【インタビュー】2・3’S「忌野清志郎&2・3’Sには凄く良い曲が沢山あって、僕らがやらないと埋もれちゃうんじゃないかなと思ったんです」

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4月2日(水)の忌野清志郎63回目の誕生日に大阪・心斎橋クラブジャングルで行われるイベント<キセキ&ジャングルのキヨシロー>。2013年20年振りの再結成を果たした「2・3’S」が2014年も出演する。90年代前半の忌野清志郎と活動を共にした3人が語るエピソードとそれぞれの清志郎への想い。貴重なインタビューをたっぷり堪能してほしい。

◆2・3’S 画像

――2013年4月2日下北沢440での再結成ライヴ<キセキのキヨシロー>が終わってからファンの間では3人での継続的な活動が期待されていましたが、終了後はそういう話にはなりませんでしたか?

大島賢治(Dr.Vo.以下・大島):う~ん、特にそういう話は出てないかなあ(笑)。

中曽根章友(Ba.Vo.以下・中曽根):でも僕以外の2人は一緒にやってますからね。

大島:2013年初めて「にぶんのいち2・3’S」をやってから、のりをさんがやってるギターパンダでの活動や、僕の活動の中で地方のライヴハウスに行ったりすると「2・3’Sをうちでもやって欲しい」という声が多くて。そういう声に応えてやっている感じですね。

――中曽根さんは現在音楽活動をどの程度やっていらっしゃるんですか?

中曽根:ボス(忌野清志郎)が亡くなるまでは、ほとんどやっていなかったんです。(2013年のライヴは)大島さんに誘われたのかな?

大島:そうだっけ?まあアッキー(中曽根)にも出てもらおう、ということで毎回のように誘うんですけど。今回もギリギリまで返信が来なくて(笑)。

――中曽根さんは音楽活動を再開することに抵抗があったんですか?

中曽根:いや音楽活動というよりは2・3’Sに関してはボスもいたし4人でやってたことなんで、簡単に3人でやるというのは僕のなかで凄く抵抗があったんです。でも実際に何十年振りかで会ったら、のりをさんと大島さんはただ演奏して楽しむというスタンスだったんで、まあこんな感じなら良いかなあと思って。

――2013年のライヴは凄く盛り上がりましたし、2・3’Sはやっぱり曲も演奏も良いという声が多かったですが、いかがでしたか?

大島:もう、めちゃくちゃ楽しかったですね。あの時「あら?」ってなっていたらその後はなかったと思うんですけど。お客さんも凄く喜んでくれたのが僕らにも良くわかったんで。2・3’Sの曲って、清志郎さんの歴史の中でなかなか取り上げられないんですよね。でも僕ら的には凄く良い曲が沢山あって。これって僕らがやらないと埋もれて行っちゃうんじゃないかなと思って、ちょっとでも今の人たちに聴いてもらったり、機会があればライヴもやりたいなと思ってます。

――2・3’Sの活動時期にはファンから賛否両論ありましたよね、当時は否定的な声が聞こえてきたりしましたか?

大島:若かったし、意外と僕らは楽しいということしか考えてなくて(笑)。全然気にしてなかったですね。とにかく一緒にツアーを周って、レコーディングして、周りからなんと言われようと全然気にしてもいなかったし。レコード会社になんか言われても、「売れたい」という意識よりも「楽しい!」という意識の方が凄く強かったから。ただ、今YouTubeで(ライヴ映像が)あがってるじゃないですか?それを見ると「もっと落ち着け!」とは思いますけどね(笑)。

中曽根:ははははは。

――その時感じていた楽しさが今もあるということですね。中曽根さんは当時を振り返ってみていかがですか?

中曽根:僕はもともと、RCサクセションのスタッフとして、ツアーを周ったりレコーディングの現場で働いていたんですよ。僕はボスについていたので、だいたいのレコーディング作業とか家でやっていることとか、近くで見ていたんです。そのままの流れで2・3’Sをやってたので、スタッフの立場から今まで見てたメンバーの立場になってやれて凄く楽しかったですね。

――元々中曽根さんはベーシストではないんですよね? 最初はどう思いました?

