【インタビュー】Drop's「ブルースと昭和歌謡の匂いが好きだけどジャンルに捕われたくないとは思っているんです」
札幌在住、5人組のロックンロールバンドDrop's。2013年9月に初のフルアルバム『DAWN SIGNALS』でメジャーデビューを果たした彼女たちが、5月14日に1st EP「コール・ミー」をリリースする。キュートな歌声ながら、サウンドは苦みばしってブルージー。絶妙なミスマッチ感がクセになる新作の話をヴォーカルで作詞作曲も担当する中野ミホが語ってくれた。
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■「太陽」でポップなものを作れたという自信ができた
■自分たちらしさも失わずちゃんとポップにできるんだなって
──メジャーデビューしてから変わりましたか?
中野ミホ(以下、中野):変わったと思います。私も私以外の4人も、聴く音楽も変わったり増えたりしてきたし、メジャーデビューアルバム『DAWN SIGNALS』で「太陽」という曲を作ったんですけど、すごくポップなものを作れたという自信ができたんですよ。最初はポップなものって抵抗があったんですけど、メンバー全員で鳴らすことによって、自分たちらしさも失わずちゃんとポップにできるんだなって。私自身はポップなものに対する考え方が変わったというのはすごく感じます。
──前は、どうしてポップなものに抵抗があったの?
中野:自分たちっぽくないんじゃないかって考えてたんですよね。でも、やってみようってことになって、試してみたらしっくり来たんです。どうやっても自分たちの色になるんだという確信が持てたから、いろいろチャレンジできるようになりました。インディーズ時代も、その時、その時にいろんなチャレンジはしていたと思うんですが、あえてこうしてみようって、今までやらなかったようなことをしようって感じはなかったんです。
──脱皮したような感覚かな。
中野:そうですね。最近、自分たちが長く愛されるためにどうしたらいいかっていうことをすごく考えるようになったんですよね。昔の歌謡曲って、いま聴いてもすごくポップだと思うんです。決して今風ではないのに。だから、自分たちもそういうアプローチだってできると思うし、自分たちなりのポップを作ればいいんじゃないかと今は思ってるんです。以前、私はメロディを作るのが苦手だったんです。でも、最近はメロディに意識を持っていって作るっていうやり方もし始めて。
──それが「太陽」?
中野:はい。やってみたら、メロディを重視するっていう作り方もできた。今まではバンドの演奏があって、そこに最終的にメロディを、ほぼなんとなく乗せるっていう感じだったんですが、メロディっていうものを優先させて作って。みんなはみんなでうまくなってるし、メロディ優先に作っても、自分たちのいいようにうまいことできるっていうか。メロディに関しては、今でも研究中です。
──新曲の「コール・ミー」にもその成果は出ていますよね。Aメロからすでに一緒に唄えるメロディになってますよね。
中野:そうですね。特にサビはわかりやすいほうがいいなぁと思ったので、今までは英語を使うことはなかったんですけど、サビの頭で英語が入るというのは私にとって新しい挑戦でした。
──でもカタカナにしてもわかる英語というのがDrop'sらしいですね(笑)。
中野:そうそう、そうなんです(笑)。このくらいの感じが良いんです。
──この曲を聴いたみんなの反応はどうだったの?
中野:いつも曲を持ってっても「わぁ?!」とはならないんですけど、今回もやっぱりそういう反応ではなく(笑)、「ポップな感じだね」っていうくらいでした。だから、私も大丈夫かな?と思たんですけど、できてみたら、ギターの荒谷(朋美)のリフも彼女らしいのを考えてくれたし、自分たちらしさが出たと思います。
──サウンドからも夕方~夜にかけての切ない時間帯の雰囲気が出ていますけど、歌詞には葛藤とか切なさ寂しさ、衝動みたいなものが織り混ざってますよね。
中野:ノートにメモってあったことを掘り起こしたら、サビの「コール・ミー」ってフレーズが出て来たんですよ。街を一人で歩いていて、人ゴミに自分が埋もれてしまうような感覚とか、その中で誰かに会いたいとか、名前を呼んで欲しいと思うことがあって。それを書いたんです。
──雑踏の中にいて、周りに人はたくさんいるけど、自分だけ一人ぼっちっていうイメージが湧く曲ですよね。「赤・青・黄をくり返し」って信号のことだと思うんですけど、まるで渋谷のスクランブル交差点の真ん中に一人で立っているような。
中野:実は、渋谷の歩道橋を歩いているときに思ったことなんです。曲作りがうまく行かなくて、思ったことを書いてたメモを見返して、その時の感情を呼び起こして書いた歌詞なんです。リアルタイムの自分の気持ちが出たかもしれない。この曲は短期間で作ったんですけど、みんなで合わせるとすごく良くなったので、いろんな人に聴いてほしいですね。
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