ラッシュ40周年超大作『R40』、堂々登場
デビュー40周年にあたる2014年、RUSHが放つDVD/Blu-rayのボックス・セットが11月19日に発売となる。RUSHがこだわり抜いた56ページ豪華ブック型パッケージでのリリースだ。
◆RUSH画像
DVD10枚組、ブルーレイ6枚組、総収録時間19時間以上、ラッシュファン注目のエクストラ・ボーナス・ディスクだけで3時間を超えるという貴重な映像がぎっしり詰まった弩級の映像作品で、全ディスクに日本語字幕が付けられた日本盤の登場だ。膨大な映像に日本語訳を全てつけたことで莫大な制作費がかかってしまったらしいが、そこは発売元のワードレコーズのこだわりで、凝りに凝ったメニュー画面や隠しトラック、オープニングムービーなど、相当な作りこみがなされたようだ。
コスト度外視・儲けなしという驚きのプロダクトだが、ディスクが収められる56ページの豪華ブックもラッシュ側の制作で、このハードカバーブックだけ日本では再現不可能なため、こちらのみ直輸入され、日本語字幕付きのディスクと解説をとともに国内でセットされるという。
税抜価格は19800円。DVDボックスとブルーレイボックスそれぞれ500セットのみ販売される。これ以上は製造されることなないので、ワードレコーズ・ダイレクトで予約は今すぐにした方がいい。
『R40』のメインは、21世紀のラッシュのライブ映像作品5連発だ。『A SHOW OF HANDS』以来、実に14年ぶりのライブ映像作品なった2003年の『RUSH IN RIO』から、『R30』(2005年)、『SNAKES & ARROWS』(2008年)、『TIME MACHINE 2011:LIVE IN CLEVELAND』(2011年)、そして2012~2013年に行われた直近のツアーの模様を収めた『CLOCKWORK ANGELS TOUR』という内容だ。中でも『CLOCKWORK ANGELS TOUR』の日本盤はこれが初リリースとなり、本作の一番の目玉となる。スタジオ・アルバム『CLOCKWORK ANGELS』のコンセプトに則ったスチームパンクなセットの中、アルバム収録曲の大半が披露されている。途中からストリングス・アンサンブルが加わり、メンバー3人以外に楽器を手にした人間がステージに上がる光景は目新しく、新鮮な驚きを覚えるものだ。
近年のラッシュのツアーでは、ステージのオープニングやインターミッション明け、クロージングで上映される短編映像もお楽しみのひとつだ。メンバー全員が本気モードで演技に挑んでおり、ツアーごとに思い入れがエスカレートしているのがわかる。生真面目な演奏とは対極をなすNG集も含めて彼らの底知れぬユーモアが堪能できるのだ。もちろん嬉しい日本語字幕付きである。
『R40』エクストラ・ボーナス・ディスクも用意されている。まずはこれまで小出しにされてきた1974年、カナダのセント・キャサリンズでのステージ全編だ。アルバム未収録のオリジナル曲やカバーは特に要チェックで、世界への船出の時を数年後に控えた初々しいロック・バンドの姿が確認できる。今は亡き初代ドラマー、ジョン・ラッツィが軽快なMCを担当している。同じく1970年代からは、これまで「Anthem」など一部だけが世に出ていた1976年の米ニュー・ジャージー州パセーイクでのライブを収めたモノクロ映像5曲では、映像の粗さが却って蔵出し感を強調するものだ。
1988年、英バーミンガムでのライブからの“Lock And Key”は、これまで『A SHOW OF HANDS』のLDにのみ収録されていた映像だ。さらに、バンド活動の小休止を余儀なくされる直前の1997年、地元トロントでのステージから1時間以上がここに収められ、今では貴重な“2112”全編を演奏するという大盤振る舞いをみせている。
メンバー全員がカメオ出演した劇場映画『I Love You, Man』の続編的なショート・フィルム『I Still Love You, Man』は、『TIME MACHINE TOUR』のアンコール後、メンバーがステージを去ってからクロージングとして流れていた映像だ。自分たちのライブ用の映像で経験を積むにつれ3人が危なげない演技を見せるようになっているのが頼もしくもあり、どこか怖くもある。
