【ライブレポート】シンディ・ローパー、想いを「歌」に託して

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シンディ・ローパーのデビュー30周年を祝うスペシャル・コンサート<シンディ・ローパー30周年アニヴァーサリー・セレブレーション・ジャパン・ツアー>の仙台公演が、1月18日(日)仙台サンプラザにて行われた。

◆シンディ・ローパー画像

シンディ・ローパーの仙台公演は1995年に同会場で行なわれた公演以来20年振りのことだ。東日本大震災から約1年後、ツアーの合間を縫って2012年3月5日に石巻の小学校などを訪問して以来の宮城県訪問となった。

シンディ御一行が仙台に到着したのは1月17日、この日は阪神淡路大震災からちょうど20年目となる日だった。その時もいち早く自ら「チャリティダイヤル」を設置し募金活動を実施、1996年の節分には、阪神淡路大震災の復興を願って、神戸の生田神社で行われる節分祭に参加するために来日を果たしている。2011年3月11日の東日本大震災当日シンディは日本に降り立ち、その後ツアーを敢行し、会場では募金活動も行なった。なぜそこまで日本のためにしてくれるのか…後のインタビューでこう語っていた。

「私は音楽には癒しの力があると思っています。もしかしたら、その(震災の)ことを少し忘れられるかも知れない。ほんの少しの時間だけれど。そして気分が少し晴れるかも知れない。そしてまた現実に戻るわけですが、以前ほど辛くないかもしれない。私はいつも音楽に助けられてきました。なので単に私はそれを他の人にも伝えていきたいだけなのです」──シンディ・ローパー


1月17日、先の公演地福岡から仙台の空港に到着すると、震災のその後の事、仮設住宅や現状の住宅事情他、震災後の皆さんの心境を心配していた。ホテルに到着後、雪の中を歩きまわる。某有名店では牛タン、牛タン・シュウマイ、牛タン・ギョウザなどを美味しそうに食べていた。バンドメンバーにも食べてもらおうと「ずんだ餅」も購入。仙台の街を歩いたシンディは“Sendai is still a beautiful town…”と呟いていた。

ライヴ当日の仙台は、前日の雪模様から一転、強い風が吹きつけるものの、空は突き抜ける様な青さ。完全ソールド・アウト超満員の仙台サンプラザの場内だが、シンディの登場を今か今かと待つ会場は、緊張感すら漂う静けさ。しかし、シンディがあっと驚く形で登場すると、総立ち、そしていきなり最高潮に。シンディのライヴ第一声は「コンバンハ、ゲンキー? センダーイ!」。シンディ自身の“ようやく仙台公演が実現したわよ!”という想いと、“遂にシンディが仙台公演を実現してくれた”というオーディエンスの想いがひとつになった、究極の一体感が感じられるライヴへとなっていった。デビュー・アルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル』からアルバム曲順通りではないものの、「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」「タイム・アフター・タイム」「シー・バップ」「オール・スルー・ザ・ナイト」といった大ヒット曲を含む全10曲中9曲を披露、「トゥルー・カラーズ」などの名曲とともに全15曲を歌い上げた。

この日最も一番象徴的だったのが、シンディが日本語で歌う「忘れないわ」だ。2012年のツアーでも歌われていたこの歌は、シンディが最も仙台で歌いたかった曲だった。元々はデビュー前NYのピアノバー「MIHO」で働いていたときに歌っていた曲でオリジナルはペギー・マーチという、史上最年少全米No.1記録を持つ女性歌手の大ヒット曲(1968年に来日した時にレコーディングし1969年1月にリリース。作詞山上路夫、作曲三木たかし)である。

2012年に行なわれた日本外国特派員協会の記者会見でも、シンディは世界へ向けてこう語っていた。

「大震災は大変悲しい出来事でした。でもみんな前へ進もうとしています。「日本のことを忘れないで」と皆にいいたいのです。忘れて欲しくないのです。愛を送ることを忘れて欲しくないのです。被災地に友だちがいたら連絡してあげてください。そうすると「忘れていないよ」ということが伝わるのです。支えてくれているという気持ちが伝わるのです」

