【ライヴレポート】REDMAN、初の主催イベントで男らしさと艶やかさ
REDMANが9月10日、渋谷TSUTAYA O-Crestにて自身主催イベント<RED NIGHT vol.1>を開催した。
◆<RED NIGHT vol.1> 拡大画像
ヴォーカリスト石川聡を擁する5人ピースバンドREDMANが結成されたのは2013年のこと。以降、シングル「Challenge the GAME」や1stミニアルバム『FLAME OF LIFE』のリリースほか、ライヴ活動を独自に展開してきた彼らが、初の主催イベント<RED NIGHT>を旗揚げした。その第一回は平日の18:30スタート。やや早めの開演時間だったにもかかわらず、スタートからかなりの人の入りであり、イベントの注目度の高さを感じさせる。また、その客層から多彩な音楽性とスタイルを擁するバンドが集う場だということが肌で感じられた。
トップを飾ったのは10月3日に新作『(cell) / ambient』をリリースしたばかりのIvy to Fraudulent Gameだ。前奏曲に続き、大島知起によるストラトのアルペジオリフに、カスタムテレキャスターを手にした寺口宣明が繊細な歌声を響かせる「+」を披露。福島由也による複雑なリズムループを再現するかのようなテクニカルなドラミングに目が行った。そこにシューゲイザーやポストロックのギターロックの歴史を凝縮したようなツインギターのアンサンブルが重なる。その様をじっと聴き入っていたオーディエンスから、ハンドクラップが巻き起こったのがリズム隊の息の合ったコーラスも印象的な『(cell) / ambient』収録曲「She see sea」だ。「青写真」では大島とベースのカワイリョウタロウが客席に飛び込んでいくような激しいステージングを見せ、変拍子を駆使した「アイドル」では福島のファルセットボーカルをフィーチャーする。ラストは、「ライヴで東京に出てくることが多くなって、段々とこの街が好きになってきた」と、「東京」を歌いあげる。この日演奏された中で最もストレートな楽曲であり、大島のピーキーなギターソロも実にソウルフルだった。
続くApplicat Spectraで世界観は一変した。冒頭の「アルペジオ」から透明感あふれる音世界が繰り広げられて、会場のムードが変わったことに気づく。ナカノシンイチが軽やかな8分音符のベースラインを刻みながら、柔らかかつ滑らかな声色で歌い上げる。イシカワケンスケとナカオソウによるツインギターアンサンブルは、ナカオがテレキャスターも弾きつつステージ中央にセットアップされたアコギも随所で多用する独自の演奏スタイルだ。さらに「イロドリの種」ではナカノがシンセパッドを叩き、躍動感たっぷりのドラミングが繰り出されて、オーディエンスもハンドクラップでこれに応えた。4分打ちダンスビートの「スターライト」ではさらに上昇していくようなノリがより高揚感を醸し出し、そこにナカノがピッキングベースでタイトさを加味する。「クロックワイズ」でのイシカワはシンセのトラブルに少々泣かされていたようだが、フィンガリングベースとリムショットドラミングのコンビネーション、ディレイサウンドを駆使したギターとシンセサウンドが独自の音宇宙を生み出していく。さらにギターのディレイフレーズから「セントエルモ」へ。再びダンスビートが編まれていき、ピュアなサウンドの中でも内に燃えている炎を感じるような演奏が熱い。イシカワのギター弦が切れるほどのホットなステージパフォーマンスを見せてくれた。
3番手の秀吉はトリオサウンドという方法論のひとつの境地を見せるような名演で会場を魅了した。繊細さと激しさを併せ持った柿澤秀吉によるテレキャスターのクランチサウンド、神保哲也のパワフルなドラミングと町田龍哉のランニングベースが印象的だった「夕の魔法」でスタートした。続く「テトテの魔法」もまたメロディアスなリードギターのフレーズが胸に残る。メッセージ性と物語性たっぷりの歌詞と、突き抜けるような歌メロの爽快感は秀吉ならではの武器だろう。とりわけ3ピースのテンション感を保持しつつも、さりげなく様々なトーンを織り交ぜていく柿澤のギターサウンドが非常に独特だ。