【インタビュー】世界一アクロバティックなヴァイオリン・プレイヤー、リンジー・スターリングのロングインタビュー独占公開

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“踊るバイオリニスト”というアバンギャルドなキャッチコピーでYouTube動画総再生数が7億回を超えるリンジー・スターリングが、2月11日に日本デビューアルバム『踊る!ヴァイオリン』をリリース。さらに、それを引っさげて日本でのプレミアム・ライヴを2月12日に開催することも決定した。

◆リンジー・スターリング~画像&映像~

1月14日から公開されている「千本桜」のPVも大評判。アクロバティック演奏にコスプレ、EDM…。エレクトロ・ビートに乗って、とにかく踊る、踊る!ステップを踏み、飛んだり跳ねたりするのみならず、床に頭が付きそうなほどの「イナバウワー」で後ろにのけ反ったり、足をまっすぐ顔の高さまで上げたり。世界一アクロバティックなヴァイオリン・プレイで魅せるリンジー・スターリング。ヴァイオリン・プレイヤーによるインスト・ミュージックとしては異例の大成功を収め、日本での人気も急上昇中だ。

今回の来日は、リンジーにとって2回目の来日。CDプロモーションでの来日は初めてのことになる。最初の来日は2013年の8月のことで、<SUMMER SONIC 2013>への参加と、ビルボードライブ東京での単独ライブのためだった。このときはまだCDはデビュー・アルバム『リンジー・スターリング』の輸入盤が発売されているのみで、早耳な洋楽ファン以外にまだ彼女のことを知る日本人は少なかった。

そのリンジー・スターリングのロングインタビューをここで独占公開。彼女の超絶インパクトのあるパフォーマンスや音楽についての考えをじっくり読んでほしい。

なお、プレミアム・ライヴのお申し込みは、オフィシャルサイト(http://www.universal-music.co.jp/lindsey-stirling)から。


■私の音楽をみんなとシェアしたいって思って作った最初のビデオは「Spontaneous Me」
■そのときは、このビデオが私の人生を変えることになるなんて思ってもいなかった


──6歳のときにヴァイオリンをやりたいとご両親に頼んだとのことですが、なぜ他の楽器ではなくてヴァイオリンだったのでしょう?

リンジー・スターリング(以下、リンジー):すごく小さいとき、両親が私や姉妹をよくオーケストラのコンサートに連れて行ってくれていたの。ヴァイオリニストはみんなソロのパートがあって、彼らはいつだって目立っていて、オーケストラのチューニングもしていて、“スゴイ! ヴァイオリニストってオーケストラの中のロック・スターみたい”って思った。それに、両親はよく家でクラシック音楽のレコードかけていて、そういった音楽に年中触れていたから、私がプレイしたいのはヴァイオリンだって思ったの。

──いつごろ、いわゆる普通のクラシックヴァイオリンの道ではない方向に行きたいと思い始めましたか?

リンジー:多分、高校とのきね。いつも自分のやり方で何かを作るのが大好きだった。これぞリンジーって感じのものをね。それで、高校にいるとき違ったスタイルの音楽をやってみようとしたのよ。いろいろいじくり回し始めて、カントリー風のものをプレイしたり初めてバンドに参加したり、ヒップホップをプレイし始めた。いろんなタイプの音楽を試し、一体自分はどんなサウンドを作りたいのか模索し始めたの。

──バスキング ストリートパフォーマンスもやっていたのですか?

リンジー:ちょっとやったわ。大抵はカレッジ、カレッジのキャンパスでプレイしてた。それに何回か、ちょっとお金稼ごうってヴェガスでもプレイしたことがある。


──レコードレーベルに音を送ったときから、DVDも送ったとありましたが、最初から映像志向があったということでしょうか?

リンジー:あったわ。ティーンエイジャーのときから映像を作るのが大好きだったの。映画学校、BYUへ行ったのよ。もともと監督になろうって思っていたの。映画を作って暮らしたいって。音楽だけでなく映像を通じ作品を生み出すっていうのが、私の芸術面では重要な部分よ。

──You Tubeに映像をあげていくとひらめいたきっかけは?

リンジー:最初のビデオは、ただ興味本位で作ったの。みんなとシェアしたい、そうそう、アメリカですごく人気のTV番組『Ellen』に送りたいって思ったのよ。踊りながらヴァイオリンも弾けるんだってこと、Ellenに見てもらいたかったの。それが最初のビデオね。それから数年して、YouTubeってただランダムにビデオを公開する場ってだけじゃなく、キャリアを築くことができるところなんだって気が付いた。人気のYouTuberのDevin Grahamにそう教えられたの。彼にはYouTubeのことたくさん教わったわ。助けられたし、彼は私の初期のキャリアでは重要な存在だった。

──日本の感覚ですと、あれだけ映像制作するのは相当な制作費と時間がかかると思うのですが、ぶっちゃけ一本にいくらくらい、どのくらいの時間かけてるの? 日本でもあなたのようにやりたい人がいると思うのですが、たぶん皆難しく考えすぎでコストと時間もかけすぎなのではないかと思う。ヒントになれば良いと思うので差し支えない範囲で教えてください。

リンジー:シンプルなものから始めるのが大切だと思う。自分のチャンネルを始めたころ、最初のいくつかのビデオは、リビングルームで三脚を立てて自分で撮っていた。全然お金はかけてない。それからもっといい映像を作りたいって思い始め、屋外に出たの。外ってタダでしょ。大抵はロケーション料金なんて払わなくていいし。友人と、基本的にDevinに頼んでいた。そして私がそれを編集したの。それぞれのスキルを上手く利用して。彼が撮影してくれて、それを私が全て編集していた。だから、自分の得意なスキルを交換するか分かち合うのを学ぶことで、低コストのビデオを作れるわ。


──最初にYouTube にあげた曲は?

