【インタビュー】VALSHE、存在意義に貫かれたアルバム『V.D.』完成「テーマは自分が自分であることの証明です」
■VALSHEの全てを解放するこのアルバムで
■初めて自分自身に向き合えたんじゃないかなと
──アルバムのレコーディングはいつ頃から行われていたんですか?
VALSHE:ライブが終わった直後から始めたので、2013年の12月からですね。
──そうすると完成まで1ヶ月もかからなかったんですね。
VALSHE:そうですね。シングル制作と同じか、それより短かったです(笑)。2、3曲はトラックができていたので、すぐに自分が作詞に移れる状態にしていただいていたんですね。で、できた曲から順番にレコーディングしていきました。
──VALSHEの音楽はデジタルが土台となったものですが、アルバム制作にあたってサウンド面でのテーマはありましたか?
VALSHE:デジタル・サウンドを踏まえた上で、アルバムならではのあまり挑戦したことのないジャンルも採り入れたいとは思っていましたね。
──これまでよりも生楽器が多めの曲もありますね。
VALSHE:「RAGE IDENTITY」はロック感を増したくて、普段の音作りよりも生っぽい音にしました。重めのベースであったりとか。従来のデジタル要素もあるんですけど、歌詞と合わせてより力強さをサウンドで表現することを突き詰めています。
──ビッグバンド風の「Leopardess」をはじめ、これまでのカップリング曲には新たな試みもあったと思うのですが、このアルバムならではのチャレンジという意味では他にどんな曲がありますか?
VALSHE:楽曲や歌詞という意味での新しい挑戦はもちろん各曲にありますが、サウンド面では12曲目の「Prize of Color」が、これまでのイメージになかったものになっていると思います。
──確かにアルバム全体の中ではかなり印象の違うポップな曲になっていますね。
VALSHE:先ほどお話したように、アルバムのコンセプトとして掲げたものが、緊張感のあるサウンドと重厚な歌詞というより、パーソナルな部分をアルバムに詰め込んでいくことにあったんです。「Prize of Color」は、ファンのみなさんへのストレートな気持ちを歌ううえで、今まで取り入れたことのなかったテクノポップ・サウンドに乗せました。
──“大切なものならここにあった”とか“伝えていくよすぐそばで”というこの曲の歌詞に、アルバムが持つメッセージの核心があるのでは?と感じました。
VALSHE: 1曲目に「RAGE IDENTITY」という今回のコンセプトを象徴する楽曲があるのですが、それを経たナンバーである「Prize of Color」に、自分の中のひとつの答えがあると思っています。
──では、VALSHEの決意表明とも言える「RAGE IDENTITY」を書き上げた時の想いを教えてもらえますか?
VALSHE:アルバムコンセプトが出来上がる前に「RAGE IDENTITY」という曲のタイトルは決まっていたんです。ですからこの曲で“何の為に自分がいるのか、何の為の存在なのか”について書くということは決まっていて。前シングルまで虚像を貫いてきたことは、自分が思い描いていた道筋通りではあります。ただ、“存在意義”については想像以上に自分自身を追い詰めていくもので。結果、VALSHEの全てを解放する今作で、初めて自分自身に向き合えたんじゃないかなと思っています。これまでも素顔を明かすことでファンの方々を動揺させてしまうかもしれないという葛藤もありましたが、ライブを経て、ひとつひとつ乗り越えてきたからこそ、「RAGE IDENTITY」という曲が完成させられたと思います。
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