会場限定のニューシングル「机上の唄」を引っさげてのツアーを行なっている彼らだが、そのタイトル曲は弦楽器隊のユニゾンリフをフィーチャーしたイントロから、シンプルだがメロディアスなフレーズを織りなしていく構成が印象的なもの。ファンキーなビートに“歩こう 歩こう”というキャッチーな歌メロが重なる「歩こう」では、柿澤がピック弾きと指弾きをフレーズによって使い分けるなど、楽曲ごとに様々なギタープレイを見せた。今秋には3年振りとなるニューアルバム発売をスタンバイしている秀吉だが、その中より新曲「かなわないゆめ」も披露した。ラストの「花かざぐるま」では叙情的な和テイストの歌メロで、3人のハモリによるコーラスがメッセージ性たっぷりの楽曲を彩っていた。
1000say(ア サウザンド セイ)は、「REDMAN企画ということで、全員赤の衣装で来ました」と赤の衣装で登場して、会場を沸かせる。「SPECTRA」で幕を開けたステージは、シンセサイザー奏者のMICHELLEがステージ前まで出てきて、ひたすらオーディエンスを煽り、それに応えて“Hey! Hey!”と観衆が乗っけから拳を上げる。MANが愛器ジャズマスターでギターソロをキメたほか、♪ラララ~のコーラスパートでは大合唱が早くも巻き起きた。「HANE」も引き続き歌姫ベーシストAPIのリードボーカルから始まり、MANとのデュエット構成へ。中盤のMICHELLEのピアノソロも印象に残った。この1000sayならではのキラーチューン2曲に続いては、MANのジャズマスの巻弦ギターリフがバンドサウンドを牽引して、自身がリードボーカルも務める「BORDERLINE」ヘ。女性ドラマーNONのタイトかつシャープなドラミングをフィーチャーするとともに、エレドラも混ぜた音作りも1000saならではだ。MCでは「ただいま東京!」とAPIが挨拶し、パリで行なわれた<JAPAN EXPO 2014>へ再び招聘されたこと、さらにフランスでのワンマンライヴも成功させたと告げる。「BASKET SHOES」ではMANもシンセに回っての2キーボード編成での演奏だ。MICHELLEのオカリナソロも印象的だった同曲では、オーディエンスのジャンプとともにタオルが振り回されて盛り上がりは最高潮に。ラストはMICHELLEの拡声器ボーカルをフィーチャーした「MICHELLE AGAINST THE MACHINE」だった。ふと気づけばアルバム未収録曲の新曲中心という攻撃的なセットリストであり、1000sayのノリにノリまくっている現況が感じ取れた。
今回の面子の中でとにかく大音量、変拍子だらけ、急変するテンポや構成で圧倒的な存在感を放ったのがホロである。エキゾチックな衣装に身を包んだ赤毛によるフィンガリングベース、熊谷亮也のフレキシブルなドラミングの上で、岩石洋太郎がテレキャスターをとにかく弾きまくり、石木政臣がジャズマスターを弾きながらエモーショナルに歌い上げる。めまぐるしく変貌を遂げる楽曲構成の「幻実」に初っぱなから驚かされたが、11月5日リリースの2ndミニアルバム『耳を澄ませて』収録曲「鐘声」もすごい。タッピングを織り交ぜた岩石のリードプレイとともに、激しくも何処か祭り囃子を想起させるような不思議なビート感が印象的だ。激しい演奏の中で石木がクリーンサウンドのストロークを奏でて歌い上げる。さらに「次の曲で近くにいる人と近くなれたら」という石木のMCの後では、ジャズマスターのアルペジオリフによる弾き語りから「パラレルワールド」の演奏に突入。赤毛が楽曲により2本のG&Lベースを使い分けているのにも気づいた。サビにおけるフロアタムを多用した熊谷のドラミングが鮮烈であり、モジュレーションサウンドを駆使した岩石のギターソロも観どころで、轟音の中でもよく透る石木の歌声が胸に焼きつく。閃光のようなライティングの中でプレイされた「コントラスト」は幾つかの変拍子が連なりつつも、和メロテイストのサビのキャッチーさが胸に残る。同様にラストの「影送り」もインパクトたっぷり。岩石のリードギターはとりわけ鬼気迫っていたが、途中で弦切れを起こすほどのフルピッキングだった。