中曽根:「いや、弾けません」って言ったと思います(笑)。でも「いいから弾け」なんて言われて、すぐにボスがギブソンのベースを買ってきて。「これが良いんだよ」って言われたら「ああ、本当に良いな」って惹き込まれて行って。で、その時にファンクラブをやっていた女の子が大島さんの知り合いで、「良いドラムがいるんですけど」って。

大島:その女の子が「素敵なエンドーさん」(1stアルバム収録曲)です。彼女が僕を清志郎さんに凄く推してくれたんですよ。それで当時渋谷にあったマックスタジオという所に呼ばれて行ったんです。マックスタジオはプロユースのスタジオだったんで緊張しながら行ったんですけど、その中でも一番小さい部屋にポツンとアコギを持った清志郎さんがいて、こっちではアッキーがギターを磨いたりしていて(笑)。他に誰もいなくて、「えっ!?」って目を疑ったんですよ。ここは清志郎さんの控室なのかなって思っていたら「あ、大島君?」って。「じゃあどうぞ」って言われてドラムをセッティングしてたら清志郎さんがアコギを弾いて「じゃあ僕が歌うから合わせてドラム叩いて」って『デイ・ドリーム・ビリーバー』とか歌い出すんですよ(笑)。それに合わせて1時間位ドラムを叩いて、「じゃあこんな感じかな」って終わったんで、次の人が来るのかなと思っていたら「今日はこの後時間あるの? 飯でも行こうよ」って言われてボスのポルシェに乗っておでん屋に行って(笑)。

中曽根:それが2・3’S結成の日じゃないですか? その後にボスの家に行って、朝まで飲んだんですよ。うちに写真があるんですけど、3人でボスの部屋でギターとかベースを弾いて盛り上がっていて、窓の外が朝なんですよ。だから朝まで飲んで話をして「じゃあこれから2・3’Sをやろう!」ってなった日だと思います。

大島:そうかもしれない。僕にしてみればあれよあれよ、ですよ。で、後日マネージャーさんから「いついつ日本テレビ、いついつ何々」っていう風にスケジュールがガーって来たんです。「え~」って思ってたら夏のイベントまで入っていて。そしたら今度はライヴをやるのに3人じゃなんだから、ギターを入れようってことになって、何人かオーディションをやってのりをちゃんが入ってきたんです。

――のりをさんとは全くの初対面だったんですよね? 最初からすぐに打ち解けたんでしょうか?

大島:やっぱりのりをちゃんはああいう人だから、いわゆる岡山弁で。僕なんかは東京の人間だから、なんか凄いなと思って(笑)。でもギターは上手だったし、(のりをが在籍していたディープ&バイツの)噂は聞いていたんで。

――最初から最後まで変わらずに楽しくやっていたんですね。

大島:そうですね。ちょっとふざけすぎなんじゃないかっていうくらい。まあマネージャーさんに良く怒られてましたね。ステージでもレコーディングでもとにかく必ず怒られてましたね。

――必ずですか(笑)。それでもちゃんとしなかった?

大島:いや、ちゃんとはしてるんですけど(笑)。ただ4人が集まって何かやり出すと、みんな輪をかけてやり出して、やめようって言い出す人がいないから。

――清志郎さんも一緒になって?

大島:一緒っていうかもう輪をかける感じですよね。それは凄いなあと思って。僕らがボスに対して先輩という姿勢で話をしたり、何かをしたりするのを凄く嫌ってましたね。「バンドは年齢とか関係ないんだから、俺らは平等なんだ」って。「だから俺は大島ちゃんて呼ぶし、大島ちゃんも俺をキヨちゃんて呼べよ」って。でもさすがにキヨちゃんとは呼べないなぁって(笑)。

中曽根:でも確かにそう言ってましたね。本当に友達みたいな感じで。僕がボスに言われたことで覚えているのは、ライヴをやってる時にベースを弾きながらちょっと前に出ていくじゃないですか? そうすると「歌ってる時にパッと見て横にいてくれたりすると、バンドっていう感じがして凄く嬉しい」って言われたんですよ。そういう分け隔てない関係がボスの理想だったんじゃないですかね。

~(途中で山川のりを到着)~


――当時の2・3’Sのライヴについてはいかがでしたか?

