【インタビュー】KREVA「そっか、辛いか。でも俺も俺でこう頑張ってるよ」と言ってあげたい「Under The Moon」

■ある意味ブレずに自分の向上心を歌ってきた訳だから
■変わらないことは悪いことじゃないと思えたんです

──では2曲目の「これでよければいくらでも」。ドラマみたいなタイトルですね。

KREVA：本当だ。織田裕二さんが出てきそう。

──「振り返ればヤツがいる」的な（笑）。

KREVA：これは“これでよければいくらでも”ってところのメロディにこの言葉がついてきて。そこから書いていった感じです。

──表題曲よりもこちらのほうが楽曲的にはキャッチーだしポップなんですよね。

KREVA：そうですね。普通だったら表題曲にはこっちをチョイスするんでしょうけど、我々の場合だと「Under The Moon」をチョイスする傾向にあるんですよね。少なからずラップを求めている人たちはいて、「KREVAはラップ」ってのがあると思うんで。「これでよければいくらでも」は、相当前からトラックはあったので、今回のツアーの告知用にそのトラックを使ったんです。それで、歌詞書いてみようかなと思って書きました。

──この歌詞でもっともいいなと思ったのが“ミスター向上心”。

KREVA：これは、小林賢太郎さんに言われたんです。「KREVAってミスター向上心だね」って。確かに、それしか言ってねぇな俺って。

──それから後半、“人生が小説ならしおり～”以降、耳のなかで言葉が心地よく跳ねて、快感指数が高まるところなんですよね。

KREVA：その最後に“いつだって俺達日和”と。

──俺達日和って何だよって思いました（笑）。

KREVA：それ、俺も思った（笑）。

──“俺達日和”みたいな造語を思いついたときはどうでした？

KREVA：これはニヤっと笑っていましたね。

──思いつかないときは思いつかないんですか？

KREVA：方向性が決まっていて、書こうと思えば何かしらは出てきますよ。歌詞が書けない時期が長くあったんですけど、書けるようになってからは速かったんです。KICK（THE CAN CREW）をやったときに、自分のライブのリハもあってKICKの歌詞も思い出さなきゃいけないし。こりゃ相当ストレスフルな生活になるぞと思っていたんですよ。自分はすごいストレスを感じやすい体質なので。でも、全然楽しくやれていい感じだったんです。ただ、自分のリハをやっているときに、普段1回も間違えた事ない「Na Na Na」の歌詞を間違えて。2番がまったく出てこなかったんです。

──えーっ。衝撃ですよね。それ。

KREVA：そうなんですよ。詳しく話すと、そこにKICKの「タカオニ2000」の歌詞しか出てこなかった。で、よく考えたら2曲ともどこまでも高く上っていこうという、まさに向上心の歌で（笑）。

──ミスター向上心はKICKから始まっていたと。

KREVA：そう。それで「俺って変わってないんだな」と思ったんです。ある意味ブレずに、自分の向上心を歌ってきた訳だから、変わらないことは悪いことじゃない。そういう風に思えたんですね。これなら「これでよければいくらでも」と言えるって。「俺全然変わってないよ。本当この通りだし。こんな感じで、いつも通りでいいんだったらいくらでもできるよ」という風に思えたから書いた歌詞なんです。

──なるほど。それでは「47都道府県ラップ」なんですが。よくこんなのを作りましたよね。

KREVA：これは自分で勝手に作っていたんですよ。思いついちゃって。トラックを作って、これ47都道府県ラップしたらいけそうだなと思って。上からやってみたらいけたんです。RHYMESTERの宇多丸師匠に異常に褒められました。嬉しかったです。「どうしても言葉がいいやすいように、言葉の意味が通るよう飛び飛びでやってくんだけど、上からちゃんとやっていって下までいったのが凄いな～。お風呂で聴きたいな」って。

