【インタビュー】『テラスハウス』でも使われているRobert de Boron、「今作は決意になっている気がします」
◆3rd『ON THE RAINBOW』は驚きと美しさの共存で、
今作は決意になっている気がしますよ
――「It’s Never Too Late」はストリングスの壮大なアレンジで始まって、11曲目の「Take Me Back feat. Oldwun」もストリングスでつながってる感じですね。
Boron:緊張感はほどきたくなかったというか。4曲目の「Proud To Be feat.Maitreya」しか抜きどころが無いんですよね。あとはずっと緊張感があるように作られてて。それで一番最後のOutroでドカンと抜きたかったっていう感じ。だから「Take Me Back feat. Oldwun」も聴いてると結構緊張感があるというか、そこから抜けられないっていう感じがうまく出たんじゃないかなという気はしてます。
――7曲目に「Interlude」で場面転換している理由は?
Boron:6曲目の「Hapani Girl」が思いっ切りギターだから。そのまま続くとエグいなと思って(笑)。「Interlude」で使ってる曲は本当は丸々1曲あるんですよ。これはAWAが来日する前にdemoで曲をいっぱい投げてた中で、彼が歌いたくないって言ってた曲なんです。でも良い曲なんで誰か使わないかなって思ってSam Ock(サム・オック)に投げたんですけど、その時のデータ名が「Shine A Light Pt.5.MP3」だったんですよ。そしたらSam Ock が「俺のところにShine A Lightが送られてきた!」って思って(歌詞に「Shine A Light」を入れて)歌って返してきて(笑)。だから次の作品に入ると思うんですけど、それは。そのサビの部分が「Interlude」に使われてるんです。
――「Blazin’」は他の曲とは違うロック・ポップス的なドラムから始まりますね。
Boron:そう、ドカドカね。この曲が実はAWAが歌いたくないって言った曲だったんだけど、「これは絶対歌った方が良いよ」って話して。
――オケは最初からああいうドラムが入っていたんですか?
Boron:いや、ドラムは後から入れましたね。ビートは最初からあったんですけど、全然変わったんですよ。ドラムはサンプリングをチョップして打ち込んでますね。だから元は全部生音ですよ。
――新曲は結局どれくらい作ってたんでしょう?
Boron:トータルで20曲くらいは作ってたんじゃないかな?その中からAWAに投げた曲が7曲でセッションで録ったのが2曲。最後の「Outro(However Far)」は全部録り終わってから作ったんですけどね。タンバリンでリズムを録ってクラシック・ギターで録りました。
――セリフが入ってますよね?これはどんなことを言ってるんですか?
Boron:これはAWAの通訳をやってくれたMOがアルバムをストーリーに見立てて語ってるんですけど、海を隔て遠く離れていた2人(Robert de BoronとAWA)が音楽を通じて知り合って、実際に会ったり、お互いに刺激を与えながら仕事をしているうちに、こんな作品が出来ちゃった、それって凄くない?この2人に出来るんだから、みんなもすごい事やれちゃうぜ!、みたいな事を偉そうに言ってるらしいです(笑)。恐れ多くも俺たち2人の歴史を例にして、人の可能性を語るみたいな(笑)。
――今年3月にブログで震災の頃にあったエピソードが綴られていましたけど、それを読んだ上でこの作品を聴くとどうしても繋げてしまうんですが。
Boron:もうそれは、繋がっているものだと思いますね。僕の過去でもあるし。
――「It’s Never Too Late」に始まり「Take Me Back feat. Oldwun」に終わるという構成にとてもメッセージ性を感じるんですが、それは震災から3年経ったタイミングで完成したことと関係はあるのでしょうか?
