【インタビュー】LUNA SEA、Jが語る奇跡のアンサンブル。「手にしてくれたみんなの想いが乗ることによって、また新しい物語が始まっていく。それを俺たちは楽しみにしている」
「俺たちなりの続け方は1回、バンドが木っ端微塵に壊れることだったのかもしれない」。LUNA SEAが終幕した頃のことを振り返りながら、Jはニューアルバム『A WILL』にこめた想いについて語ってくれた。時代が移り変わっても、ロックバンドとして地に足をつけ、凛として立ち続けるという意志――。紡がれてきたヒストリーの続きが再び、幕を明けるのがこのアルバムでもあるという嬉しい事実――。まさに待望という言葉がふさわしい覚醒の楽曲たち、奇跡のバンドアンサンブルを堪能してほしい。
◆俺自身、今回はより“LUNA SEAはここにいる”っていうアルバムを
作り上げなきゃいけないと思っていたんだ。
――アルバム『A WILL』は未来に向かう意志、希望、いろんなものが詰まったスケール感のある濃密な作品になりましたね。
J:そうだね。ホントに濃いアルバムだと思う。曲作りから考えると何年もの長い時間をかけて、当然のように1曲、1曲に想いをつめこんだから、最後にマスタリングされた音がイギリスから届いて、聴いたときには想像を超えるバンドのデカさ、存在感が音から感じられて、自分でもビックリしたし。
――アルバムを作る前、Jくん自身は今のLUNA SEAが発信したいものについて、どう考えていたんですか?
J:LUNA SEAって特異なバンドだと思うんだよね。これほど各自のプレイ、キャラクター、存在感を含めて個性が立っているバンドもいないと思っていて。ただ俺自身、今回はより“LUNA SEAはここにいる”っていうアルバムを作り上げなきゃいけないと思っていたんだ。時代的には今、すごくインスタントなモノが多くなっていて、音楽を作る過程にしてもそうだし、聴かれ方もそうなっているし――。
――例えば、以前のようにアルバム単位でまるまる聴かなくなっている傾向があったりとか?
J:そう、そう。だから、歌詞の意味を追って聴いている人がどれだけいるんだろう?楽器ひとつひとつの音色を聴いてくれる人たちがどれほどいるんだろう?バンドの立ち居振る舞いにその思いを感じてくれる人がどれほどいるんだろう? って。今、本当にそういう時代だと思うんですよ。だからこそ俺が思っていたのは、今、俺たちが俺たちらしく凛としていることが本当に大事で、そうであることがLUNA SEAらしいっていうこと。みんなのスキルと表現力があれば奇をてらうようなやり方もできたかもしれないけど、俺はそれを全く望んでいなかったんだよね。ある意味、LUNA SEAでいることを望んだというか。
◆この時代に音楽が失いつつ有る熱をも生んでいく。
俺はそいつも手に入れたかったんだ
――久々のアルバムだからといって、時代を意識して新しい特別なことをやろうとはせずに……。
J:時代とかを全部含めて“俺たちはロックバンドだ”って地に足をつけていることが大前提だろうと思った。今回、合宿から曲作りを始めたんだけど、それすら、ものすごくアナログなことでしょ?今の時代、デモをデータで送り合って確認すれば済むんだから。でも、俺たちはそういうことも全部わかったうえで、あえて原始的なほうに向かっていったんだよね。LUNA SEAとしてもう1度、蘇らせなきゃいけないことがそこにあったからなんだ。お互いにコミュニケーションをとることから始めて、重なりあう部分といい意味でのズレの部分を全て力に変えてきたバンドだから、まず、その確認作業から始めたかった。それが響き合うっていうことなんだ。例えばベースは誰かのドラムに乗ることによってリズム隊になっていくわけじゃない?誘発されるっていうか。ギターだって、ヴォーカルだって互いにそうだし、バンドってそういうものなんだよ。
――誘発のし合いによって成り立つものというか。
J:そう、そう。それがバンドサウンドであり、それを最大限のところで鳴らすっていうのがバンドなんだ!っていうことを、当然のようにわかっていたんだろうね。だから、時代と逆行するように合宿で生まれた曲をピックアップして、何度も何度もアレンジすることを繰り返した。そうすることで、この時代に音楽が失いつつ有る熱をも生んでいく。俺はそいつも手に入れたかったんだ。そういう意味でホントにバンドらしいアルバムになったと思うんだ。
――LUNA SEAが始まった頃の衝動性と、今のLUNA SEAのダイナミックさや色気が融合している印象を受けたんですよ。成熟した部分もあるのに熱さをはらんでいる。
J:自分たちのマックスを確かめ合いながら作り上げていった時間の結晶が『A WILL』だと思う。LUNA SEAは1度、終幕という形で閉じているバンドだから、ある意味ゼロじゃない?一度、途切れているからこそ、自分たちがやってきたこと、やれたこと、これからやろうとしていることがクリアに透けて見えてくる。だから、じつはすごくメンバーは冷静だったかもしれないよね。「やろうぜ!やろうぜ!いいじゃん」みたいな簡単なテンションではなかったと思う。やるからには何かを勝ち得ないと、って思っていたから、1つ1つの音を作るのにも時間をかけて意志をこめるし、こだわりが細部までぎゅうぎゅうに詰まったアルバムだね。
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