【インタビュー】Jin-Machine、10代特有の思い返すと恥ずかしい思い出が題材の「さよなら†黒歴史」
ミュージシャン兼お笑い芸人という肩書を持つfeaturing16をフロントマンに擁し、独自のエンターテイメント性を持ったバンドとして注目を集めているJin-Machine。キャラクター面で語られることが多い彼らだが、10月1日にリリースされる最新シングル「さよなら†黒歴史」を聴くと、高い音楽性を備えていることがわかる。Jin-Machineの真の姿を探るべく、メンバー全員に集まってもらい話を聞いた。
◆Jin-Machine~拡大画像~
■ネガティブなこともなるべく明るくハッピーエンドにしたいという想いがある
■基本的にボケたいというのがあるので悲しみを共有しようみたいなものはないです
▲『さよなら†黒歴史』豪華盤 |
▲『さよなら†黒歴史』通常盤 |
featuring16(以下、イチロー):私は、元々仙台でお笑い芸人をしていたんですが、舞台に立てる機会がほとんどなかったんです。そういう中でライブハウスというものがあることを知って、そこに出れば舞台に立てるなと思って。そうしたら、たまたまそのときに親しくしていた舞台関係の知り合いがバンド経験があって、だったら一緒にバンドをやろうということになったんです。それまでちゃんと歌ったことは一度もなかったのに、いきなりバンドを始めた(笑)。最初はコピーをしていたけど、オリジナルを作り始めて、ライブもやるようになって。その後いろいろな紆余曲折を経て現在のメンバーになり、本格的に活動しようということになって、今に至っています。
――Jin-Machineを始めた時点で、バンドの方向性は固まっていたんですか?
イチロー:それは固まっていました。私はピン芸人で、笑いを取りにいくために、見た目に重きを置いていて。お笑い芸人として活動していくうちにエスカレートしていって、化粧に手を出すようになったんです。そういうところで、バンドをやるならヴィジュアル系だろうというのは最初からありました。ただ、始めた頃は今みたいに洗練されたメイクではなくて、とりあえず真っ白に塗った…みたいな感じでしたけど(笑)。バンドを始めた当時は、とにかく人目を引くことを重視していたんです。それに、音楽性に関しては、僕は強いこだわりとかはなくて。全部、メンバーの皆さんに任せています。
――なるほど。では、メンバーの皆さんの音楽的なバックボーンは?
マジョリカ・マジョルカ・マジカル☆ひもり(以下、ひもり):影響を受けたアーティストは……モーニング娘。さんとかです(笑)。つんく♂さんの音楽性に惹かれました。あとは、ボアダムスとか、ゆずとか。ロック系も結構聴きましたけど、浅く広くという感じです。それに、自分はギタリストですけど、ギター主体で音楽を聴くことはなくて。ギタリストで影響を受けた人も特にいなくて、強いて言えば高中正義さんくらい。高中さんは、コピーしたりしていました。
――……意外な名前の連続で、ちょっとビックリしました。では、Jin-Machineでプレイするうえで大事にしていることは?
