【インタビュー】FULLSCRATCH、最新アルバムは“最速”「むちゃくちゃでもええんちゃうかな」
■とりあえず速くて、リフでガンガン攻めていく感じの曲を作っていこうって
■そういうのがFULLSCRATCHっぽいことなんやろうなと
──どういうものにしようかという、アルバム像は見えていたんですか。
YOSIHIRO:曲数だけ決まってたよな、14曲くらいにしようとか。
ANDREW:結果的に作ったのを全部入れたかな。出来上がりを誰も見えてなかったと思うし、それぞれがそれぞれのフィールドで培ってきたものをぶつけ合って作ったみたいなところがあるのかな。masasucksなんかは、the HIATUSとか、Jさんのところでギターを弾いたり、結構シビアな現場でやっていたけど。それが突然FULLSCRATCHにきて、酒飲みながらレコーディングやるから(笑)。普段と全然現場が違うから、いつも言わないようなことを言ってくるんですよ。「ちょっとこのチューニングは甘いな」とか。それはまあもちろん大事なことなんですけど、ビール飲みながら言われてもねぇ(笑)。
──これまでの制作の会話にはなかったものが(笑)。
ANDREW:今までやってきたことがよかったから言ったこともあるだろうし、ちゃんとすべきことはしましたね。なるほど、って思うこともたくさんあったし。
YOSHIHIRO:ミックス終わってからも「ギター録り直す」って言ってたもんな。
ANTON:マスタリング終わってからも言ってたよ。そこ上げてくれとか。素人か!って、マスタリング終わっとんねん(笑)。
──これまでの経験をしっかり活かしつつ、今の音でFULLSCRATCHをやりたいということだったんでしょうね。
ANDREW:そうなのかな。でも当時よりは耳も肥えて、こういうふうにしたいっていうのもそれぞれが明確にあったから。
──そして大きいのは今回、復活作として“THE GREATEST FASTEST=最速”を謳っていることなんですけど。このスピードは、譲れなかったところですか。
ANTON:コンセプトはそこですね。とりあえず速くて、リフでガンガン攻めていく感じの曲を作っていこうっていう。そういうのがFULLSCRATCHっぽいことなんやろうなと、時を経て改めて思って。FULLSCRATCHっぽいのを作ろうっていう。
ANDREW:過去には日本語詞になった時代もあったりとか、いろいろ変遷があったんですけど。今回は初期FULLSCRATCHみたいなサウンドでいこうよと。“最速”って言葉をまたほじくり返したのは俺なんですけどね。メンバーは当時、“インディー最速”ってCDの帯に書かれたのをイヤがってたらしいんですよ(笑)。
──速さだけにスポットが当たるのはイヤだと?
YOSHIHIRO:今は吹っ切れて何でもよくなったけど、そんときは抵抗ありましたね。そもそも最速目指してないし(笑)。
ANDREW:その当時の会社の社長が考えた謳い文句なんですよね、“インディー最速”って。ただ、インディーズでもっと速いバンドいっぱいいるし、別にそんな速くないよね(笑)。
ANTON:速いバンドはほかにいっぱいおったよ。
ANDREW:でも1998年当時、自分もCDショップに行った時に“インディー最速”って書いてあって、なにこれ?ってなったし。すごく印象に残ったんですよね。で、新生FULLSCRATCHもこのコンセプトでいこうよって言い出したわけです。
──では、作る側としてもその速さを狙って曲を作っていたんですか。
YOSHIHIRO:先にBPM決めてもうて(笑)。
──となると、どんどん上がっていっちゃいそう(笑)。逆に、当時よりも速いくらいの曲になってしますよね。
YOSHIHIRO:速いね。BPM235とかあるもんね。
ANDREW:TIGHT RECORDSで出したBaby smokerの1stアルバムに240超えの曲とかあったんですけど……。
YOSHIHIRO:あいつらも速いやんけ(笑)。
ANTON:身近にもっと速いやつおった(笑)。でも数字やないよな。
ANDREW:そう。BPMってテンポの数字が多ければ多いほど速いんですけど、それがそのままスピード感に結び付くわけじゃなくて。俺が叩くBPM235と、ほかの人が叩くBPM235は全然違うんですよ。俺の叩くBPM235のほうが速く感じるんです(笑)。
ANTON:その話好きやなー(笑)。
ANDREW:体感なんですよ。俺はBPM235.8くらいで叩いてるから。詳しくは言いませんけど、キックとスネアの位置関係がなんか速く感じる位置を俺は知ってるんですよ。
YOSHIHIRO:でもBPM240に負けとるやんけ、それ(笑)。
ANDREW:違うんだよ、BPM240の音源聴いても俺のBPM235.8ほうが速く感じるんだよ。
──それくらい細やかなワザの違いとかも“キックとスネアの位置関係”にあるってことですよね。
ANDREW:教えられないですけどね、そこは(猛爆)。たまに言われるんですよね、「あのバンドのほうが速くないすか?」とか。ハードコアの若いので、「俺らのほうが速いっすよ」って。バカだなと、体感なんだよと。
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