【インタビュー】cinema staff、経験値が格段にアップした新作アルバム『Drums,Bass,2(to)Guitars』をリリース
■「楽器は“見た目が8割”じゃないですか(笑)?」「絶対そうですね、それは」
――みなさんも他のバンドのプレイヤーからヒントを得たり刺激を受けたりすることは今もありますか?
三島:一番はTHE NOVEMBERSですね、最初は。あとはmudy on the 昨晩っていう先輩です。でも最近は出したい音も定まってるというか、好みの音も決まってアンプも決まってる感じなんですけど、以前は一緒にツアーをまわったりとか長く一緒にやってるバンドの影響は凄く受けましたね。
――cinema staffの中で他のバンドとの窓口的な存在ってどなたなんですか?
飯田:それは辻君ですね。
辻:そうですね。
――ギタープレイヤーだけではなく、いろんな方と話すんですか?
辻:そうですね、どちらかというと…
久野:お酒だよね?
三島:あんまりギターの話してないですよ(笑)。
辻:(笑)でもいろんなギタリストの影響は受けますけどね。
――そういう交流やライブを通して得た物で今回のアルバムに反映されていることってどんなものがありますか?
辻:そうですね、あんまり考え過ぎてない、良いフレーズが多くて。一曲一曲の細かい音の感じとかは今までよりはこだわってますね。
▲『Drums,Bass,2(to)Guitars』【初回限定盤】
辻:それは凄く考えてます、それが良さだと思っているんで。2本のギターの絡みとか音のバランスとか。
飯田:今回、自分のギターの音に関しては、これまでで一番音数も少なくて。アンプでシンプルにジャズマスターの良い音を出すことにかなりこだわってやりましたね。シンプルに装飾をつけずにアンプの歪みだけでひとつの音を作ったという面では今回がはじめてでした。
――弦楽器が全員フェンダーを使ってるのは以前から変わらないんですか?
三島:変わらないですね。たまたまです。
飯田:好きなバンドが使ってたりとか、見た目が気に入ったとか。でもそれが大事なんで。
三島:やっぱり最初は見た目ですね。楽器は“見た目が8割”じゃないですか(笑)?
飯田:絶対そうですね、それは。
久野:絶対って言っちゃったよ(笑)。
飯田:(笑)いや、絶対そう。先輩バンドもそう言ってるから。
――アルバム3曲目の「tokyo surf」はライブでも盛り上がりそうな曲だと思うんですけど、初めて曲名に東京という言葉が付きましたね。
三島:そういえば、そうですね。
――cinema staffは岐阜への想いを強く持っているイメージがあるので、この曲を書いた時の三島さんの心境を教えてもらえますか?
三島:『望郷』で故郷のことを歌い過ぎたんで(笑)、ホームシック感は無くなってるんで書けた曲ですね。今も東京に馴染んでるとは思ってないですけど、好きな所もいっぱいありますし、東京も悪くないなという風には思うようになったんで。ただ僕はあんまり東京では死にたくないなとは思うんですけど。
一同:ははははは!
飯田:東京で死にたくないって(笑)。
三島:というか、一生いるとは思わないですけど、悪くないなと思えるようにはなりましたね。
――それはみなさんも一緒ですか?
飯田:そうですね。『望郷』で故郷を歌って、今はここで戦っていくんだという気持ちで歌ってますね。
――こういう音圧のある曲の中でも飯田さんの声が通るのがバンドの魅力のひとつになっていると思うんですが、ボーカリストとして自分の声の特徴を活かす方法ってどんなことがありますか?
飯田:ライブで辻とかがエネルギッシュなステージングをしている中で、自分はちょっとだけ冷静さを持ちながらマイクとの距離とか姿勢とかを気にしてますね。それでだいぶ変わるんで。今までは演奏と同じようにガ~っと歌ってた時期があったんですけど、そうすると声が抜けないんですよね。だから一歩引いた状態でマイクと向き合うようにしています。
▲「borka」
三島:いや、それから少し後ですね。「great escape」の時はバタバタしていて、ガッツリ最初からという感じでもなかったんですよ。だから次にタイミングが合ったらもっとベーシックな所から一緒にやりたいね、という話はメンバーとしていて。今回「borka」をシングルカットするかどうかという時に、じゃあこのタイミングで亀田さんに頼もうということで、早いスパンで実現したということですね。
――「great escape」とは全く違うタイプの曲ですけど、今回は亀田さんとやってみていかがでしたか?
三島:「great escape」よりは提案というか、スタジオに一緒に入って音を出しながらやったんで。「ベースのフレージングはこうしてみたらどう?」とか、メロのフレーズと当たってるから和声としてどうかとか、細かくジャッジしてもらってますね。
久野:「great escape」の時もそうなんですけど、亀田さんの提案でドラム・テックを入れたんです。普段は自分で音を決めていたんで初めて人の意見で機材を決めてもらったりしたんで、体感的な発見はありましたね。音の違いって文字で見てもわからないじゃないですか?目の前でチューニングしているのを見て実際に叩いたりして、「ああこう違うのか」というのはフィードバックされましたし、それを経てアルバムを録ってるんで。でも逆にシンプルになりましたね。前作よりも機材をコロコロ変えてないし、自分の叩き方で出音を考えるようになりました。
――作曲はバンドのクレジットになっていますけど、どういう過程で作られていくんでしょう?
三島:だいたい僕が根本になるものを持ってきて、それを膨らましながらスタジオでやるんですけど、ジャムっぽく出来る曲もありますし、もっと僕がガチガチに決めてきた曲もありますし、色々ですね。
――「shiranai hito」から「sea said」への流れがトンネルを抜けて出てきたようなイメージですね。
三島:そうです、完全にそのイメージです。それをこれだけ時間かけて言ってる感じですね(笑)。
――「she said」と「sea side」を掛けた曲名は秀逸だと思いました。
三島:これを思いついた時は天才だと思いましたね(笑)。
一同:(笑)。
▲『Drums,Bass,2(to)Guitars』【通常盤】
辻:そうですね。ここまで作ったのは初めてでしたね。
――シタールの音は実際に生でシタールをプレイしているんですか?
辻:そうです、エレクトリックシタ―ルを使っています。でも最初は全然そんなつもりはなくて。三島が書いてきたこの曲の歌詞に”シタール”って入ってたんですけど、REC本番までシタールを入れようとかは全く考えて無くて。でも本番で(三島が)エレクトリックシタールを借りてたんです。
三島:勝手に借りてました(笑)。毎回レンタル機材を借りるんで、その時にこっそり借りてたんです。辻に何にも言わずに(笑)。そうしたら意外と良かったです。
――曲調とシタールがミスマッチな感じで面白いですよね。
三島:そうですね。何も考えてなかったんですよね(笑)。シタールを絶対使おうという気もそんなになくて。
辻:もしあったら使おう、くらいの感じですね。
三島:でも確かに変な感じのマッチングになったから良かったですね。
――シタールありきで曲を作ろうとするとインドチックになったりしますもんね。
三島:なりますね、絶対なると思います。
飯田:元々このフレーズを辻がギターで弾いてたんですよ。それをシタールで弾いてみたらより面白くなったんです。
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