そしてトリを務めるはもちろんREDMANだ。石川聡が赤いシューズを履いたほかは黒ずくめで登場した5人。まずは杉原亮のジャズマスターによるワウを混ぜたスクリューカッティングが印象的な「Sirius」でスタートした。石川がハンドマイクでステージを動き回り、その伸びやかでパワフルな歌声を響かせる。途中、変拍子リフの間奏では園木理人のES-335によるギターソロがフィーチャーされる。サビにおける石川と園木のサビも息がぴったり。園木のストロークリフを合図に、高揚感たっぷりの4分打ちダンスビートを繰り広げたのが「ダイラタンミー」だ。大熊桂斗がスティック回しを見せつつのドラミングを披露、吉岡宗一郎はタイトにジャズベースをプレイするなどリズム隊も強力で、卓越した演奏技術を擁した楽器隊にも目が行く。多彩な音楽性を盛り込みつつも石川の歌声を真芯に据えたバンドサウンドは、結成1年少々ながらもすでにREDMANのスタイルを確立させている。特にそれを強く感じさせたのは石川が、「REDMANのアルバム作りのきっかけとなった曲」と語っていた「Challenge the GAME」だ。実にキャッチーで起承転結がきっちりしたポピュラリティあふれる楽曲であり、杉原と園木のツインギターアンサンブルも魅力的である。スピーディな杉原のギターリフがリードする「HOWLING」ではオーディエンスからハンドクラップが巻き起こった。流れるようなフィンガリングによる吉岡のグルーヴィなベースプレイも魅力で、「Challenge the GAME」と双璧と言えるほどポップセンスにも富んだキラーチューンだ。サビ前のカウント“5,4,3,2,1”のキメがとにかくハマって、ここからオーディエンスが手を振り上げるのがこれからより定着していくのだろう。この日、この他に新曲2曲がプレイされており、いずれもよりシャープなリズムアレンジと遊び心たっぷりのプレイが盛り込まれていた。すでに次のステージへと足を進めているREDMANの現在が感じ取れるステージングだ。シャウトせずにとにかく歌いあげる石川のヴォーカル・スタイルや、男らしくも艶やかさも持ち合わせているその歌唱力が強く印象に残った。
vol.1からして大盛況だったライヴイベント<RED NIGHT>は、12月11日に渋谷TSUTAYA O-Crestで<RED NIGHT vol.2>が開催されることも決定している。現時点でカルナロッタの出演が決まっており、チケットも現在発売中だ。次回もバラエティに富んだ音楽性を擁したバンドが結集するライヴイベントになるのは間違いない。
撮影◎西槇太一
■<RED NIGHT vol.2>
2014年12月11日(木) 渋谷TSUTAYA O-Crest
18:30/19:00
REDMAN / カルナロッタ / 他
前売:\2,300 / 当日:\2,800
・ローソンチケット(Lコード:74801)
・チケットぴあ(Pコード:243-967)
・e+
・O-Crest店頭
[問]TSUTAYA O-Crest (03-3770-1095)
■<GMC2014>
2014年12月6日(土) 下北沢GARAGE / 下北沢ERA / 下北沢GARDEN / 風知空知
13:00/13:30
第一弾発表アーティスト:ampel / サクラメリーメン / GEMINI / GiGi / SelfishJean / D.W.ニコルズ / NOGIKU / butterfly inthe stomach / paraboLa / FoZZtone / Blueglue / full full full / plane / Poet-type.M / ポラリスカブ / MAD SCIENTIST / 水野創太(EdBUS) / 宮本菜津子 / REDMAN
前売:\3,800 / 当日:\4,300
・GARAGE店頭販売(15:00~22:00)
・ERA店頭販売(15:00~22:00)
・GARDEN店頭販売(15:00~22:00)
・風知空知 店頭販売:(18:00~26:00)
※イベント中は販売出来ませんので、事前にお店までお問い合わせ下さい。[03-5433-2191]
・e+
・ローソンチケット(Lコード:77381 )
[問]GMC2014オフィシャルサイトhttp://www.garage.or.jp/gmc2014/
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