないアレンジをするということを心がけているんです。なので、「ether」だったらAメロの前にさっきも話に出た“光の向こうへ”というリフレインを入れたりとか。昔だったら、そういうアプローチはしていないんじゃないかなって思いますね。

苑:あと、バグパイプがすごくいいアクセントになったよね。

彩雨:そうだね。最近のテーマは “ダークファンタジー”なんですけど、“ファンタジー”というのは曲を作る上でも頭の片隅にあって。民族楽器を入れようかっていう話から始まり、バグパイプに辿り着いたんです。以前から民族調の曲で民族楽器を取り入れることっていうのはたまにあったものの、そうじゃない曲で取り入れるっていうのは自分的にも新しくて。ファンタジー要素を加えつつも、そっちに寄りすぎないアプローチができたんじゃないかなということも思います。

――ところで……歌詞にちなみまして、些細なことでもメンバー同士で許せないことってあるんでしょうか。

苑:バンドでの仕事があるとき、僕と悠(ドラム)が一緒の車で現場に向かうことが多いんですけど、車を開けたときにすごくニンニク臭いときとかですかねぇ。最近は、そっと窓を開けるようにしています(笑)。

彩雨:そうなんだ(笑)。僕は時間にルーズなのがイヤなタイプなんですけど……ウチのバンドってまず遅れないんですよ。

――ミュージシャンってわりと時間にルーズな人が多い気がするんですけど……。

彩雨:ですよね、はは。でも、みんな必ず時間よりも早く着きますからね。

苑:そうだね、ウチは。

彩雨:僕も電車遅延とかのトラブルを見越して基本的に30分前に着くようにしているんですけど、今日はその僕より先に苑くんが来ていてちょっと驚きました。

苑:あ、今日は間違って1時間早く来たから(笑)。

彩雨:そうだったんだ(笑)。ま、社会人として時間を守るのは当たり前なので。他のことでも、許せないことってまずないから……。

――苑さんのエピソードも、あくまで笑い話ですし。摩天楼オペラのメンバーは、みんなしっかりしてオトナなんでしょうね。

彩雨:っていうことにしておきましょう(笑)。

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