【インタビュー】VALSHE、存在意義に貫かれたアルバム『V.D.』完成「テーマは自分が自分であることの証明です」
中性的なシルエット。ハスキーかつ伸びやかなボイス。デジタルロック・サウンド。ネットやアニメ界隈を中心に支持を拡大したシンガー。……果たして、VALSHEとは何者なのか。
神秘のベールの向こう側にあったその実像を、VALSHE自身がついに明らかなものにした。これまで一切素顔を公開せずに活動してきたVALSHEだが2013年、シングル「Butterfly Core」にて初めて実写によるアートワークを打ち出し、その直後にファンクラブ限定ライブを開催、生身の姿を公開した。そしてリリースされるアルバム『V.D.』には、完全なるノンフィクションのもとに制作されたありのままのVALSHEがいる。コンセプトは“自らの存在意義”。アルバム『V.D.』(VALSHE’s Identityの略)を掲げて、新たな一歩を踏み出した彼女が、その力強い瞳で現在を語った。
◆2ndアルバム『V.D.』クロスフェード
■アルバムの構想は一年半以上前から決めていました
■ステージに対するイメージはデビュー当時からあった
──まずVALSHEというアーティスト・ネームの由来から教えていただけますか?
VALSHE:前シングル「Butterfly Core」リリース時に、初めて名前の由来を公表したんですが、自分は『名探偵コナン』が凄く好きで。劇場版に出て来る、“聞き間違えたロシア語(「バルシェ・ニクカッタベカ」)”が由来です。
──では、2013年に「Butterfly Core」がTVアニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマ曲として起用されたのは相当嬉しかったんじゃないですか?
VALSHE:はい。これはついに名前の由来を言う時が来たな、と(笑)。
──メジャーデビュー以前はネットへの音楽投稿などもしていらっしゃったそうですが、そもそもどんな形で音楽を始めたんですか?
VALSHE:以前は音楽活動と呼べるものを特にやってこなかったので、サウンド・プロデューサーのminatoと出会ってからですね。ただ、歌は小さい頃から好きでした。
──VALSHEの音楽はサウンド・プロデューサーのminatoさんほか、どんな方々によって構成されているのでしょう?
VALSHE:1stミニ・アルバムの頃から、中心になるメンバーは変わっていなくて。前作までのイラストを描いてくれているイラストレーターの白皙や周りの制作スタッフも含めて、ずっと一定のメンバーでやっています。ですから、制作においてはチームのようなカタチになっていますね。
──楽曲のアレンジ面はminatoさんとVALSHEがやりとりをしながら作っているんですか?
VALSHE:もう結構長い仲なんで、細かいことを言わなくてもだいたいわかってくれているんです。だから最初に曲のコンセプトを打ち合わせて以降は、アレンジャーさんとminatoの間で詰めてもらっていますね。それを聴かせてもらって何かリクエストがあれば話し合うというやり方なので、凄くスムーズだと思います。
──それではアルバムですが、まずコンセプトはありましたか?
VALSHE:『V.D.』というアルバムタイトルは“VALSHE’s Identity”の略称なんです。VALSHEの存在意義、自分が自分である証明というものをテーマに、全編ノンフィクションの詞でアルバムを作りました。そういう意味でのコンセプトというか構想は一年半以上前から決めていました。
──「Butterfly Core」のジャケット写真で初めて実像をさらして、リリース後にはライブ<OVER THE HORIZON FIRST CONTACT "LIVE THE JOKER 2013">も行ないました。その流れも構想の中にあったという?
VALSHE:そういう流れを作ってからアルバムの制作に入ることができたので、タイミング的にもベストだと思います。これまでの歌詞は自分の心情を入れているという意味では完全なフィクションではなかったんです。でも歌っている最中にどこか客観的な部分もあったりして。今回は自分自身のことを歌詞に書いて、その当事者として歌っているので、前回と今回の違いは大きくあると思います。
──逆に言えば、これまでイラストのジャケットにしていたり、あえて実像ではなく虚像的なイメージを作っていた理由はなんだったのでしょう?
VALSHE:先ほどのチームの話にもつながるんですが、一番最初の出会いがイラストレーターの白皙で、その後にminatoと出会い、3人で何かを作るというところからVALSHEが始まっているんですね。そういう理由もあって、イラストレーションが入るのは活動の中では必然でした。ただ、イラストから実像へ急激に変わってしまえば、今まで応援してくれたファンの方々の混乱をきたしかねないという気持ちもあって、順を追いたかったんです。
──結果、ライブを行うことでファンの方々とのやりとりも生じるわけで。
VALSHE:まさにもう1つの大きな理由がライブの構想でした。自分のステージに対するイメージは、デビュー当時からあったので、そこに到達できるまでやりたくなかったんです。ライブがないのに、ただただ顔を出してもね(笑)。で、2013年にライブを行ったわけですけど、本当にすべてが自然なタイミングでこうなったんじゃないかなと思っています。
──初めてのライブはいかがでしたか? 客席の反応が凄まじかったですが。
VALSHE:凄く嬉しい反響でしたね。「終わったばかりだけど、また会いたい」っていう声をたくさんいただいたのですが、自分も全く同じ気持ちでした。これまでもライブをやりたい気持ちはありましたけど、まず最初のライブは応援してくれる方々のもとに自分が出向いてご挨拶をするところから始めたいと思っていたので、ファンクラブ限定のクローズドなものにしたんですね。でも、これからはいろいろな場所へ行きたいですね。
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