ひもり:こだわっているのはギター・プレイよりも作曲面です。16さんが書く歌詞が独特なので、その歌詞を活かす楽曲を作ったり、逆に面白い歌詞を台無しにするようなちゃんとした曲を作ったりとか。このバンドは、いろいろなことができるんです。歌詞の内容に一貫性がないから、音楽性が縛られることもなくて。そういうところで、好き放題やらせてもらっています。
プッショドノエル・水月・アリッサ(以下、水月):僕はベーシストですけど、好きなアーティストはhideさんです。hideさんに衝撃を受けてロックに目覚めたこともあって、ルーツはヴィジュアル系。それに、メタルも好きです。ベーシストとして意識しているのは、ベースという楽器の地味なイメージを払しょくすることです。ベーシストで一番好きなのはTaijiさん(ex.X、LOUDNESS、D.T.Rなど)なんですよ。Taijiさんはプレイが派手だし、すごく存在感があって。自分もそういうベーシストになりたいと思っています。
ルーベラ・木村・カエレ(以下、木村):僕は本当にいろんなジャンルから影響を受けていて、特にこれというのはないです。ただ、ドラムを始めた頃に一番憧れていたのはYOSHIKI(X JAPAN)さんです。YOSHIKIさん以外に関しては、なんでも受け容れようという姿勢で、聴き込みたいと思う音楽が出てくれば、どんなジャンルであれ聴き込むという感じです。それに、僕もひもりと同じで、ドラムに主眼を置いて音楽を聴くことはなくて。むしろ、ドラムがない曲のほうが好きだったりします(笑)。
あっつtheデストロイ(以下、あっつ):今一番好きなのは、水樹奈々さんです(笑)。元々バンドを始めた頃はメタルが好きでした。デフ・レパードとかホワイトスネイクといった'80Sメタル/ハードロックから入っていって、イン・フレイムスと出会ってシャウトをするようになって、人生が変わってしまいました(笑)。そこから、どんどんブラック・メタルとか悪の道に走っていって、白塗りもするようになり…みたいな(笑)。ただ、音楽は何でも聴いてて、その中でメタルとアニソンが特に好きという感じです。それに、最近はシューゲイザー系もよく聴いています。
イチロー:私は、音楽のこととかは、よく分からないです(笑)。影響を受けたボーカリストとかは……。
ひもり:浜田省吾さん(笑)。
イチロー:ああ、浜田省吾さんは、好きですね。最近の人でいうと、FUNKY MONKEY BABYSさんとかも好きです。でも、ボーカリストとして影響を受けたかとか、音楽的に…みたいな話になると頭が混乱してしまって(笑)。Jin-Machineでは、いつもあがってきた曲を聴いて、自分なりにイメージした歌を歌っています。
――皆さん、幅広く音楽を聴かれることは共通していますし、それはJin-Machineの音楽性にも反映されていますね。
ひもり:そうですね。Jin-Machineは、メタルを基調としつつ、サビがすごくポップというアプローチが一番多くて。そのうえで、ラップだったり、パンクだったりといったものにも、たまに手を出すという感じでやっています。
――柔軟さを活かしているんですね。10月1日にリリースされる最新シングル「さよなら†黒歴史」は、どういうテーマのもとに作られた作品でしょう?
イチロー:タイトル曲の「さよなら†黒歴史」は、曲をもらったときに、どういう歌詞にしたらこの曲に合うかなと考えて。自分の中でいろんなアイディアが出てきた中で、一番しっくりきたのが“黒歴史”というテーマでした。黒歴史といってもネガティブな方向ではなくて、10代特有の思い返すと恥ずかしい黒歴史が題材になっています(笑)。バンドをやったり、歌詞を書いたりするにあたって、私の中には何事もハッピーエンドにしたいという想いがあって。なので、ネガティブなことも、なるべく明るくしたいなと。というか、基本的にボケたいというのがあるので、暗い気持ちを共有しようとか、悲しみを共有しようみたいなものは、自分がやりたいことではないんです。もちろん、そういう歌詞を否定する気はないし、聴くのは好きですけど。Jin-Machineに関しては、歌詞としてボケになっていない曲も微笑ましかったり、明るい気持ちになってもらえる方向に持っていっています。
――そこもJin-Machineの特徴と言えますね。「さよなら†黒歴史」は、メタリックな歌中とダンサブルなサビ・パートの対比が印象的です。
