【ライヴレポート】J、赤坂BLITZ 5DAYS第四夜で連夜の“あり得ない光景”をさらに更新

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まさに「こうあってこそロックじゃないか?」という無言の問いかけが聞こえてくるようなライヴだった。言うまでもなく、11月24日、四番目の夜を迎えた『J 2014 SPECIAL LIVE AKASAKA BLITZ 5DAYS –LIKE A FIRE WHEEL-』のことである。

◆<J 2014 SPECIAL LIVE AKASAKA BLITZ 5DAYS –LIKE A FIRE WHEEL-> 拡大画像

この日も定刻の17時ちょうどに場内が暗転。聴こえてきた牧歌的ムードのSEは「ぶんぶんぶん」。この童謡のなかでは“お池のまわりに野ばらが”咲くのだが、毒々しい赤の照明に塗り潰されたステージ上には、アヴちゃんの艶やかな姿が咲き誇っていた。女王蜂のお出ましだ。太くうねるバンド・サウンドに乗って奇天烈な動きを見せ、可憐な声で「Jちゃん、呼んでくれてありがと!」と挨拶すると、野太い声での歌唱に一転。相変わらず“個性的”という言葉では形容し尽くせない存在だ。ステージ上の誰もが赤い衣装に身を包み、ミニスカートで脚線美を強調したアヴちゃんは、ヒールも折らんばかりの激しい動きとともに、毒のあるサウンドを、毒をもって制するかのような歌声を響かせ、客席のあちこちではけばけばしい色合いをしたジュリ扇が揺れる。

「Jちゃんが呼んでくれたの、三回目になります。どれほど好かれてるのか、どんだけ甘やかされてるのか」──とJに対する謝意を口にしたアヴちゃんは、「私たちなりに、Jちゃんにオマージュを捧げたいと思います」と言って、なんとJの「Fly Away」のカヴァーを披露。しかも本人にも負けないほど太い歌声とともに。これまでの三夜を通じて一度もJが披露してこなかったこの曲がこうした形で登場することになった事実に、きっと彼自身がいちばん驚かされていたに違いない。そうした劇的場面も設けながら、女王蜂は全6曲の演奏をもってステージから去っていった。

二番手として登場したのはRADIOTSだ。パンキッシュなのではなく完全にパンク。ささくれだった大音量のサウンドが響き、YOSHIYAの扇動力のあるヴォーカルが空気の流れを変えていく。しかもフロントに並ぶ3人が全員マイクに向かうこともあって、各々の楽曲がより立体的に聞こえてくるし、目はメンバー全員の動きを追うことになる。「明日は(Jの)ワンマンだからさ。きょうは盛大にここでブチ上げましょう!」──そう呼びかけても依然として声をあげることに躊躇する顔を見つけると、YOSHIYAはさらに「照れてる場合じゃないからさ。イキましょう!」と背中を押す。フロア前方で輪を作って暴れるコア・ファンのみならず、彼らの挑発的なサウンドとスピリットへの同調の輪が、徐々に広範囲へと広がっていく。最後の「DREAM OF WORLD」では客席にダイヴし、フロアで歌ったYOSHIYA。「めんどくさいもの取り払って、自分にピュアであってくれ!」「みんなわかってると思うけど、自分の好きな音は、自分を裏切らない」といった彼の言葉も、バンド・サウンドの説得力と同様に印象的だった。同じく、例によって日本酒を吞みながら演奏するHIROMITSUの姿も。

続いてステージに現れたのは[Alexandros]だ。川上洋平の「最高の夜にしようぜ!」という呼びかけに導かれて始まったのは「Stimulator」。リズムに同調したフロア前方の完全な一体感が、徐々に後方へも押し寄せてくる。ジャングル・ビート的な「Waitress,Waitress!」でフロアをさらに揺らすと、川上は甲高い声で「赤坂、暴れたおせ!」とさらに煽り、「Kick&Spin」へと雪崩れ込んでいく。

それに続いてのMCで、川上は、この5DAYSへの出演が念願だったと語った。「ラジオでは2回ご一緒させてもらったんですけど、肝心のライヴは初。心待ちにしてました!」との発言に、観客は沸く。そして、Jから楽屋にシャンパンの差し入れがあったことを報告したが、彼らはこの3月まで[Champagne]と名乗っていたバンド。「Jさんなりの皮肉かと思った」という言葉も笑いを誘っていた。さらにベースの磯部寛之は、この日のリハーサル終了後に、Jが「ガソリン持ってきたから」と言って自ら楽屋に缶ビールを届けに来たことも報告。実際、出番前に彼らがそのガソリンを注入していたのか否かは不明だが、その演奏ぶりが想像していた以上に骨太なものに感じられたことを付け加えておきたい。

