カリッ、コリッ、お菓子が奏でる、クリスマスソングメドレー

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グリコのオフィシャルサイトにてWEBムービー「Crisp Concert(クリスプ・コンサート)」が公開された。このムービーは、お菓子を食べるときのカリッ、コリッ、パリッという音や、箱やフタ、袋を空けるときの音、振った時の音など、全てお菓子から発せられた音だけで音楽を奏でるというプロジェクトだ。

◆WEBムービー「Crisp Concert(クリスプ・コンサート)」映像


ムービーの中では「もろびとこぞりて」「ジングルベル」「We Wish Your Merry Christmas」の3曲のメドレーがお菓子の音だけで奏でられている。出来上がったのを見るととにかく楽しそうでハッピーな映像だが、つくり上げるのはそう簡単なことではなかったようだ。

今回、お菓子の音楽を制作したのは、福岡を拠点に数々の有名作品を手掛けてきたクリエーティブチーム「インビジブルデザインズラボ」だ。音を中心としたクリエーティブワークを手掛ける集団だが、お菓子の音にはメロディ向きのものとリズム向きのものに大きく2つに分かれるという。食べる音から開封音まで様々な音が発掘されたようだが、一番の壁は、何より音階を奏でる点だとか。繰り返し実験したことで、食べる時の口の形や持つ場所、力のかけ方、温度などで、お菓子の音をコントロールする方法がたくさん発見されたらしい。

「Crisp Concert」に登場するお菓子は、全部で26種類だ。波形編集やピッチシフトは一切行わず、お菓子の“生音”にこだわったのが最大のポイントで、どこまでリッチで楽しい音楽を奏でられるか…そんな壮大な実験テーマが掲げられていた。

今回メインメロディを担ったのは「ポッキー 大人のミルク」だ。スティック系の中では特に音量が大きかったことで白羽の矢が立ったという。チョコレートが厚めな点がポイントで、凍らすとさらに音量が増し音域も2音ほど広がったとか。とは言え、1オクターブの音階を得るまでには2ヶ月の期間を要している。効率のよい集音を行うため、指向性マイクやコンタクトマイクを使用するのみならず、紙コップをくっつけ、破断音をムダなく収集するような工夫も施されている。

一方、比較的音量の小さいスティック系おかしは、メロディを担当ではなくリズム隊にまわっている。聞こえないくらいの小さな音符でありながら、楽曲にグルーブ感を与える音符をゴーストノートと呼ぶが、まさしくそういった役目をこれらのお菓子が担っているのだ。

粒状のおかしや大ぶりなものは速いパッセージが苦手、細く長さのあるお菓子は連続したリズムを刻むのに向いている…など、まるで楽器のような特徴もお菓子から読み取り、それぞれの特徴を最適に配置してライブ感を創出していく。パーカッシブな破裂音ではなく、存在感のあるリズムを生み出すために必要なストロークの長いサウンドは、二枚重ねの「ビスコ」や「チーザ」を縦にかむことで実現させたという。

単体では特徴的な音質や十分な音量が得られない粒状のチョコレートなどは、いくつかのリズム担当のおかしと合わせることで複合リズム音を作り、これで音の隙間を埋め全体をリッチに仕立てあげている。奥行きや広がりもお菓子サウンドで作り上げているのだ。

なお、ボディが固いおかしを奥歯でかむと「ゴリッ」という独特の音が得られるが、クリアな音で録音するのが難しく、コンデンサマイクを頬に近づけて録音することで頬によるフィルタを通し、こもった特徴的な音が得られたとか。また、単体では大きな音が得られないおかしは、一袋分丸ごとかじる事で「ザクッ」としたダイナミックな音を得ている。

他にも特徴的なサウンドはたくさんある。「プッチンプリン」などは、フタを剥がす時の速さの違いで、2種類の音を収録し、単調なリズムに変化を与えるギロのような効果を与えている。「ビッテ」は、特徴的な箱の開封音をリズムとして使用し、ギターのブラッシングのようなサウンドを再現している。「神戸ローストショコラ」は、勢い良く左右に引っ張ることで「シャリッ」という個性的なリズムを刻んでいる。

使える音は何でも使う。柔らかく破断音が得られないおかしの場合は、鈍い咀嚼音を録音し、高音域が目立つブライトなリズム音を丸めるためのイコライザー的なフィルタとして使用したとか。ほか、固い粒状のスナック系のおかしは振ってマラカスに、「コロンの棒」は、大きめの筒のフタを開けて叩いてパーカッションにしている。ここでは、中に敷き詰めるコロンの量で音階を作るという細かい技が使われている。

お菓子や食品を通じて「おいしさと健康、そしてわくわくする笑顔をおとどけしたい」と願うのがsmile.Glicoの基本姿勢だ。「みんなのキゲンがよくなれば、きっと世界はうまくいく」というメッセージとともに、お菓子を食べた時の幸せな気持ちを感じ、それを家族や友達、仲間に教えたくなるようなハッピーなコンテンツを生み出そうと制作されたのが、この「Crisp Concert(クリスプ・コンサート)」なのだ。






◆「Crisp Concert」オフィシャルサイト
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