【ライブレポート】1万2000人が興奮、熱狂、そして感動。三浦大知が初の横浜アリーナ単独公演を開催。アルバム11月決定もサプライズ報告

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誰もが驚愕したのは、「Love is like a bass line」から「Inside Your Head Remix」がメドレー的に披露された後。センターステージにて、まったくの無音の中でのダンサーズとの乱れのないダンスフォーメーション。あまりのシンクロ率にクリック音でも聴いているかと思いきや、ダンサーズはイヤモニも装着していない。つまり本当に彼らは、大知と呼吸を合わせるように、無音の中でビートを、音を表現してみせたのだ。

「自分で振り付けしてる時とかに、その、ただただ踊るんじゃなくて、じゃあなんでここにダンスが必要なのかというか、メロディーや歌詞と一緒で、やっぱり意味合いがないとダメだと思うんで。「このダンスがあるからこの言葉が入ってくる」とか「このダンスがあるから風景が見えて、よりこの歌の真意が伝わってくる」とか。聴こえなかった、音だけで聴いていたらわかんなかった音が、ダンスと一緒に見てたら「あ、こんな音が入っていたんだ」って気づくとか。ちゃんとそこがリンクしているようにダンスが存在していないとダメだな、っていうのは思いながらいつも創るようにはしてますね。」(2013-02-18 BARKS掲載 【インタビュー】三浦大知と雑談をしよう。後編 「みんなの“気づき”になりたいですね」より)

過去、こんなことを語ってくれた大知だったが、今回、ツアーを通して披露された無音ダンスは、「ダンスによって音を感じることができる」「音のない空間でも音楽は存在している」「音楽は耳で聴くだけのものではない」と、いう、ある意味で我々の常識をも覆すパフォーマンスだった。

特効の銀テープが放たれての「GO FOR IT」。ラストスパートといいながらも、歌声は衰えなければ、動きも疲れを見せない。「もっとこい、もっとこい」と言わんばかりに、激しく胸を叩く仕草で煽っていく。

そしてアカペラでの「Two Hearts」。1万2000人が声ひとつ出さない、静寂の中に響く大知の歌声。そして本編ラストは、これまた未発表曲の「Listen To My Heartbeat」。圧倒的な声量と表現力を存分に発揮したステージに、思わず息を飲む。会場を熱狂に包み込んだ<DAICHI MIURA LIVE TOUR 2013-Door to the unknown->本編は、最後、エモーショナルに歌い上げられて、静かに幕を閉じる。いや、ドアが閉じられる。

「アンコールありがとうございます。<Door to the unknown in 横浜アリーナ>。最高だよ。たくさんのかた、あつまってくださって、本当にありがとうございます。せっかくアンコールをいただいたので、これまでのたくさんの出会い、そして、今日のみなさんとの最高の出会いに感謝して。この曲。」

アンコールは、この日、集まってくれたファンや、ツアーを通して会場に足を運んでくれたすべての人たちに感謝する「Your Love」から。心地よいビートに身を委ねながら優しさに包まれる横浜アリーナ。そして、直後のこの日最初にして最後のMCコーナーで、ファン歓喜の報告がなされることになる。

「三浦大知です。横浜アリーナ、すごいね。いや、横浜アリーナに集まったみなさんがすごい。本当に最高です。横浜アリーナですよ。奥の奥の奥の奥まで、たくさんの方、集まってくださってありがとうございます。今から本日1回目のMCです。ここまで長かったですね。「いつしゃべるのかな?」 ずっとしゃべらない(笑)。まぁまぁまぁ、いっても自分で考えたライブなんですけど。今回は、Door to the unknown。未知への扉となっております。未知への扉というタイトルだけあって、今まで一番挑戦した、チャレンジした内容の、すごくこいライブだったんじゃないかなって思っています。ずっとMCなしで、突っ走って、そんな挑戦的なライブを、初めての横浜アリーナでやっていいものか。悩んだりしたこともありました、正直。ですけど今日、まぁ、1曲目飛んでましたけど。ステージの上を飛んで、すごいですよ、飛ぶって。もう、ものすごいみなさんの顔が綺麗に見えて。みなさんの顔を観た瞬間に、今日は大成功だなと思いました。」

「今回は一番チャレンジしたライブということもありまして、未発表曲をね、たくさんやらさせていただきました。タイトルも言わずにやって、ほんと申し訳ございません。何の説明もなしにね。ほんと申し訳ないなと思いながらも。でも今回は、みなさんの未知の部分、新しい部分、まだ未開拓な感覚とか感動。そういうものに一歩、踏み込めるライブにできたらいいなと思っていたので、そのひとつの刺激になればいいなと思って、今回は未発表曲をたくさんやってきました。そして、その未発表曲をやった理由。今言ったのはひとつ。もうひとつは、もうひとつの理由は……アルバムが出ます!」

突然のアルバムリリース決定の報告に大歓喜の横浜アリーナ。大知は「今回のアルバム、最高傑作じゃないかなと思っています。」と、早くも自信を覗かせる。なお、アルバムのリリースは、11月を予定しているとのこと。

ラストは再び未発表曲。炎が吹き上がるステージで8人のダンサーズと熱く「I'm On Fire」。最後にドアが開けづらかったのは、ご愛嬌。アルバムリリース決定というサプライズ発表もあり、とにかく三浦大知のライブらしく大盛り上がりのまま、初の横浜アリーナ公演は大成功で終了した。

  ◆  ◆  ◆

終演後「細かくみると反省点もあるけど、全体的には満足。」と三浦大知自ら話してくれた横浜アリーナ公演。それはステージ上の大知の表情を見れば、観客席からも一目瞭然だった。そして同時に、今回のツアーは、「いい意味で自分の限界と可能性を知れた、挑戦的なライブだった。」という。その言葉はつまり、三浦大知の限界と可能性は、“こんなもんじゃない”ということ。なお、動員数だけで見れば、横浜アリーナ公演を行なった三浦大知が次に目指すことになるステージは、さいたまスーパーアリーナ、ということになる。が、きっと大知はこれも実現させてしまうのだろう。

さあ、Door to the unknownのその先を想像する時間だ。今回のツアーに足を運んだ人なら、横浜アリーナ公演に参加した人なら、目を閉じれば未来のヴィジョンが瞼の裏に浮かび、大知を呼ぶ大歓声が聞こえることだろう。

奇しくも、三浦大知の横浜アリーナ公演が行なわれた9月8日早朝、2020年の東京オリンピック開催が決定した。そこで、大知に「2020年、建て替えられた新・国立競技場で国家斉唱する姿を想像した。」と、伝えてみた。すると「いいですね。歌いたいですね。あはは。」と、大知は笑いをひとつ。

しかし、あれだけの激しいライブを展開したあとで、記者のこんな他愛もないトークにも付き合ってくれる。

こういうところも、三浦大知の魅力だったりする。


text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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