【インタビュー】Robert de Boron「結局アーティストができることは、素晴らしい音楽を提供していくことだけ」
Robert de Boronが初のベストアルバム『nostalgic』を1月20日にリリースした(iTunesでは1月13日から配信中)。2010年に発表した1st『Diaspora』から前作の4th『Dreams in Static』までのオリジナルアルバムと『BEAT THE CLASSICS』シリーズ、AWAとの共作『Shine A Light』からの人気曲を網羅した今作は、“メロウHIPHOP”を身近な音楽として浸透させた彼のサウンドの変化が読み取れると共に、新曲2曲が収録され、次のフェーズへの第一歩を記した作品となっている。
トラックメーカーとしての深いこだわりや、さらなる飛躍を目指す彼のミュージシャン・シップが伺えるインタビューを楽しんでほしい。
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── このタイミングでベスト盤をリリースしたのはどうしてですか?
Boron:初めて聴く人たちの入り口になるカタログが欲しかったんです。それと、もう1枚ベストが作れるくらい曲がたまってきたので。そろそろ良いタイミングかなと。
── SNSでどんな曲を入れてほしいか呼びかけていましたよね。それは選曲の参考にしたんでしょうか。
Boron:参考にというか、あんまりズレてなかったんですよね。自分が入れようと思っていた曲と、リスナーさんに訊いたものがそんなに差異がなかったというか。だから、嬉しかったですね。
── そもそもどんな意図で選曲したんですか?
Boron:オリジナル・アルバム4枚の中からヒット曲を入れようというのがまずありましたね。それと、アルバムの中に激しい曲だったり思いっきりジャジーな曲があったりするじゃないですか? そういうのは避けて、わかりやすいベストらしい選曲にした感じですね。
── 改めて過去作を聴いてみると、1stアルバム『Diaspora』は今のBoronさんの作風とは違いますよね。
Boron:そうですよね。「Love Out Of Sight feat.Melodee」は思いっきりジャジーヒップホップっていう感じですけど。そっち側を推すんじゃなくてメロウな方を選曲していますね。
── 「Take Your Turn feat.Collective Efforts」も他のトラックとはリズムの感じが違いますよね。やはり今のBoronさんのサウンドが確立されたのは2nd『Mellow Candle』からという印象です。
Boron:もちろん、その自覚はあります。逆に言うと、(1stのような曲も)やりたいんですよ。だからちょっと我が出ちゃったかなというのはありますけど、「Take Your Turn feat.Collective Efforts」を入れてくださいっていう声も結構あったので。激しいのはこの1曲だけですけど、“こんなのもやってるんだよ”という感じですね。
── 新曲が2曲収録されていますが、やはり今の自分のモードも入れておきたかった?
Boron:ちょっと次の作品への伏線的なものもあって。インストの「Setuna」を聴いてもらうとわかるんですけど、今までとはアプローチの仕方を変えているというか、そういう方向性でやって行きたいというイメージがあったんです。もう次の構想に乗っているというのを表現したかった感じですね、最後の「Setuna」に関しては。
── 「Setuna」は想い出を回想しているような、どちらかというと暗い曲ですね。
Boron:僕が思う“Setuna”と聴いてくれる人が思う“Setuna”は違うと思うので、「こうだよ」っていう表現はしたくないんですけど、僕的には次の階段というか、アプローチの仕方を色々変えて作った曲ですね。