ヤマハ、NAMMで発表のプロオーディオ機器新製品を披露、ミキシングコンソールMGやモニターヘッドフォンを紹介

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ヤマハは2月3日に新製品記者説明会を開催、1月にアメリカ・アナハイムで開催された楽器ショー「2014 NAMM Show」で発表したプロオーディオ機器の新製品を披露した。ミキシングコンソールMGシリーズとスタジオモニターHSシリーズの新ラインアップに加え、スタジオモニターヘッドホン「HPH-MT220」「HPH-MT120」、SteinbergブランドのUSBオーディオインターフェース「UR44」と「Cubase 7.5」についても説明がなされた。


▲ミキサーのMGシリーズ、モニターのHSシリーズやヘッドホン、オーディオインターフェースを披露。写真右は冒頭で挨拶した宮脇精一本部長。

■ミキシングコンソールMGシリーズの第3世代10モデル

中心となったのは、イベントPAや中規模SRから音楽制作環境までカバーするミキシングコンソールMGシリーズ。コンパクトな6chモデルから20chまで10モデルをラインナップする新シリーズだ。

▲第3世代MGシリーズは6~20の各ch仕様とも2モデルがラインナップ。写真左は20chモデルのMG20とMG20XU。写真右は左からMG12XU、後列がMG10、MG10XU、前列がMG06、MG06X。

冒頭で壇上に上がったヤマハミュージックジャパンProMusic・PA営業本部の宮脇精一本部長は、「非常にコンパクト・高性能なアナログミキサーのラインナップ」と紹介。2003年の第1世代、2007年の第2世代に続く第3世代の投入までの7年間について、「全世界で何十万台と使われているMGシリーズのユーザーの声を徹底的に聞いて作られた」「特に日本国内の声をきっちりと聞けたのが大きかった」「それらの声を単純に織り込むだけでなく、さらに一歩先を目指すカタチで製品として仕上げることに時間を費やした」と説明。また、ヤマハの標榜する2つのフィロソフィ「顧客第一主義」「高品質主義」についてもコメント。「やみくもに高品質なものをお客様のニーズに合わないものを付加価値と称して対価に代えて皆様にお届けすることを意味するのではない」「お客様からいただいた声を磨き上げて、お客様の期待から少し先に進んだ形で、いい意味でお客様を少し裏切るような一歩先を行くような商品をきっちりとお届けしたい」とした。また、アナログコンソールの開発においても、チップレベルからの素子開発や作り込みにおける生産技術の開発も行い、それらをふんだんに投入して商品群を実現したうえでお客様の声からいただいた新しい機能を盛り込んだとし、「実機を触ってそれを実感してほしい」と締めくくった。

続く商品説明ではまず、豊富な機能と10モデルのラインナップにより、モデルを変更することによって、外での仮設のPAから自宅録音、ライブハウスでの使用など、マルチな用途に対応できることをアピール。ラインナップは、標準的な機能を備えたスタンダードモデル5モデル(MG06、MG10、MG12、MG16、MG20)と、マルチエフェクトを搭載したXモデル(MG06X)、さらにUSBオーディオインターフェイス機能を搭載したXUモデル(MG10XU、MG12XU、MG16XU、MG20XU)の計10モデル。いずれも、音質、堅牢性、利便性を追求。音質では、ヤマハのハイエンドレコーディング機器用に開発されたディスクリートClass-Aマイクプリアンプ「D-PRE」の採用、音質に特化したオペアンプ「MG01」の開発により、「原音を忠実に再生する」ことを実現。あえて色づけすることでマイクプリアンプのキャラクターを出すという考えもあるが、演奏者の表現力や個々の楽器の音、本来の音を忠実に再生することを重視して音作りをしていると説明。

X/XUモデルのエフェクターは、定番のエフェクトプロセッサー「SPX」をさらに強化。従来モデルの16プログラムから24プログラムを搭載(Xモデルは6プログラム)。ラジオボイスやピッチチェンジなど表現の幅をさらに広げるエフェクトが追加されている。コンプレッサーは、ノブ1つで複雑な処理をカンタンに行える「1ノブコンプ」を強化、より使いやすいものとした。XUモデルのオーディオインターフェイス機能は24ビット/192kHz対応。iPad/iPhoneにCamera Connection Kit経由で接続できること、「Cubase AI」のダウンロードコードが付属するのでデジタルの音楽制作環境がカンタンに構築できることが示された。


▲エフェクトはMG06X(写真左)が6プログラム、XUモデルは24プログラム(写真中はMG12XU)。YAMAHAロゴがある面は曲げ加工により強度をアップ。写真右は背面のコネクタは両脇の突起でガードされている。


▲モノ入力はフォーン/XLR対応のコンボジャック、PADやHPFを備える(写真左)。各chには1ノブコンプやEQを搭載(写真中)。各種オプションもラインナップする(写真右)。

堅牢性ではメタルシャーシの採用、同社のCLシリーズで使われたのと同じ曲げの加工によりさらに堅牢性が高められたこと、背面の端子部を保護する両端の突起に見られる考えぬかれたフォルムデザインを挙げた。電源部とアナログ基盤を離す、ノブにかかる衝撃を天面で逃す構造など、部品寿命を伸ばすために最適なパーツレイアウトも含め、過酷な使用環境に耐えうる信頼性をアピール。利便性の追求としては、ACインレットタイプの内蔵電源採用(ACアダプタ不要、12chモデル以上)、16ch、20chモデルにはラックマウントキットを標準で付属(取り外しもの可能)。さまざまな要望に対応する入出力端子の説明では、すべてのモデルの出力にはXLRを用意。ステレオインプットは10ch以上のモデルで、XLR、フォーン、RCAを用意。モノインプットはコンボジャックとPADを備えマイクもラインもOK、高い入力も受けられる柔軟性が挙げられた。