大島:当時は嬉しい、楽しいばっかりで清志郎さんの凄さとかをあんまりじっくり感じてやってなかったですね。改めてYouTubeを見たり音源を聴くと「凄い人とやってたな」と思いますけどね。

山川のりを(Vo.Gt):まあ凄い人とやってるというのはもちろん思ってるんですけど、そればっかりずっと思ってると何にもできなくなっちゃうんで。あと凄く自然な感じで接してくれてたので。

――ツアーに出ている間、ステージ以外ではどんな感じだったんですか?

中曽根:必ずその日のライヴのビデオをボスの部屋で観るんですよ、朝まで。

大島:最初はみんな飲みながら「ここはこうだな、ああだな」って言ってるんですけど、でも3、4回目位になると酔っ払ってきてるから「最高だ!落ち度がないな!」って(笑)それでもうこれで終わるのかなって思ったら「もう一回観てみようか」ってまた最初から観だすんですよ(笑)。

山川:だいたい一晩に5、6回観るんで。1回のライヴも最後の方は3時間位になってたんだけど(笑)。

中曽根:だから2回観たら6時間ていうことですよね(笑)。

――それは「もう寝ます」って抜けられないんですか?

大島:なかなかできないんですよ、空気的に。だいたい3、4回目くらいになると周りの様子を見るわけですよ(笑)。ボスはもう入り込んでるから「いやあ~最高だな!」って感じなんですけど、僕らもう眠いんでビデオが止まった瞬間に「さあ、そろそろ」っていう空気は出すんですけど「もう一回観ようか」って言われると「そ、そうっすね」って。終わったら部屋を出た瞬間に(疲れ切った様子で)「お疲れ様でした…」って言って(笑)。

一同:あはははは!

――2014年は<キセキ&ジャングルのキヨシロー>として大阪で開催されることになりました。2013年は4月には歌わなかった中曽根さんが5月の神戸のイベントでは「芸術家」を歌っていましたね。今年はもうひとつの曲「NERVOUS」が聴きたいという声もあると思いますが。

大島:ですよね。

中曽根:ほらそういうこと言うから。ですよね、じゃないですよ(笑)。

――期待してます(笑)。<キセキ&ジャングルのキヨシロー>ではタイマーズとニーサンズのコラボとか、今回も“キセキ”が起きるかもしれないですね。内容は当日のお楽しみ、ということで。では最後にみなさんが思う忌野清志郎さんの魅力を教えていただけますか?

中曽根:やっぱボスの歌にはどんな曲にもメッセージがあるところですね。例えば「善良な市民」にしても20年位前の曲なのに、今でも通じるメッセージが含まれていますから。

大島:凄く人間的な気がしますね。姿勢はロックですけど凄く愛に溢れてるし、人間ってああじゃなきゃいけないんじゃないかなって。みんなああいう人だったら良いのになと思います。

山川:曲が凄いです。メロディも歌詞も何もかもが言いたい事を言っているというのが。あれだけ言いたいことを歌えたら気持ち良いと思いますね。

取材・文●岡本貴之

2014年4月2日(水) 心斎橋クラブジャングル
『キセキ&ジャングルのキヨシロー』
開場:18:30 開演:19:00
前売:¥3000 当日:¥3500 (1drink別)
【出演】
・THE 2・3’S(中曽根章友、大島賢治、山川のりを)
・大王丸
オープニング・アクト:モンスターロシモフ
ゲスト:羽原裕太郎(from Theゆうたろうバンド、ex プロペラ)
心斎橋クラブジャングル http://www.clubjungle.jp/

<GO!GO! 2・3'S 2014>
4月3日(木) 京都 磔磔
Open 17:30/Start 18:30 前売¥2,500/当日¥3,000(1drink別)
4月4日(金) 岡山 ブルーブルース
Open 19:00/Start 19:30 前売¥2,500/当日¥3,000(1drink別)
4月5日(土) 広島 LIVE Cafe jive
Open 19:00/Start 19:30 前売¥2,800/当日¥3,300(飲食代別)
4月6日(日) 名古屋 Tiny7
Open 17:00/Start 18:00 前売¥2,800/当日¥3,300(1drink別)
※なお 4/5広島公演・4/6名古屋公演には、中曽根章友は出演いたしません。
各公演の詳細につきましては、各会場にお問合せください。


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