木村:この曲は元々僕が作った原曲があったんですけど、自分の中で一度ボツになったんです。そのまま置いていたのを後日聴き返したときに、ここはこうしよう、ここはこうしようという風にアイディアがどんどん出てきて。最終的にAメロの一部分しか残っていない全く違う曲になって、作り終わった瞬間に“キタッ!”と思いました(笑)。これはもう最高傑作だと思って、最初にひもり君に聴かせたんです。そうしたら、「これは来ましたね」と言ってくれました。
ひもり:ちょっと悔しかったですけど(笑)。でも、これは認めざるを得ないなと思いました。
木村:悔やしかったんだ(笑)。でも、その後ひもり君がアレンジでちょっと和テイストを加えてくれたんだよね。
ひもり:そう。ありそうでなかった感じだけど、結局はあるよね…みたいなところに持っていきました(笑)。それは、ある意味ヴィジュアル系の王道パターンなので。ギターに関しては、あまり主張しないことを意識したアプローチになっています。ギター・ソロも速弾きとかはしないで、メロディアスなものになっているし。全体的に、楽曲に溶け込むギターということを意識しましたね。この曲は、ギターよりもピアノや打ち込み物に時間が掛かりました。細かいところまで作り込んだし、コード進行とかもキムさんの土台を崩さないようにしながら、僕の色を入れていって。なので、この曲を聴いて僕っぽさを感じるファンの人も多いんじゃないかなと思います。
水月:今までキムさんが作ってきた曲は、ベースは淡々としたものが多かったんです。「さよなら†黒歴史」はベースが凝っているし、間奏のベース・ソロとかもデモの段階で入っていて。かなり作り込まれていたので、今回はデモのベースをそのまま再現することにしました。なので、メッチャ難しくて、レコーディングするときは緊張しましたね(笑)。それに、ライブのときに動きながら弾けるかなというのがあって。ライブに向けて、がんばって練習しようと思っています。
木村:ドラムは、全体を通してあまり主張していないです。この曲は楽器単体では主張せず、楽曲としての完成度を高める方向でアプローチしたいと思って。そういう中で、ベース・ソロがあって、ギター・ソロがあって、デス・ボイスのシャウトも入ってくるという風に、それぞれの見せ場がちょっとずつあるという風にアレンジしていったんです。でも、自分の見せ場を作ることを忘れていたという(笑)。後からそのことに気づいたけど、全体を聴いてもらえばいいやと思って。ドラムは全体の雰囲気を壊さないことを意識しました。
あっつ:僕は、自分に与えられたパートを精一杯がんばろうと思って取り組みました。あとは、今回はサビ・パートが全員のコーラスになっているんです。そういうところで、今までとはまた違うテイストを出せたんじゃないかなと思います。
――レコーディングで、激しくシャウトするのは難しくないですか?
あっつ:難しいです(笑)。ライブのときは爆音だし、気持ちも上がっているから自然といけるんですけど、レコーディングのときは自分の中のスイッチを入れてから叫ぶという(笑)。傍から見たら、シーンとしたブースの中で思い切り叫んでいるから、頭がイッてる人に見えると思います(笑)。そういうところで、まだメンタル面が鍛えられてなくて。シャウトを録った後は、いつもせつない気持ちになります(笑)。
一同:ハハハ! そうだったんだ(笑)。
イチロー:みんな、ちゃんと音楽のことを話すんですね。ビックリしました。
一同:するわっっ!
ひもり:貴様も混ざれ(笑)。
イチロー:いや、みんなが音楽的な質問をされて、それに応えているのを見て、自分はなにも言うことがないなと思って。私は、自分の歌に関して、特になにも言うことがありません。
――そんなことはないです。まず、すごくいい声をされていますね。
イチロー:えっ? それは……いや……まぁ……。
一同:照れんなよ!(笑)
イチロー:私は、音楽に関する話に慣れていないので。「すごく、いいボケ持ってるね」と言われて、「いやいやいや! でも、ウケていないですから」みたいな気持ちになっています。
――なるほど(笑)。「さよなら†黒歴史」の歌は、リズミカルで高低差の激しいという難しいメロディーを美声で歌っていて、聴き応えがありますよ。
イチロー:本当ですか? この曲は、難しいんだ……。今言われて、初めて気づきました(笑)。音楽を作ることに関して、ああしたい、こうしたいと思いますし、それを形にするにあたって、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないということも考えますけど。でも、歌い手としてこだわりを言えるほどの中身が自分の中にあるのか…みたいな気持ちがして。精一杯歌っていますとか言いようがありません(笑)。
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