【インタビュー】cinema staff、経験値が格段にアップした新作アルバム『Drums,Bass,2(to)Guitars』をリリース
2013年の「great escape」(TVアニメ『進撃の巨人』後期エンディングテーマ曲)リリース以降、さまざまなイベントに出演し、異ジャンルの客層を前にしたライブもおこなってきたcinema staff。経験値が格段にアップした彼らの新作『Drums,Bass,2(to)Guitars』はタイトル通り「バンド」の楽しさをダイレクトに伝えてくれる躍動感に満ち溢れた作品となっている。今この瞬間の4人にしか生み出せなかったであろう傑作を創り上げたメンバー全員に話を聞いた。
◆cinema staff 画像
■自分らのやってることの格好良さをどこでも伝えられるようにしたい、
■というのは前よりも断然意識するようになりました
▲『Drums,Bass,2(to)Guitars』【初回限定盤】
三島想平(Ba以下・三島):ありがとうございます。そう思って頂けたなら出演した甲斐がありましたね(笑)。
――『進撃の巨人』に関わったことでフィードバックされたことや、実感していることってどんなことがありますか?
三島:あのイベントがある意味異種格闘技戦じゃないですけど、普段のロックバンドのフィールドに来るお客さんとは違う人達の前での演奏だったので。でもそこで自分らのやってることの格好良さが伝わるようなライブにしたい、それをどこでも伝えられるようにしたい、というのは前よりも断然意識するようになりましたね。
――飯田さんはヴォーカリストとして、普段と違うお客さんを前にしたイベントではどんな印象を持ちましたか?
飯田瑞規(Vo.Gt以下・飯田):Revoさんとのイベントの時は、お客さんが凄く温かく観てくれていたし、良い演奏をすれば良い反応を返してくれるというのがわかったんで、自信になりました。思っていたより全然温かかったですよ。Revoさんがそういう雰囲気を作ってくれたからなんですけど。だから凄く嬉しかったですし、今後もこういうイベントがあれば出てみたいなという好奇心が出てきましたね。
――辻さんはその時骨折していながらも激しく演奏していましたね。
辻友貴(Gt以下・辻):今までああいうイベントに出たことがなかったんで、凄く新鮮な感じで、その中で自分達がどう戦うかというのは考えるようになりましたね。お客さんも反応が良かったですし貴重な体験でした。
――久野さんは一番後ろから全体を見ていていかがでしたか?
久野洋平(Dr):フロアの雰囲気は違うなと思いましたけど、ロックのお客さんとはまた違う見方をしている人の前でやれるというのは、色々見直す機会にもなりました。ロックとかジャンルにこだわらず、自分たちの魅力ってなんだろう、というのを考え直すきっかけにはなりましたね。
――その「great escape」リリース以降で初となるワンマンライブが1月18日(土)SHIBUYA-AXでおこなわれましたけど、これはいかがでしたか?
三島:やって良かったですね。結構チャレンジだったんですけど。今までの最大動員プラス何百人という単位の会場だったんで、不安半分、期待半分でした。でも改めて立ち位置を確認できたというか、勉強になりましたね。自分たちだけを観に来ているお客さんに対してどういう流れでドラマを作るかという、ショーとして飽きないものにしたい気持ちはありました。だからRevoさんのイベントとか、自分たちのフィールド以外のところから影響されたことやショーマン・シップみたいなものは凄く活かされたんじゃないかな、とは思いましたね。「great escape」のことがなければ、ああいう風にはならなかったんじゃないかと思うし、しかもそれが出し切れたんで良かったです。
▲『Drums,Bass,2(to)Guitars』【通常盤】
三島:前作『望郷』との差を出したかったんですよね。曲名が英語なのは実は最初はそんなに意味はなくて。「great escape」っていう曲を作っちゃったんで、それをアルバムに入れるなら単純に表記を統一したかったんです(笑)。そうすると小文字英語しか駄目じゃん、っていうことになったんですけど(笑)。
――ああ、そういうことなんですね(笑)。
三島:そうなんです。ジャケットのイメージは、アルバムタイトルを思いついた時に考えたんですけど、もうそのまんま「バンドです」という感じを前面に出したかったんで、機材だったりPA卓をフィーチャーしたものにしたいなと。僕らの作品は『望郷』までが見た目にも落ち着いたジャケットが多かったんで、結構ビビッドな色で、色調がギラギラしたものを目指しましたね。やっぱり、差をつけたいという気持ちが一番でした。
――タイトル=バンド、ということですよね。
三島:そうですね、はい。
――以前、三島さんは「バンドのプロとしての意識は凄くあるけど、プレイヤーとして各々が成長して行かなければとは思う」とおっしゃっていましたが、たくさんのライブを経て今回のレコーディングで感じた成長ってありましたか?
三島:どうかなあ、あんまりそういう風には思わなかったかもしれないですね(笑)。録ってる瞬間は意外と。
久野:でも昔みたいに音作りで死ぬほど煮詰まったりするストレスは、ほぼなくなりましたね。
――それは技術的な向上があったという?
久野:そう思いたいです(笑)。慣れてきたということあるし、エンジニアさんとの連携とかもあるとは思います。出したい音のイメージと実際に出てる音との差が縮まってる実感はありますね。
――前作『望郷』が13曲56分という長いアルバムでしたが、今作は全10曲38分、結構短いですよね? 必然的に最初から何回もリピートして聴いたんですが、そういう狙いもあったんですか?
三島:いえ、そういう意図ではなかったんですけど(笑)、作る曲作る曲がそういうモードだったんですよね、きっと。
久野:でも、曲数を10曲くらいに収めたいというのは始めからずっと言ってたよね。
三島:うん、そうだね。とにかく前作と差を出したいというのがあったんで。「望郷」が凄く長いなというのは思っていたんで、すっきりしたものにしたいという意識はありましたね。
――文学的なイメージだった『望郷』と比較して尖ってる部分が自然と曲の長さに出ているんですね。
三島:前よりは「ロックンロール」な感じはありますよね。
飯田:元々cinema staffは「(普通は)もう一回くらいサビがあるのにな」って思うような短い曲が多い方だと思うんですけど、何度も何度も聴いてもらいたい気持ちが結構あるかもしれないです。時間にはそんなにこだわってはいないかもしれないですね(笑)。
久野:でもそぎ落とすようにはなったんじゃない? あんまり無駄な展開をたくさんするよりは、ズバッと気持ち良い展開で、というのを繰り返したら短い曲も多くなったし、間延びしない感じというのは思っていました。
――1曲目の最後にプレシジョン・ベースなら「PB」というように各パートの楽器名を並べてますね? 凄く印象的でした。
三島:楽器というのは自分達にとっての武器というか、商売道具なんで“バンドですよ”っていう意識は出ると思ったんですよね。
――「シネマニア」(タワレコ特典の小冊子)を拝見すると、各楽器の詳細が書かれていたりして10代でバンドをやってるファンが喜びそうな内容になっていますが、バンドをやってる若い子たちに発信している意識は強いですか?
三島:今は凄くあります。前より求めてくれてるのかなとは思いますし、コピーしてくださってる方も多いし。何かできたらいいなとは思いますね。
飯田:結構僕らYouTubeとかで(コピーバンドの動画を)見るんですけど(笑)。コピーしてもらうの凄く嬉しいんです。自分たちもそうしてきたし、バンドをやりたい気持ちも凄くわかるんで、cinema staffでバンドスコア出したいね、とか話したりはしますね。
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