【ライブレポート】LUNA SEA、25周年全国ツアー最終地大阪で未来の提示と感謝の熱演「めっちゃ好きやねん」
LUNA SEAが3月14日に大阪城ホールにて、42公演に及んだ結成25周年記念ツアーのファイナル公演<LUNA SEA 25th ANNIVERSARY LIVE TOUR THE LUNATIC -A Liberated Will- FINAL>を行った。
客電が落ち、360度オーディエンスが囲むステージに「月光」が流れメンバーが次々とステージに姿を現すと、大阪城ホールは大歓声に揺れた。先日の東京国際フォーラム公演のアンコールにて「LUNA SEAはファイナルの大阪城ホールでその足取りを1度、止めます。だけど、俺たちが考えている未来はそんなにネガティブじゃないから。きっと、その未来を大阪でみんなに発表できると思います」とRYUICHIが宣言していたこともあり、WOWWOWでの生中継も入っていたこの日のライヴでLUNA SEAの未来が何らかの形で明らかにされることは間違いなかった。
オープニングで最新アルバム『A WILL』の収録曲「Anthem of Light」が高らかに鳴らされ、RYUICHIが「今日はここをどこよりも熱い場所にしたいんでね。ここにいる全員が俺たちと同じメンバーだから。客とかファンじゃないよ。メンバーだから。みんなで飛ばしていくぞ!」と煽り、「Dejavu」へと突入。INORANがバックヤードでギターをかき鳴らし、SUGIZOが上手、Jが下手に散り、後半では4人がセンターに集結。のっけから“これぞLUNA SEA!”。アリーナクラスの会場を一瞬で虜にしてしまうステージが繰り広げられる。
続いてRYUICHIが“Jesus,don’t you love me?”と叫ぶと、割れんばかりの大歓声が。そして「JESUS」ではSUGIZOとJが向かい合って絡み、終幕前のライヴのキラーチューンがたて続けに放たれたかと思うと、赤に染まった照明の中、「Rouge」が場内の温度をさらに上げていく。SUGIZOのクールなギターリフ、真矢の力強いビート、INORANの鋭いカッティング、Jのソリッドなベースライン、RYUICHIのエッジと情感を兼ね備えたヴォーカル。表現力、スキル、深みは格段に増しているものの、終幕前と終幕後の楽曲たちが1本の線で繋がっていることが一発で伝わるライヴは、それだけで彼らが復活した意味を雄弁に物語る。
「今夜は最後なので過去のどのライヴよりも熱く輝けるステージをみんなと一緒に作りたいと思います。大阪は我々の第2の故郷。初めて自分たちで機材車を運転してきたのも大阪でした。終幕してから約10年近いブランクがあって、それでも全国ツアーが全ヵ所所ソールドアウトして、25万人もの仲間が遊びに来てくれて今日も超満ということで本当に驚いています」
RYUICHIがインディーズ時代の思い出にふれた後、メロディックなベース、ギターのフレーズのアンサンブルが秀逸な「銀ノ月」で幻想的な世界へと誘い、RYUICHIのからみつくような熱いヴォーカルとSUGIZOのギターソロが圧巻の存在感と色気を放つ「Glowing」へと。アルバム『A WILL』の楽曲たちが成長していく様が手にとるようにわかったのが今回のツアーでもあった。
SUGIZOのヴァイオリンのソロにINORANのパーカッシブなアコースティックギターが絡んでいくジャムセッションでは、途中でRYUICHIが登場し、アドリヴで歌うというファイナルにして初のトライも飛び出し、最後は真矢のドラムが加わって、入魂のドラムソロへ。一打、一打に強い意志が込められたドラミングをときに静まりかえったように聴き入り、熱い拍手を送るオーディエンス。「今日は今までで最高の日にするぜ!」と最後には打ち上げ花火があがる光景を浮かび上がらせるような強力なビートで圧倒した。
「大阪、オマエら、最高にカッコいいぜ!」と叫んで、メンバー全員が滑り出すように再びステージに登場。気合いの入ったSLAVEたちに火をつけるLUNA SEAの高速チューン「BLUE TRANSPARENCY」では、RYUICHIとINORANが背中合わせでパフォーマンスする場面も飛び出し、「マジか」と思うぐらいにアッという間に時間が過ぎていく。
中盤、降臨の真矢ドラムソロをメンバーと袖から見ていて感動したと話したRYUICHIは改めてオーディエンスに感謝の言葉を述べた。
「25年前は俺も何もわからなくて、ただ、歌が好きで、でも、メンバーみんな学生時代からプロになるって決めていたわけ。それからずーっと音楽の道にいるんだけど、まだまだ進化できるんじゃない?って。25年経って“これからだな”って思えることってなかなかないよね。それも、みんなのおかげです。ありがとう。ここから見える360度の景色、最高です!!」
“大阪のみんなに”と普遍の名曲「I for you」がプレゼントされ、イントロからRYUICHIがシャウトして煽った「Thoughts」では感情のメーターが振り切れて、爆発するスリリングな瞬間も。後半戦がさらに盛り上がったのは言うまでもない。Jはベースソロで「大阪!ファイナルだぜ!飛ばしていくぜ!」と煽って、ワイルドで太いグルーヴで場内を揺らし、LUNA SEA初のオリジナル曲であり、テッパンの「TIME IS DEAD」へとなだれ込む。25年の月日が流れても、LUNA SEAがある種の緊迫感を保ち、生々しいロックバンドであり続けていること自体も奇跡的なことだと感じる瞬間だ。この流れからの「ROSIER」でJがマイクスタンドを宙高く放り投げ、ダイナミズムと繊細さを兼ね備えた中毒性の高いナンバー「absorb」で本編は幕を閉じた。