「赤坂、会いたかったぜ! 気が付けば、今日で4日目です」──そんなMCに観衆は声をあげるが、Jにとってそれは充分ではない。いつものように「ここ(=ステージ)には声が届きにくい」と言いながら、「“こんな俺って居たんだ?”というくらいの声を」と呼びかけると、息の続くかぎり終わりのない歓声が響いた。初日から連夜披露されてきたタイトル未確定の新曲は、この夜も定位置の5曲目に登場。すでにその楽曲自体が育ち始めていると感じたのは、筆者だけではないだろう。しかも、この夜も楽曲の重複を最小限に抑えた演奏メニューが組まれ、「Endlessly, goes on forever」、「TWISTER」などを経ながら、「addiction」から「Endless sky」へと続く流れをもって、この夜のライヴの本編は着地点に至った。

しかし当然ながら、まだまだ終わりはしない。アンコール1曲目に「BUT YOU SAID I’M USELESS」を披露すると、この夜もJは他の出演者たちをステージに呼び寄せた。気が付けば彼のまわりにアヴちゃん、YOSHIYAとHIROMITSU、そして川上洋平が並んでいる。その場面でYOSHIYAは「ジャンルは関係ないって確信できた夜。ロックって、めんどくせえもん嫌いだからやりたいんじゃねえの?」と発言していたが、観衆の多くもそれに対する同意の声をあげていた。これほどに色の違う顔ぶれが“ロック”というひとつの名のもとに集結している光景そのものが、まさに象徴的だった。そして、この“あり得ない顔ぶれ”で披露されたのは、THE STOOGESの「I Feel Alright」。文字通り説明不要の、パンク・ロック・クラシック。そしてJたちの体現するロックもまた、この場に集う同じ熱を持った者たちにとってのクラシックになりつつある。

「初日からここまで、みんなすげえ熱で。身体なんかボロボロのはずなのに、初日よりパワー・アップしてんじゃねえかな」──このカヴァーを披露する前にステージ上のJはこんなふうに語っていたが、実際、異常とも感じられるほどにこの夜の彼はパワフルで、エネルギーに満ちていた。そして、そのままこの灼熱の五夜公演は、いよいよ11月25日、最終局面を迎えることになる。

取材・文◎増田勇一

■<J 2014 SPECIAL LIVE Akasaka BLITZ 5DAYS -LIKE A FIRE WHIRL->
2014年11月21日(金)東京都 赤坂BLITZ <出演者>J / アルカラ / NAMBA69
2014年11月22日(土)東京都 赤坂BLITZ <出演者>J / The BONEZ / FULLSCRATCH / OVER ARM THROW
2014年11月23日(日・祝)東京都 赤坂BLITZ <出演者>J / AA= / TOTALFAT
2014年11月24日(月・祝)東京都 赤坂BLITZ <出演者>J / [Alexandros] / RADIOTS / 女王蜂
2014年11月25日(火)東京都 赤坂BLITZ (ワンマン)
※Akasaka BLITZ 5DAYS特設サイト:http://www.j-wumf.com/2014_akasaka5days/

■J赤坂BLITZ 5days最終日の模様をニコ生でオンエア決定!
『J ライブ独占生中継!~J AKASAKA BLITZ 5days -LIKE A FIRE WHIRL- FINAL!!~』
2014年11月25日(火)東京都 赤坂BLITZ(ワンマン)
開場:18:20~ 開演:18:30 ※ライブ生中継は19:00~
番組視聴URL:http://live.nicovideo.jp/watch/lv199262457

■<J 2014 Last Live>
2014年12月30日(火) 渋谷TSUTAYA O-EAST
OPEN 17:00 / START 18:00
チケット (税込 / ドリンク代別) : \5,300
チケット一般発売 2014年11月29日(土)~
[問]SOGO TOKYO:03-3405-9999

■< J 2015 SPRING TOUR>決定!
5/2(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO  
5/3(日) 名古屋・CLUB QUATTRO  
5/5(火祝) 仙台・Rensa 
5/6(水祝) 東京・EX THEATER ROPPONGI 

■<F.C.Pyro.NIGHT vol.12 >※FC限定ライヴ
4/26(日) 大阪・umeda AKASO
4/29(水・祝) 東京・LIQUIDROOM
※Jオフィシャルファンクラブ「F.C.Pyro.」で行うチケット優先予約は、12/14(日)23:59までにご入会手続きを完了された方までお申し込み可能です。※郵便振替:12/10(水)消印まで。詳細は近日発表!

◆J オフィシャルサイト
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