そして、2013年の「Rock & Roll Hall Of Fame」のセレモニーでのステージでは、FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、テイラー・ホーキンズにプロデューサーのニック・ラスクリネッツが70年代当時のRUSHに扮して演奏を始め、本家の3人と入れ替わるという演出が心憎い。アレックス・ライフソンの愛すべきスピーチも、もちろん収録されている。このボーナス・ディスクも含めると、1970年代から2010年代まで各ディケイドの彼らの姿を網羅していることになり、試行錯誤を重ねてきたビジュアル・イメージの変遷も垣間見られる。
隅から隅までラッシュがぎっしり、名匠たちのパフォーマンスに脊椎の疼きを禁じえないボックス・セットが『R40』だ。デビューして40年だが、ただ一度の来日からはもう30年を数える。いつかまた、この日本の地で生身のラッシュを拝みたいものだ。
『R40~ラッシュ40周年記念ハードカバー56Pブック仕様コレクターズ・エディション』
11月19日発売
数量限定生産500セット 6枚組ブルーレイBOX / 10枚組DVD BOX
収録時間:約186分
画面サイズ 16:9 / 4:3
音声仕様:ドルビーTrueHDステレオ / ドルビーTrueHD 5.1chサラウンド
*サラウンド音声は『モルソン・アンフィシアター 1997』のみ収録
『ラッシュ・イン・リオ』(2002年11月23日 ブラジル・リオデジャネイロ公演)
『R30~ラッシュ30thワールド・ツアー 』(2004年9月 ドイツ・フランクフルト公演)
『スネークス・アンド・アローズ・ライブ』(2007年10月 オランダ・ロッテルダム公演)
『タイム・マシーン・ツアー 2011:ライブ・イン・クリーヴランド』(2011年4月 アメリカ・クリーヴランド公演)
『クロックワーク・エンジェルズ・ツアー』(2012年11月 アメリカ/テキサス州ダラス公演)
『R40~エクストラ・ボーナス・ディスク』
■『ローラ・セコール・セカンダリー・スクール 1974』(約39分):ジョン・ラトジー在籍時、カナダ / セントキャサリンズでステージ全編ライブ映像
01.ニード・サム・ラヴ
02.ビフォー・アンド・アフター
03.ベスト・アイ・キャン
04.アイヴ・ビーン・ランニング
05.バッド・ボーイ
06.ザ・ルーザー
07.ワーキング・マン
09.イン・ザ・ムード(一部)
■『キャピトル・シアター 1976』(約37分):アメリカ/ニュー・ジャージー州パーセイクでのモノクロ・ライブ映像
01.バスティーユ・デイ
02.心の賛美歌
03.レイクサイド・パーク
04.2112 1)序曲 / 2)シリンクスの寺院 / 3)発見 / 4)提示 / 5)神託/夢 / 6)独白 / 7)偉大なる終楽章
05.夜間飛行~イン・ザ・ムード
■「ロック・アンド・キー 1988」(約5分):過去レーザーディスク『A SHOW OF HANDS』にのみ収録されていた、イギリス/バーミンガムでのライブ映像。
■『モルソン・アンフィシアター 1997』(約66分):活動一時休止直前にカナダ/トロントで行われたライブ映像。
01.ライムライト
02.ハーフ・ザ・ワールド
03.リンボ
04.ヴァーチュアリティ
05.ノーバディーズ・ ヒーロー
06.テスト・フォー・エコー
07.リーヴ・ザット・シング・アローン
08.ドラム・ソロ
09.2112 1)序曲 / 2)シリンクスの寺院 / 3)発見 / 4)提示 / 5)神託/夢 / 6)独白 / 7)偉大なる終楽章
■『アイ・スティル・ラヴ・ユー・マン 』(約6分):メンバーがカメオ出演した映画『I Love You, Man』の続編的なショート・フィルム。『タイム・マシーン・ツアー』のステージ終了後、エンディングで使用されていた映像。
■『ロック&ロール ホール・オブ・フェイム 2013 イントロダクション』(約33分):2013年、ロックの殿堂入りを果たしたラッシュの「Rock & Roll Hall Of Fame」セレモニーでの模様。フー・ファイターズのデイヴ・グロール、テイラー・ホーキンスらにとメンバーによるライブ映像も収録。
01.2112 1)序曲 feat.デイヴ・グロール、テイラー・ホーキンス&ニック・ラスクリネッツ
02.トム・ソーヤ
03.ザ・スピリット・オブ・レイディオ
◆ワードレコーズダイレクト・ラッシュ『R40』先行予約サイト
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