──お風呂？　なんでお風呂なんですかね。

KREVA：そこ全然間違ってなくて。俺これ、お風呂で1番を書いたんです。iPhoneに防水カバーつけてお風呂で音楽を聴いたりサイトを見たりしているんですけど。

──えっ！　KREVAさん、いつもそんなことやりながらお風呂入ってるんですか？

KREVA：はい。俺、風呂は2分ぐらいで出たい人なんですよ。ってなっちゃうから、iPhoneを持って長く入るようにしているんです。それでiPhoneのMEMOを開いて、お風呂に子供が憶える用の日本地図が張ってあったので、それを見ながらやっていたら「お！　全然いけるわ」って思って、そこで1番を書いちゃって。残りはスタジオで書いた感じですかね。

──この曲はハミングが特徴的ですけど、これは最初から入れてたんですか？

KREVA：はい、ありました。ハミングって面白いなと思って。（ライブで）「歌えー！」とかはあるけど「ハミング」ってフレッシュだと思って（笑）。

──ということはライブではKREVAさんが「ハミーング！」ってオーディエンスを煽るんですか？

KREVA：「柔軟剤かよ!!」っていいたくなるけどね（一同爆笑）。

──あと、このハミングのメロディってすごくオリエンタル風味があるじゃないですか？　そこは意識的に？

KREVA：これは、ザ・西洋。バロック音楽、バッハとかの教会音楽で使われるコード進行の組み合わせってありますよね。そこから和風なメロディって作れるんじゃないかなと思って遊んでいたらできたんです。“鬼嫁”で有名な北斗晶さんが、海外にホームステイしたとき。その国はハチミツが名産だったんですね。そのハチミツをどうするのかと思ったら、それをだし巻き卵に入れてみた。それに似てる感じ？　発想は。

──発想は分かりました。けど、それよりもなによりも、いまの話はKREVAさんがなんでこんな北斗晶ネタを知っているのかという方が興味津々なんですけど（笑）。

KREVA：いや、あまりTVを見ないから、たまーに見た時のことはすごく憶えているんです。

──分かりました。では、ここからは＜KREVA　47都道府県　TOUR 2015「UNDER THE MOON」＞に関してなんですが。前半戦はDJ＋DRUMという新しいスタイルで挑むそうですが。

KREVA:誰もやったことがないスタイルということでのチョイスですね。DJとドラムで激しく男らしくいってもいいんだけど、初めて行く土地が多いので。CDで聴いていたものをなるべくそれに近い形で聴かせてあげたいから、いま頑張って準備しています。

──初めていく土地で初めてKREVAを観るという人には“はじめまして特別価格”がチケットに適応されたり。

KREVA：これはスタッフのアイデアですね。

──19歳以下は“U-19キャッシュバック2000円”というのも用意されているんですよね。

KREVA：いくらなんでも2000円はやり過ぎだろうっていったんですが、「500円ぐらいだとインパクトがないんで」ってスタッフが言うもので（笑）。U-19割で入った人は、キャッシュバックしたお金でCDも会場で売っていますから。グッズやそういうところに使ってもらえたら嬉しいですね。

──このツアーはみんなの近くまで行くから、お財布に優しいサービスも用意したので、この機会にKREVAを観た事ないヤツは来いよと。

KREVA：うん。まさにそういうことですね。来て！　腰が抜けて帰れないぐらいの衝撃ある濃いものを見せたいと思います。

──では最後に、KREVAさんから読者にメッセージをお願いします。

KREVA：2015年はライブライブライブで、アルバム出す気でいます。あんまりこういうことは言わないんですが、出します。アルバムを。ツアー中に作ろうと思っています。重いアルバムじゃなくて、いままでのものより風通しのいいものになったらいいなって希望はあるんですけど、ツアー次第っスね。そこは。ツアーが過酷だったら相当へヴィなアルバムになると思います（笑）。

取材・文●東條祥恵




◆インタビュー（１）へ戻る