【インタビュー】AA=、「『#』には未来を見ているというテーマもある。ただ明るい未来では全然なくて今ある問題を含めた未来なんです」

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■一番最初はサウンドの衝撃力というものをすごく重要視してるんだけど
■そこで歌詞としてキーワード的なものを常に投げかけてるつもり

──つくづく不思議なバンドですよね(笑)。今日はせっかく時間があるんで、全曲について聞いていいですか? まず『#』の1曲目「DRONE」から。静かなピアノのパートと、激しいノイズのパートが交錯するダイナミックな曲です。

上田:できた時からこの形ですね。アンビエンス的なものとノイズが混在している曲です。この曲はもともと、何となく思いついてさささっと作っちゃった曲なんですよ。息抜きと言ったらアレだけど、激しい曲を作ってる間に全然違うベクトルのものを作ってバランスを取る、そんな時に作るような感じの曲なんだけど。なかなか気に入ったんで、どこかに入れたいなと思ってメンバーに聴かせた時に、“1曲目がいい”という意見が出て“なるほど”と。

──いつもアルバムにはイントロが入っているから、その代わりでもあるのかなと。

上田:そう。いつもはイントロダクションを作っているんだけど、今回はそれがなくていきなりこれで始まる。

──「WARWARWAR-# Mix-」は?

上田:これはアルバムのコンセプトがはっきりする前に作っていた曲で、「WARWARWAR」と「HUMANITY2」という(配信)シングルで出した2曲は、わりと早めにできてた曲ですね。この2曲ができたことによって、“このコンセプトで行けるな”というのが実際に見えた曲です。『#』のサウンドの方向性がこの曲によって見えてきて、打ち込みを大きくフィーチャーしたものになっていきましたね。

──その次は「VICIOUSNESS」。

上田:これも「WARWARWAR」ができたことで、その方向性に沿ってできた曲です。ドラムンベースを基本にして作ったので、一個の側面としてダンスミュージックからのイメージを打ち出していく感じにはなりましたね。AA=なりに咀嚼したダンスミュージックとロックの融合です。わりとBPM縛りもあったりして、その中で作ってます。

──非常にダークな曲ではあるんだけど、最後にどこか明るいイメージを感じるような展開が新鮮に感じました。


▲『#』VICL-64081 \2,000(tax in)

▲『4』VICL-64082 \1,800(tax in)
上田:このへんの曲のテーマはわりとダークでハードで、問題提起みたいな部分があるんで、まだ混沌から抜け出してる曲ではないんだけど。

──その先に光が見えますよね。

上田:そうですね。曲の中にそういう部分がほしいかなと。

──以前にお話した時に“頭に浮かんだ色や映像のイメージから曲を作ることが多い”と言ってましたけど、この曲はそういう感じですね。闇から光へ突き抜けるような。

上田:うん。この歌詞の世界観も、音からイメージするカラーから出ているものが土台になってるし。

──さっき言われた“混沌”というのはまさに今の時代であったり、いろんな問題であったり、ということですよね。

上田:そうです。『#』には、未来を見ているというテーマもあるんですよ。ただその未来も、明るい未来では全然なくて、今ある問題を含めたこれから先の世界をどう考えていくか?というような未来なので。「WARWARWAR」には戦争という大きいテーマがあるし、「VICIOUSNESS」には人間の内面になる暗い部分がテーマになってるし。結局全部そういうところから歪みが生まれてくると思うし、そこを解決する術を人類はまだ見つけられていないと思うんですよ。100年前よりも確かに世界は平和な方向に向かっているとは思うけど、でもそれは“平和である”と言い切れる世界とはほど遠くて、まったく不幸な世界が今まさにほかの場所ではたくさん存在するので。そういうものがあった上で今の自分たちの生活の安定があって、裏側にはその犠牲になっている世界があるかもしれない。そういったものは、これから未来に向けて考えていかなきゃいけない問題だなと思います。

──前作『#3』はちょうど震災の年に出たアルバムで、その時の世相に対して非常にストレートなメッセージを発していましたよね。今回そこまで直接的な表現はないと思うんですけど、より深くなったというか、普遍性を増したというか、そういう感じは強くします。

上田:今回『#』『4』を作ったのは、明らかに『#3』があったからで、あれがなかったら「The Klock」もできてないし、『#』『4』もできてないんで。それは確実にそうです。言葉の表現方法は、あの時は直接的だったけど、あの時にああいう表現をしたから今回は少し違うものになったと思うし。でも流れとしては、あそこからつながっているものだと思います。

──「WILL」はどうですか? 歌詞としては、ポジティヴな言葉で埋め尽くされた力強いものですけども。

上田:これは本当にそうですね。いわゆる希望というものに向かって行く未来をそのまま打ち出した曲です。もともとは音から来ているイメージなんだけど、アルバムの中でもわりとヘヴィなテーマが続いてきてるところで、突き抜ける存在がここで1曲でも必要だなと思ったので。

──「DISTRAP」は?

