【インタビュー】第2回 三浦大知と雑談をしよう。後編 驚愕の“無音ダンス”秘話
── ツアーってどこから決めていくのか、という話も聞きたいんですけど。知らないじゃないですか、僕らファンって。たぶん日程は最初に出ると思うんですけど。
大知:そうですね。
── その後、ドーンとテーマを掲げるようにタイトルが先なのか、それとも“こういうことをしたい”ということが先なのか、とか。
大知:あぁ~。僕は、“やること”が先ですね。タイトルに引っ張られることはあんまりないかもしれないですね。
── “やること”っていうのは、具体的に「この曲とこの曲をやりたい」とか?
大知:いや。今回も、ライブのコンセプトはこういうのにしたい、というのがあって。横浜アリーナとか今回のツアーだったら、初めてMC無しでやりたくて、ライブとミュージカルの間みたいな、三浦大知にしかできないショウにしたい。新曲をいっぱいやりたい。あと、ドアをモチーフに使いたいっていうのも、最初から自分のイメージとしてあったので。いろんなエントランスになるようなドアをテーマにストーリーが展開していくのがいいな、と思っていて。こういう曲順で、こういうふうにしたいと思っているんですけど、「どうですか?」っていうのを僕が出して。で、それをダンサーとかスタッフの皆さんと話しあって、「ここはもっとこういう曲を入れたらどうかな?」とか「こういう雰囲気だったらこういう演出を入れたらどう?」っていうのを、みんなで相談して作っていく感じです。
── 大知くんが最初に出すんだ。
大知:そうです。セットリストとか、全部、自分で1回、最初に叩き台というか、「こういうことがやりたい!」というのを出します。とくに今回のライブだったら、無音で踊るみたいなのは、一番最初に出ていたアイデアだったので。「ここは無音でやります」みたいなことを全部書いて。
── あの無音のダンスは、僕は見ていて、音がないところにも三浦大知は音楽があるんだなぁ、と感じたんですよ。でも、なぜあれをしようと思ったんですか?
大知:うーんと……僕たちの感覚でいうと、そんなに新鮮なことじゃないんです。
── え、ええっっ!?
大知:リハーサルとかやってるときに、最初はカウントとかでやっていて、そのカウントがどんどんなくなって、違う曲の演出の話をしながら、その別の曲の振り付けの確認は進行している、みたいなことがあるんですよ。踊りながら「あそこの演出こういうのどうかな?」「いいんじゃない?」みたいな。音が流れてなきゃ踊れない、みたいなことはないよなぁと思って。で、その時に「でも観に来てくれるみなさんにとってはすごい新鮮かも」と思って。で、歌でアカペラはあるじゃないですか? だから、ダンスにもあっていいだろうなと思って。その、無音で踊るダンスが曲のイントロになってるっていうのは面白いんじゃないかなと思って考えました。
── じゃあ、ダンサーさんや大知くんにとっては、よくあること。
大知:リハーサルでそういう瞬間はある。でも、そこだけをピックアップしてやるっていうことはないですけど。
── 観ている側としては驚きますよ。
大知:だから、あれはあのダンサーじゃないと、できなかったんじゃないですかね。ほんとに音を聴いてないんで。
── そうそう。イヤモニとかでダンサーさんも聴いてるのかなと思って、僕、ダンサーさんの耳を凝視してたんですよ。でも、イヤモニしてないなって。
大知:ダンサーは僕の動きを見て……感覚で。
── すごいな。あれは、ここ最近で一番驚いた。
大知:ほんとですか?(笑) ありがとうございます。
── あれを見ながら、前のインタビューで大知くんが、「歌はもちろん歌うんだけど、なぜそこにダンスがないとダメなのかっていうのを考えながら振りを付けている」って話をしてくれたを思い出して。ダンスがないとダメなものの究極がこれなのかって。ダンスしかない。音すらない。
大知:はい。そうですね。
■ ミーハーな気持ちで行ってはいけないライブリハーサル
── 実はリハーサル中のスタジオにも初めて行かせていただいて。すんごい緊張感で。
大知:そうですか?(むせながら笑) そんなに緊張感ありましたっけ。あの日は通しだったんですよね、確か。
── そうそう。僕はこの場にいちゃいけないんじゃないかって。
大知:すみません、ちゃんとご挨拶もできずに。
── いやいや。最初は、「大知くんのライブリハなんて滅多に見られないぞ、ラッキー☆」みたいな感じでいたんですけど。で、スタジオの前室で、ドアのガラスの向こう側に大知くんが見えて、「いやー、このドアがまさに“Door to the unknown”ですねー。」なんてスタッフの方と浮かれながら話して。でもいざ入ったら、空気感がピシーッとしてて(笑)。で、途端に「(ここにいていいのかなぁ……)」と。
大知:ぜんぜん大丈夫でしたよ(笑)。
── や、でもそのライブリハを見てて気づいたのが、張り詰めた空気感の中でも、バンドメンバーの方々がみんな楽しそうにリハしてたんですよね。
大知:楽しいですよ、リハーサル。好きです。
── どういうところが好き? 楽しいですか?
大知:自分のライブって見てみたいなと思うんです。ま、一生叶わないんですけど。でも、作っている中に自分がいる……もちろん自分が作っているんですけど。なんかちょっと、先に自分たちがライブを楽しんでる感覚というか。そういうのはすごい楽しいですよね。
── うん、大知くんも含めて、みんな楽しそうだなぁ、と思いました。でも、この空気はあまり長居はしないほうがいいな、と。
大知:そうだったんですね(笑)。すみません、気を使わせてしまって。
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