「みなさんのことをいつも思っているわ」という彼女が歌に込めたメッセージ。<ワスレナイワ アナタヲ アイスルヒトヨ ワスレナイワ…>と日本語で一生懸命歌うシンディの姿に、客席では多くの方々が涙していた。そして、「忘れないわ」に続けて歌ったのが名曲「タイム・アフター・タイム」。この曲に託したメッセージも、言葉にする以上に会場中の皆さんの心に伝わったようである。

もしも進むべき道が見えなくなっても、あなたはきっと私を見つけるわ
もしあなたが倒れそうになったら私が受けとめる、あなたを待ってるわ
いつでも、何度でも


「センダーイ、ゲンキー?」と言ってアンコールで登場すると、「上を向いて歩こう」を少し披露。自分のスマートフォンに入れた歌詞を見ながら日本語で頑張って歌うシンディ。その姿に観客の皆さんも協力して、みんなで一緒に歌いあげる。最後の曲は「トゥルー・カラーズ」。この日はバックのキーボードもいつもは彼女自身が弾くダルシマーもなく、たった一人、完全なるアカペラで歌いあげる。すべての装飾を一切省いた「トゥルー・カラーズ」はまさに美しく感動的。最後のフレーズ<like a rainbow…>を会場中で歌いあげ、ショーは静かに終了した。20年振りの仙台公演は、今回のツアーの中で最も一体感を感じるものだった。そして、言葉で語るよりも、想いを「歌」に託したかのようなシンディの姿がとても印象的なライヴだった。

シンディ・ローパーのデビュー30周年を祝うスペシャル・コンサート<シンディ・ローパー30周年アニヴァーサリー・セレブレーション・ジャパン・ツアー>はいよいよファイナル東京公演を残すのみ。1月20日(火)7年振りの日本武道館公演は19時からスタートだ。
photo by 田浦ボン


<シンディ・ローパー30周年アニヴァーサリー・セレブレーション・ジャパン・ツアー>2015年1月18日(日)仙台公演@サンプラザホール

1.She Bop シー・バップ(『She's So Unsual』)*
2.I'll Kiss You アイル・キス・ユー(『She's So Unsual』)*
3.He's So Unusual ヒーズ・ソー・アンユージュアル(『She's So Unsual』)*
4.Yeah Yeah イエー、イエー(『She's So Unsual』)*
5.Witness ウィットネス(『She's So Unsual』)*
6.All Through the Night オール・スルー・ザ・ナイト(『She's So Unsual』)*
7.Into the Nightlife  イントゥ・ザ・ナイトライフ(『Bring Ya To The Brink』)
8.Sex Is In the Heel セックス・イン・ザ・ヒール(ミュージカル『Kinky Boots』)
・忘れないわ
9.Time After Time タイム・アフター・タイム(『She's So Unsual』)*
10.Girls Just Want to Have Fun ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン(『She's So Unsual』)*
11, Money Changes Everything マネー・チェンジズ・エヴリシング(『She's So Unsual』)*
ENCORE
・上を向いて歩こう
12.Hat Full Of Stars ハット・フル・オブ・スターズ(『Hat Full Of Stars』)
13.Shine シャイン(『Shine』)
14.Change Of Heart チェンジ・オブ・ハート(『True Colors』)
15.True Colors トゥルー・カラーズ(『True Colors』)

<シンディ・ローパー30周年アニヴァーサリー・セレブレーション・ジャパン・ツアー>

2015年1月20日(火)
@日本武道館
開場 18:00 / 開演 19:00
[問]キョードー東京 0570-550-799 http://kyodotokyo.com
http://cyndi-japantour.com

シンディ・ローパー『シーズ・ソー・アンユージュアル30周年記念盤(JAPAN EDITION)』

2014年4月8日発売
2CD+ボーナスDVD EICP30040-2 \3,600+税
※高品質Blu-Spec CD2
※ボーナスDVD付
※ボーナストラック「グーニーズはグッド・イナフ」

◆シンディ・ローパー・オフィシャルサイト
◆シンディ・ローパー・オフィシャルサイト(海外)
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