Boron:やっぱり“消化した”という感じはありますよ。ブログで震災のことを本気で書けたこともそうだし。実は今年の初めに、ブログに書いた女性に会ったんですよ。その時に話して消化できたのかなと思ったし、次に向かわないといけないなというのもありましたね。3年って意外と経ってますもんね。でも心境的には変わらないというか、何があっても前を向いて戦って行くべきだと思うし、イメージの中ではあの頃より成長出来てるのかなという気はしますけどね。
――震災以降ここに至るまで、何かにつけてミュージシャンはそういう事と無関係ではいられなくなったというか、表現する上でどうしても関わってくることだと思うんですが、震災を経験したことでBoronさんの中で変わったことってありますか?
Boron:やっぱりポジティブでいるっていうことじゃないかな、どこまでいっても。毎日「疲れた疲れた」って言ってるのはあんまり好きじゃないですね。「疲れてるとなんかあるの?」みたいな(笑)。誰も助けてくれないよって。結局自分次第というか、そういう所が変わったのかな。そういうポジティブなマインドを外に出そうと意識したのは震災以降、『Mellow Candle』あたりからかもしれないですね。
――「Shine A Light Pt.2 feat. Awa & Oldwun」が収録された2ndアルバムですね。
Boron:1stアルバム『Diaspora』はそういう意識はなかったですから。だからジャケットを振り返ると、結構良くわかるというか。1stのジャケットはただただ混沌として、なんだかわかんないけどとにかく出すぜっていう(笑)。2ndの『Mellow Candle』はちょっとした癒しになっていて、3rd『ON THE RAINBOW』は驚きと美しさの共存で、今作は決意になっている気がしますよ、そう感じます。
――僕も前作は気分転換したい時なんかに良く聴かせてもらっているんですけど、それをスタジオで作っているBoronさんが、外に出て発散するのがギターだっていうのが面白いなと思いました。仕事を離れてもまた音楽をやってるという。
Boron:そうだね(笑)。それでもやっぱりギターは毎日弾いてますよ。楽しいです。
――この先ギターを中心にした作品も考えているんですか?
Boron:考えてるんですよ、もう18曲くらいあるんで。これまでの作品とは全く違うやつを。俺が歌って弾き語りにするのかバンドにするのかどういうスタンスで出すかはまだ決まってないけど。でもやりたいですね。
――それは楽しみですね。Robert de Boron名義で?
Boron:いや、“Boron”だけにしようかなと。それかバンドにするんだったらバンド名を付けるだろうし、まだ全くわからないですね。でもやれたらいいなって考えてます、お金の為に(笑)。
――ひとこと多い(笑)。まあそういうところが人間味があって良いと思うんですけど。
Boron:ありがとうございます(笑)。
――これまでの作品ではご自分で歌っていないということで、メッセージを直接伝えられないジレンマみたいなものがあるんでしょうか?
Boron:それはずっとジレンマですよね、1stからずっと。だからギター弾いて自分で歌いたいなと思ってるんですよ。でも今の形はこれはこれで面白いですよ。色んなアーティストに会えるし、勉強にもなってやりがいもあるし。ただ俺自身を伝えるという意味では何歩も手前にいるというか凄く後ろにいて送り出してるような、俺自身が行ってないイメージなんですよね。それはちょっと寂しいなという気持ちは多少ありますけどね。
――「Shine A Light」というシリーズは今回でひと区切りですか?
Boron:AWAとのセッションとしては一回区切りになったんじゃないですかね。ただサビから始まる感じとか、フォーマットとしては全曲通して同じような感じで作ってるんですよね。今後も「Shine A Light」はまだまだ続くと思います。
取材・文◎岡本貴之
■リリース情報
2014年7月9日発売
GTXC-098 ¥2,400(税抜)
『Shine A Light feat. AWA』
1.It's Never Too Late
2.Let Go feat. Imani
3.Shine A Light feat. Oldwun
4.Proud To Be feat. Maitreya
5.Blazin’
6.Hapani Girl
7.Interlude
8.Don't Cry
9.Let's Love
10.One Mistake feat. PNC
11.Take Me Back feat. Oldwun
12.Outro (However Far)
「Robert de Boron/Shine A Light feat. Awa」iTunes先行配信リンク
https://itunes.apple.com/jp/album/shine-a-light-feat.-awa/id888181213
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