ファンの寄せ書きがつまった白と黒の巨大な横断幕をメンバーが客席から受け取り、ドラム台に飾ったアンコールでは、思いがけないことが起こった。すでにみんなの撮った写真がSNS等、いたるところでアップされているが、RYUICHIが「今、思いついたんだけど、写真撮っていいよ。世界でいちばん熱い大阪城ホールを世界中に知らしめようよ。みんな、ツイートしてよ」と呼びかけたのだ。客席からは「ホントに!?」、「いいの!?」と驚きの声が上がり、やがて、いっせいに携帯がステージに向けられた。最高のツアーを終えようとするLUNA SEAの“今”はRYUICHIが話した「みんなと一緒だったら、もっともっとスゴいところに行けそうな気がするんだよね」という言葉に象徴されていたように思う。つまり、それはこのツアーがあったからこそ、バンドの“未来が見えた”ということでもあるからだ。
1万3,000人を驚愕させ、喜ばせたこのサプライズに続いて届けられたのは、本ツアー初披露の「LOVE SONG」(2013年に両国国技館で行なわれたSLAVE限定GIG以来)だった。客席に揺れる無数の手とLUNA SEAからの愛がホールを充たしていく。続いて今の彼らの勢いを加速させる「Metamorphosis」が投下されると、INORANのブレイクでの煽りもホールを熱くさせ、「WISH」では、上手スロープに弦楽器陣が集結するレアな光景も飛び出した。
そして恒例のメンバー紹介では、まずRYUICHIが「大阪という小麦粉の国に来てはや2日目になりますが、まだ練りもの(粉もの)を食べていません。各地で美味しいものをいっぱい食べましたけど、やっぱり最後はタコやねん!」と笑わせ、INORANはRYUICHIの耳元で囁き、RYUICHIが「INORANがめっちゃ好きやねん、だって!」と通訳。SUGIZOは生声で「大阪!大阪! め! っちゃ好きやねん!」と叫び、大歓声を呼ぶ。その様子にRYUICHIは「俺もそれ、やっていい?」と乗っかり、「超好きやねん」と生声で叫んで満足げ。すると連鎖反応(?)から、INORANも笑顔で「め! めっちゃ好きやねん!」とシャウトしてホールは沸きに沸いた。「次の人はやりにくいと思いますが」と紹介されたJは、マイクを通して「すげえ、やりづらいじゃねーか。コノヤロー」と言って笑いを誘いながら「大阪! めっちゃ好きやねん!」とさらに沸かせた。そして“御大”と紹介された真矢は、ホールツアー最後のコール&レスポンス。「みんな、LUNA SEAのメンバーだからさ、俺が“アイ アム”って言ったら“LUNA SEA”って言って」と呼びかけ、マイクスタンドを操っての1万3000人とのかけあいを。ラストには、本ツアーのラストを飾るのにふさわしい大切なメッセージを込めた、スケール感たっぷりのバラード「Grace」が届けられた。
すべての演奏が終わったが、それでも鳴り止まないアンコールの拍手と声援。そんなみんなの想いを受け止めつつ、最後は全員ジャンプで締めた。
「俺たちは確かにここで立ち止まります。そして当分、ツアーという形ではみんなの前に表れないかもしれない」と話すと、会場のあちこちから残念そうな声が上がったが、RYUICHIは「だけど、俺たちには未来があるからさ。また会おうよ。次はさらなる高みを目指すから。愛してるよ。大阪!」と続け、大歓声の中、5人はステージを去った。
20時23分。客電がついた場内が再び暗くなり、スクリーンにLUNA SEAの“未来”が映し出された。LUNA SEA 25th ANNIVERSARY の最終章―epilogue。“狂い咲く毒の華”、“前代未聞の狂騒劇”などのキャッチフレーズが次々に目の前にあらわれ、ザワめく場内。それはLUNA SEA初主宰の史上最狂フェス“LUNATIC FEST.”が6月27日と28日の2日間にわたって幕張メッセで開催されるという告知だった。驚きと喜びで盛り上がる場内。出演者は明かされなかったが、3月20日には特設サイトで次なる情報がアップされることになりそうだ。ワンマンツアーはファイナルを迎えたが、ANNIVERSARY は、新たなレジェンドになりそうなこのフェスで終止符が打たれるということなのか。ますます見逃せない展開になってきた。
Text by 山本弘子
<LUNATIC FEST.>
2015年6月28日(日) 幕張メッセ 1~4 ホール
OPEN 9:30/START 11:00 / END 20:00 予定
一般発売日:2015年5 月30日(土)
チケット料金: 各日¥15,000(税込/DRINK 代¥500 別途)
OFFICIAL FAN CLUB SLAVE限定販売 2 日間通し券:¥28,000(税込/DRINK 代¥1,000 別途)
[問]:LUNATIC FEST.実行委員会
0180-993-122(24 時間テープ対応)
主催:フジテレビ/LUNATIC FEST.実行委員会
後援:InterFM/ニッポン放送
運営協力:キョードー東京
企画:LUNA SEA Inc./バックステージプロジェクト
制作:クリエイティブマンプロダクション
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