上田:これは基本的には歪んだリズムトラックがベースになって、AA=的なヒップホップというか、もともとTAKAがヒップホップを愛する人間なんで、彼の土俵に乗って作ってみたって感じです。これはこれで面白いチャレンジでしたね。

──ありそうでなかったですよね。ここまでラップがフィーチャーされてる曲は。

上田:ここまではなかったですね。

──歌詞は聴き手を煽り立てるような、行動を促すような激しいものです。

上田:『#』の曲は常に問題提起を含んでる感じはありますね。

──そして「PRG」。このヴォーカルはボカロみたいに聴こえるんですけど。

上田:ボーカロイド的な合成音声ですね。テーマはそのままで、プログラムされたヴァーチャルなもの。インターネットがこれだけ中心になると、それが今の社会そのものだと思うので、それがテーマになってます。それについてはいいとか悪いとか便利だとか、いろんな面があるんだけど、そこに含まれてる問題があって。それは1曲目「DRONE」にも通じるんだけど、“ドローン”は人が乗らないで遠隔操作できる戦闘機のことで、それもプログラムされた世界の中に存在するものなので、そういう問題も含まれてます。

──ヴァーチャルとリアルの境目というのは、どんどん曖昧になってきてますよね。怖いくらいに。

上田:ドローン技術はすごいですよ。実際に使えるレベルにどんどん来ちゃって、中東とかで使われているので。ロボット対人間というような話にどんどんなってきてる。

──そういうSFは昔ありましたけど、そんなに悲劇的な話ではなかったように思うんですけどね…。そして『#』のラスト曲は「KILROY WAS HERE」。

上田:これも社会の闇の部分の話なんだけど、噂であったり、正体不明なものに踊らされる世界がテーマです。サウンド的には歪んだ音で、ダブステップ的なリズムで、ダンスミュージックをフィーチャーしたものです。

──この曲に限らず『#』の曲は、サウンドだけ取ればライヴでガンガン上がるタイプの曲が多いと思うんですけど、歌詞は非常にヘヴィですよね。そのへんのバランスはどうですか。リスナーには歌詞をちゃんと聴いてほしいのか、サウンドだけで上がってもらってもいいのか。

上田:一番最初はサウンドの衝撃力というものをすごく重要視してるんだけど、そこで歌詞としてキーワード的なものを常に投げかけてるつもりなので、それぞれ受け取った人が自分の中で見えてくるものを確認してもらえれば。自分が思うことをそのまま受け止めてもらう必要はないし、自分が投げかけるのはあくまでキーワードだと思っているので。

──『#』全体に言えることとして、現代的なダンスミュージックの要素がかなり強調されてると思うんですけど、そこは意識的にやってます?

上田:そういう意味で今回は、『#』のほうにはダンスミュージックの要素を入れておこうと思って、ヒップホップだったりドラムンベースだったり、エレクトロ、ダブステップとか、意識してやってます。ただ普段はそんなに考えないですね。意識して常にそれを取り入れようとかはないです。今回は特別にやってみたという感じですね。

取材・文●宮本英夫

『#』
2013.11.27発売
VICL-64081 \2,000(tax in)
1.DRONE
2.WARWARWAR -# Mix-
3.VICIOUSNESS
4.WILL
5.DISTRAP
6.PRG
7.KILROY WAS HERE

『4』
2013.12.11発売
VICL-64082 \1,800(tax in)
1.HUMANITY2 -4 Mix-
2.||:Repeat:||
3.The Jam
4.Path of the arrow
5.Lasts
6.The Klock (New Recording)
7.Endroll

<AA= TOUR #4>
2014年1月23日(木) 梅田CLUB QUATTRO
[問]GREENS 06-6882-1224
http://www.greens-corp.co.jp
2014年1月24日(金) 名古屋CLUB QUATTRO
[問]Jail HOUSE 052-936-6041
http://www.jailhouse.jp/
2014年1月26日(日) 仙台JUNK BOX
[問]G.I.P. 022-222-9999
http://www.gip-web.co.jp/
2014年2月9日(日) 恵比寿LIQUIDROOM
[問]クリエイティブマンプロダクション 03-3499-6669
http://www.creativeman.co.jp/

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◆ビクターエンタテインメント
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