【インタビュー(ギター解説付き)】いちむじん、クラシックから飛び立ち染め直された名曲達がパッケージされた多彩かつエモーショナルな最新作『恋むじん』

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■ギター・マニアは必見!
■いちむじんのギターを徹底解析


●ギターは川田ギター製のシグネチュア・モデル“いちむじんスペシャル”

いちむじんの2人は、川田ギター製のシグネチュア・モデル“いちむじんスペシャル”を使用している。川田ギターは高知県在住のギター・クラフトマン川田一高氏がオーナーを務めるブランドで、高品位なトーン/品質を備えたギター生み出す存在として高く評価されている。いちむじんスペシャルは、同ブランドの“プレスティ”をベースにして制作されたモデル。プレスティは、フランスの高名なギター・クラフトマン、ロベール・ブーシェが制作したギターをモチーフにしつつ川田氏の個性が注ぎ込まれたギターで、レンジの広い芳醇なトーンと豊かな鳴りを誇っている。

「僕は2006年のデビュー時から川田ギターを使い始めて、2012年から“いちむじんスペシャル”を作っています。僕は爪が硬いし、タッチも強いので、いちむじんスペシャルを作っていただいた時は、まずそれに負けないギターということを伝えて。それに、10年、20年後に楽器としてのピークが来るようにということもリクエストしました。僕らはライブの回数が結構多いので最初から鳴る楽器だと、すぐにへこたれてしまうんですよ。なので、長く使える楽器を作ってくださいとお願いしました。今日持ってきたギターは、いちむじんスペシャルの2本目です。川田さんが作るギターは低音がコントラバスのイメージで、高音はバイオリンのイメージで、ガットギターではあり得ないくらい音が伸びるんです。音が飛ぶ(音の抜けが良くて、前に出る)ことも特徴になっていて、そういうことを最大限に活かした、本当に化け物みたいな楽器です」(山下)

「山下と同じく、2012年に川田一高さんに作っていただいたギターです。僕が気に入っているのも低音がしっかり出て、すごく高音が伸びるところです。僕は以前ドイツ製のギターを使っていた時期があるんですけど、ボディの表面板が薄くて、すごくパワーがあったんですね。ただ、そうなると音の伸びがなくなってしまうんです。表面板が薄いと音が“ボンッ!”と出るけど、サステインがなくて、すぐに音が衰退してしまう。だから、山下の音と合わなくて。それも面白味の一つかなというのもあったけど、やっぱり音楽を創るうえでアンバランスなのは良くないことなので、彼に合わせることにしました。いちむじんはいろんなジャンルを演奏するし、いろんな表現をしたいので、僕達にとっていちむじんスペシャルは最高のギターだと思っています」(宇高)

●ボディ

ボディ形状は、クラシックギターの伝統的なシンメトリーのデザインを採用。高級なマテリアルが使用されていることに加えて、サウンド・ホール部にオリジナルのパール・インレイがあしらわれていることなども、いちむじんスペシャルの特徴となる。


「トップ材はジャーマン・スプルースで、サイド/バックはハカランダ。ボディ・トップに貼ってある透明のシールは、クラシックギターのピックガードというか。僕らは激しく演奏するので、ギターにキズを付けてしまうこともあって。トップの塗装が剥がれて中に汗や湿気が入ると音が変わってしまうので、それを防ぐために貼っています」(山下)

「僕のギターは、トップは山下と同じジャーマン・スプルースですが、サイド/バックはココボロという材。ローズウッドの一種で、すごく明るい音がする木です。ちなみに、僕はボディにシールは貼っていません。ピッキングでキズがついたので、この間クリア塗装を噴いてもらいました」(宇高)

●ネック

「僕のギターは、RFタイプといって、ネックがボディから突き出ていることが特徴です」(山下)。


RF(=レイズ・フィンガーボード)スタイルは一部のエレキギターにも採用されているが、エレキギターとは異なり、ネックがブリッジに向かって下がる角度で取り付けられていることに要注目。

また、2人のギターはネックヒールにストラップ・ピンが付いていることもポイントといえる。

「僕らはライブの時に立って演奏しているので、クラシックギターなのにストラップ・ピンが付いています(笑)。それも、すごく悩んだところだったんですよね。ステージ力を向上させるためにはどうしたら良いかということが、いちむじんのテーマとしてあって。それで立つことにしたんですけど、立って弾くのは相当難しくて。かなり練習しました」(宇高)


●ヘッド

クラシックギターの王道といえる3対3にチューナーが配されたスロテッド・ヘッドをチョイス。チューナーのツマミはカリンバール材を使用したオリジナル。群を抜いたチューニングの安定性やヘッドストックの美しいデザイン、センターに配されたオリジナル・インレイなども2人のお気に入り。


●ピックアップ

ボディ内部には、生音のニュアンスをダイレクトに出力するLRバッグス製のピックアップ・システムを搭載。生音をスポイルすることがないよう、ピックアップをブリッジ部にマウントするという配慮もなされている。


「このギターは、ピエゾPUとマイクとプリアンプが入っています。サウンド・ホールのところにボリューム・ノブと、マイクとピエゾのミックス量を調整するノブが付いていて、エンドピンがアウトプット・ジャックを兼ねています」(宇高)

「僕がライブで使っているギターには、宇高と同じピックアップ・システムが乗っています。このギターはエレガット仕様ではないので、今はレコーディングで活躍しています」(山下)

取材・文●村上孝之

リリース情報

『恋むじん』
2014.12.24 in stores
CD:KICS-3131/¥3.000+tax
【収録曲】
01.川の流れのように(作詞:秋元 康/作曲:見岳 章/編曲:佐藤 弘和)
02.糸(作詞・作曲:中島 みゆき/編曲:永島 友美子)
03.ひこうき雲(作詞・作曲:荒井 由実/編曲:小関 佳宏)
05.また君に恋してる(作詞:松井 五郎/作曲:森 正明/編曲:佐藤 弘和)
04.情熱(作詞:前田 亘輝/作曲:春畑 道哉/編曲:永島 友美子)
06.イエスタデイ・ワンス・モア Yesterday Once More(Richard Lynn Carpenter - John Bettis/編曲:小笠原 肇)
07.イマジン Imagine (John Lennon/編曲:小笠原 肇)
08.マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン My Heart Will Go On(James Horner - Will Jennings/編曲:小笠原 肇)
09.シェイプ・オブ・マイ・ハート Shape Of My Heart(Sting - Dominic Miller/編曲:永島 友美子)
10.ならず者 Desperado(Glenn Frey - Don Henley/編曲:塩崎 美幸)
11.ワインレッドの心(作詞:井上 陽水/作曲:玉置 浩二/編曲:佐藤 ひろのすけ)
12.ロビンソン(作詞・作曲:草野 正宗/編曲:吉岡 たく)
13.言葉にできない(作詞・作曲:小田 和正/編曲:佐藤 ひろのすけ)
14.春の足音(作曲:宇高 靖人/編曲:上屋 安由美)
15.ひだまり(2014)(作曲:山下 俊輔/編曲:上屋 安由美)

ライブ・イベント情報

<第15回 初夢コンサート 2015 東日本大震災被災者支援 知的障害者支援 チャリティー>
2015年1月4日(日)大田区民ホール アプリコ大ホール
[問]ichimujintiket@gmail.com

<いちむじん×吉田兄弟 スペシャルコラボレーションLIVE>
2015年03月7日(土)練馬文化センター 大ホール
[問]キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00 土日祝10:00~18:00)
[問]練馬文化センター 03-3993-3311

関連リンク

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