ボブ・ディランの名曲に胸を打つ、家族の愛のストーリー

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全米映画祭にて観客賞総ナメとなった映画『チョコレートドーナツ』が4月19日に公開となるが、この作品がまた1970年代の名曲がオンパレードなのだ。こと、映画の核を担うのが、ボブ・ディランの名曲「I Shall Be Released」である。

◆映画『チョコレートドーナツ』画像

実話をもとに生まれた映画『チョコレートドーナツ』は、ダウン症の少年マルコと出会ったゲイのカップルであるルディとポールが世界の片隅で家族になるために奮闘する物語だ。ルディを演じるアラン・カミングの演技はアメリカのメディアで絶賛され、観客賞とともに主演男優賞も獲得した。全米中の映画祭を感動の渦に巻き込み、観客賞を総ナメにする快挙を成し遂げ「強く感情を揺さぶり、心を鷲づかみにする」「真摯で温かい。この結末は心を掴んで離さない」「こんなにも愛情に溢れた映画はほかにない」など米国紙や、ひとあし先に本作を鑑賞したマスコミ関係者から絶賛されている作品でもある。

劇中では、1970年代に流行った楽曲が数々登場し、「キャパレー」でトニー賞を受賞、ブロードウェイでもその歌唱力と演技力を認められているアラン・カミング自身が吹き替えを使わずに熱唱している。1970年代の象徴のひとつにディスコがあるが、主人公ルディの働くクラブでは、毎晩ディスコやソウル・ミュージックのヒット曲が鳴り響いている。フランス・ジョリが1979年に発表してディスコ・チャート1位に輝いた「カム・トゥ・ミー」や、ガールズ・グループのハニー・コーンが1971年に発表した「ワン・モンキー・ドント・ストップ・ショウ」などがそれだ。

そして何よりも、ラストでルディが感情をさらけ出して歌うボブ・ディランの名曲「I Shall Be Released」が、観る者の心を強く揺さぶる。ボブ・ディランが書いたこの曲はザ・バンドが1968年に発表したバージョンで有名だが、ベッド・ミドラーや忌野清志郎など様々なミュージシャンがカバーしてきた名曲でもある。アラン・カミングはベッド・ミドラーがカバーした映像を監督から見せられて演技の参考にしたといい、ルディは全身全霊を込めてこの歌を歌う。歌詞のなかのフレーズ、<Any Day Now(いつの日か)>が本作の原題にもなっており、映画の核を担っている。

「いつの日か<Any Day Now>、ぼくは自由になる<I shall be released>」という歌詞に、大事な家族を守ろうと奮闘したルディの悲しみや怒り、願いが凝縮されている。ボブ・ディランのこの名曲があってこそ誕生した映画でもあるのだ。

映画『チョコレートドーナツ』SONG LIST
・Come To Me / FRANCE JOLI
・The Stud / THE BIDDU ORCHESTRA
・It Would Be A Shame / BETTY PADGETT
・Telegram Sam / T.REX
・Super Stupid / GEORGE CLINTON Jr
・One Monkey Don't Stop
The Show, Part 1 / HONEY CONE
・Getting Hot / TEDDY RABB
・Miracles / MARTY BALIN
・Shakedown / EDDIE HORAN
・Green Haze / MILES DAVIS
・Come To Me / ALAN CUMMING
・America, The Beautiful
・Don't Leave Me This Way / THELMA HOUSTON
・A Plea For Custody / JOEY NEWMAN
・Love Don't Live Here Anymore / ALAN CUMMING
・Losing Marco / JOEY NEWMAN
・Buick Mackane / T.REX
・I Shall Be Released / ALAN CUMMING
・Metaphorical Blanket / RUFUS WAINWRIGHT

【STORY】1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。しかし、ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、マルコを奪われてしまう。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。
監督:トラヴィス・ファイン
脚本:トラヴィス・ファイン、ジョージ・アーサー・ブルーム
出演:アラン・カミング(「グッド・ワイフ」『X-MEN2)、ギャレット・ディラハント(『ノーカントリー』『LOOPER/ルーパー』)、アイザック・レイヴァ、フランシス・フィッシャー(『タイタニック』)
原題:Any Day Now/アメリカ/2012年/97分/カラー
配給:ビターズ・エンド
(C)2012 FAMLEEFILM
4月19日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
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