リンジー:ちゃんとしたYouTuberになりたい、私の音楽をみんなとシェアしたいって思って作った最初のビデオは「Spontaneous Me」(デビューアルバム『リンジー・スターリング』収録)だった。初めて作ったオリジナル・ソングで、Devin Grahamとコラボしたの。初めて彼に会った日に撮影したのよ。そのときは、これが私のキャリアの始まりになる、このビデオが私の人生を変えることになるなんて思ってもいなかった。

──『アメリカズ・ゴット・タレント』の番組は日本では放送が無いので感覚がイマイチよくわからないのですが、審査のピアーズ・モーガンに言ってみれば軽く否定されたのは、どのくらいのショックだったのでしょう? 結構な挫折でしたか?

リンジー:ええ、ものすごくガッカリしたし、恥ずかしかった。人生最良の日になるって思っていたのに、目の前でドアをぴしゃりと閉められた。それも何百万人もの人達が見ているっていうかなり恥ずかしい状況で。“彼の言ったことは正しいの? 彼らがあってる?”って考え込んだのを覚えてる。“私はあきらめるべきなの? 私には向いてないの?”って。心を癒すのに少し時間がかかったけど、自分はこれをやらなきゃならない、もっとやれるはずだって実感したわ。確かにあれはベスト・パフォーマンスじゃなかったかもしれない。でも、もっと上手くできるはずだし、そのためになら頑張りたいって思った。そういう意味で、あのおかけで自分はより強くなれたし、自分のやりたいことについて深く掘り下げて考えるきっかけになった。


──やり続けようと思ったきっかけが何かあった?

リンジー:家族の存在が大きかった。彼らは『アメリカズ・ゴット・タレント』に出たとき一緒にいてくれて、何があったのかすべて見ていた。その前も後も私を応援してくれていた。両親はいつも、夢を追いかけるようにって私や姉妹を励ましてくれていた。それに、失敗は成功の基だっていういい例だったわ。成功した人って必ず、探していたものを見つけ出すまでに何度も失敗してるはずよ。『アメリカズ・ゴット・タレント』は私にとって初めての失敗ってわけじゃなかったし、間違いなく最後でもないわ。この後、このジャーニーが続く限り、もっとたくさん出てくるでしょうね。

──2013年の8月の来日では忙しいスケジュールだったようですが、日本で印象に残ったことは?

リンジー:日本では人々がとても礼儀正しかった。文化とか全般的にすごく親切なんだと思う。ショウの後、バックステージにいた全員が手伝ってくれて、拍手をしてくれた。普通、バックステージにいる人達ってそんなこと気にしてないものよ。これは仕事だって割り切っている。でも、オーディエンスが受け入れてくれて、盛り上がり礼儀正しく親切だっただけじゃなく、バックステージにいた人達までそうだったなんて、世界中どこでも見たことなかった。すごいクールだったわ。そんなの日本だけよ。

──日本はそのときが初来日?

リンジー:そう、一度しか行ったことがない。だからまた行くのが楽しみなの。お寿司が大好き。日本食、大好きよ。

──日本の好きな文化やアーティストはいますか?

リンジー:望んでるほど、よく知らないの。もっと知りたいわ。それが、旅が好きな理由の1つね。世界のいろんな部分を見ることができる。

──ゲーム音楽もいろいろカバーしていますね。日本のゲームは好き? 好きなゲームはある?

リンジー:『ポケモン』と『ファイナル・ファンタジー』が好きよ。両方ともカヴァーを作ったことがあるし、『ファイナル・ファンタジー』のコスチュームは大・大・大好き!

──コスプレ文化はご存知?

リンジー:コスプレはどこでもすごく人気で、独自の文化になっているわね。サブカルチャーね。文化を通じ人々を繋げている。すごくクールだわ。コスチュームを作って着るのが好きなの。だからよく私、コスプレしているのよ。

──どこかでコスチュームを買ってるの?または自分で作ってる?

リンジー:両方よ。いつも自分でデザインしている。

──コスチュームはショウやビデオで大切な要素の1つ?

リンジー:特にビデオやショウでは、私にとってコスプレはとても大事よ。ムードを作るから。新しいコスチュームで出て行った途端、みんな、ムードが変わったのがわかる。それに特定の衣裳は特定の風や動きをとらえる。ダンスにとっても重要な要素だと思うわ。

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