発売日はMG06、MG06X、MG10が2月、MG10XU、MG12、MG12XUが4月、MG16、MG16XU,MG20、MG20XUが5月。価格はすべてオープンプライス。12chモデル用のラックマウントキット、10ch以下モデル対応のマイクスタンドアダプター、XUモデル用のフットスイッチがオプションとして用意される。

■パワードスタジオモニターHSにはホワイトモデルが追加

デファクトスタンダードとなっていた「NS-10M」同様、原音に忠実に再生することをモットーに作られたパワードスタジオモニター、HSシリーズは2005年の第1世代に続き、2013年に現行の第2世代(ブラックモデル)が登場、そしてそのラインナップに2014年、ホワイトモデルが加わった。さまざまな制作環境やスタジオインテリアに合わせて使いたいという要望応えての登場だ。

HSシリーズは、あくまで原音に忠実に再生する、あくまで正確な再生能力を徹底追求、そして確かな音像定位と高い分解能、フラットな特性を追求するため、「すべての音を、見るために」というテーマで開発。新開発のスピーカーと厳選された音響部品により再生能力の飛躍的な向上が図られたほか、共振を低減するエンクロージャー設計(接続面の凹凸を組み合わせる三方止めを採用)、高品位でフラットな特性を実現するパワーアンプ、緻密なセッティングを可能にするコントロール類と充実の端子類を特徴とする。

ラインナップはコンパクトな5インチモデル「HS5W」、プロユースにも対応する6.5インチモデルの「HS7」W、余裕の低域再生能力を持つ8インチモデルの「HS8W」の3モデル(いずれもオープンプライス)。HS8Wは受注生産となる。発売は2月。


▲HSシリーズラインナップ(写真左)。前列がホワイト、後列がブラックモデル。前列左のサブウーファーHS8Sは黒モデルのみ。写真右はエンクロージャーの構造を示す図。

■原音を忠実に再生するスタジオモニターヘッドホン「HPH-MT120」「HPH-MT220」

原音を忠実に再生し、すべての音を見ること。モニターとしての考えをHSと共通に持つと紹介されたのがスタジオモニターヘッドホンHPH-MTシリーズ。「HPH-MT120」は40mm、「HPH-MT220」は45mmのドライバーを徹底的にチューニング。プロフェッショナルが使うことを前提に開発されている。プロテインスキン(プロテインを配合した合成レザー)によるなめらかで快適な装着感、低反発クッションが耳・頭にフィットすることで余計な振動を吸収、それによりストレスを感じさせない装着性と高い遮音性を実現。長時間作業のつかれを軽減。オーバーイヤー型の形状も高い遮音性に一役買っているとした。「HPH-MT120」「HPH-MT220」ともにすでに発売中(オープンプライス)。


▲モニターヘッドホンHPH-MT220とHPH-MT120(写真左)。HPH-MT220はカールコード、HPH-MT120はストレートケーブル。プラグはステレオミニで、金メッキ6.3mm変換プラグが付属する。いずれもイヤーカップは可動式で片耳モニターも可能(写真右)。

■6in/6outのコンパクトなUSBオーディオインターフェース「UR44」

Steinbergブランドからは、24bit/192kHz対応の6in/4outのUSBオーディオインターフェース「UR44」が登場、1月末から発売されている(オープンプライス)。URシリーズは、フラッグシップモデルの「UR824」、モニターコントロールに特化した「UR28M」、2in/2outの「UR22」がラインナップされてきた。今回の「UR44」は、「UR824」と「UR22」の中間に位置づけられる。マイクプリアンプはMGシリーズ同様「D-PRE」を搭載。レコーディング、モニター時に活躍するDSPベースのエフェクトを搭載するほか、これらのエフェクトを再生・バウンス時に使えるVSTプラグイン版も付属。レイテンシーフリーのモニタリングが可能、Camera Connection Kit使用でiPad接続にも対応する。現在品薄となっているが、これから増産していくという。


▲オーディオ・インターフェースUR44は前面にD-PRE搭載の4ch、背面に2chライン入力を備える(写真左)。写真右はURシリーズ。後列上からUR28M、UR824、前列左からUR44とUR22。

このほか、「Cubase 7.5」(2014年12月発売、オープンプライス)についても紹介。「Groove Agent SE 4」「HALion Sonic SE 2」といったVSTインストゥルメント、テープサチュレーター「Magneto II」やDJエフェクト「LoopMash FX」に代表されるエフェクトの強化、マルチトラックや複数テイク録音時の編集作業を高速化するトラックバージョンなど編集スピードを改善する新しいワークフローの搭載が挙げられた。


◆MGシリーズ スタンダードモデル 製品詳細ページ
◆MGシリーズ X/XUモデル 製品詳細ページ
◆HSシリーズ 製品詳細ページ
◆HPH-MT120、HPH-MT220 製品詳細ページ
◆UR44 製品詳細ページ
◆Cubase 7.5 製品詳細ページ
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
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