【インタビュー】T-BOLAN、栄光と挫折、そして復活のドキュメンタリーフィルム公開「つまり、“挑戦”ですよ」
■“いつか”なんていう気持ちがあるなら、今、もう一度──森友
■いらぬ心配でしたね。もう、何も変わってなかった──五味
▲上野博文/Bass |
森友:いろんな思考錯誤がある中でソロを始めて、一番大きかったのが震災ですよね。これは僕だけではなく、みんなが“自分の生き方はこれでいいのか”“本当に大事なものは何なのか”を考えたと思う。あと“いつか”だよね。
──“いつか”ですか?
森友:いつ何が起こるかわからないんだなってことが現実となったときに、心の奥の方にあった“いつか”……。T-BOLANは解散したけど、自分にとって、ファンにとって、すべてにとって、本当にこれでいいのか?と。“いつか”なんていう気持ちがあるなら、今、もう一度気持ちを確かめたいと思ったんです。しかもソロのツアー中に「T-BOLANの再結成はないんですか?」っていう声も聞こえてきてたし、五味からも「どうなんだ?」っていうのがあって。一度は“いや、再結成はないだろう。だって不可能だったじゃないか”と思いつつ、でも本当にそう言い切れるだけの時間をそれぞれと過ごしたのか、4人が出した答えは本当にそれで後悔がないのかと、……そこまで思ったんです。だから再結成する/しないじゃなく、もう一度向き合った方がいいなって。4人が集まって、音を出して、いろんな話をして、でもそこになつかしさしか残らないのであれば、そのまま何もなくてもいいし、何か引っかかるものがあるのなら、できるところまでやってみるべきなんじゃないかなって。
──それで山中湖に集まったんですね?
森友:そう。だから俺は山中湖へ向かう車のトランクに酒しか入れてないんですよ(笑)。再結成のためとかじゃないからさ。山のようにシャンパンと葉巻を詰め込んでね。
▲青木和義/Drums |
森友:はははは。実際、いろんな感情があったしね。上野は山中湖に来ることさえ、ためらいを持ってたし、青木は“4人で集まれるんだ!”っていう喜びの中にいた。五味は……どんなふうに思ってたか知らないけど(笑)。
五味:俺は最初、不安もあったけど、すごく楽しみでもあったよ。
森友:山中湖で時間と共にいろんな感情が開いてきて。だから1日目の夜、2日目の夜、3日目の朝では全然違ったよね。
──最初は固い空気だったのが、徐々に和んでいったり?
五味:いや、固かったのは最初のほんの数分ですよ。その後は全く。ただ、実際、音を出すじゃないですか。正直、やる前は不安だったんですよ。本当に昔みたいにちゃんとやれるのかな?って。でも全くいらぬ心配でしたね。もう、何も変わってなかった。ただ、誰でもそうなるわけじゃないと思うんです。例えば僕が昔やってたバンドの仲間と久々に音を出したりすると、あれ?と思う瞬間があったりもするし。そういう意味では、本当に時がタイムスリップしたような感じでしたね。
森友:その山中湖で1曲目にやったのは「いじけた視線(を君に語るより 光をみたい)」だったんですけど、何の曲をやるか言わずに俺がピアノを弾き始めたら、五味が入ってきて、歌が入って、そこに上野と青木が途中からドーンと入ってきて、気がついたら4人で演奏していて、“あ、T-BOLANだ!”って(笑)。俺はソロでもサポートミュージシャンたちを集めてT-BOLANの曲をやったりしてるんですけど、やっぱり違うんですよ。音じゃないところでそれぞれに印しみたいなものがあって、4人で音を出した瞬間に焦点がバンッ!と合ってしまうみたいな。だからバンドって面白いなぁと。
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