【インタビュー】THE MACKSHOW、“ロックンロール”という「五・七・五」で言い切る美学
── アルバム『狂騒天国』の収録曲についてお聞きしますが、「リンカーン・コンチネンタル」は、憧れのロック・ミュージシャン像を歌ってるんでしょうか?
コージー : そうですね。ビッグ・サクセスしてリンカーン・コンチネンタルを手に入れるミュージシャンをイメージして歌ってます。
── 歌い方も憧れのミュージシャンを意識してますよね?
コージー : 意識してますよ。僕、それ以外ないですから。
一同 : ははははは!
── 曲は全部このアルバムの為に新たに作られたんですか?
コージー : そうですね。ただ一回作ったんですけど、なんかしっくりこなくて、作り直したんですけど。
── え?アルバム全部を、ですか?
コージー : うん。全部ですね。
トミー : 一回レコーディングまでしてから。
コージー : 一旦録り終ったんだけど、技術的にも音質的にも、もう少しこうしたいとか。演奏のハジけ方とか、グルーヴ感だとか、標準には達してるんだけど、もう少しいかないといけないんじゃない? っていうのを感じて。それはミックスダウンじゃどうにもならないんで、もう一度やろう、と。曲を入れ替えたり、アレンジし直したり。演奏を残した曲もありますけどね。レコーディング・レベルの問題も含めてやり直して。
── そこはメンバー3人でじっくり話し合って?
トミー : まああっさり、もう一回やろう、と。「うん、駄目だね」って(笑)。
一同 : ははははは!
バイク : 短い期間でガーって録ってるんで、自分でも録れた音がどんなものなのかもわかってなくて、次の曲次の曲ってやっていくんで、それで改めて録り終ったものを聴いてみると、「う~ん」って。
── ちょっと違うんじゃないか、と。
コージー : まあそんなことをやってたらね、何十年もかかっちゃうけどね。ビーチボーイズじゃないんだから(笑)。いつまでプリプロやってんねん、ていう。
── 今回のアルバムがビーチボーイズでいう所の『Smile』になりかけた、という。
コージー : いやあ、本当危なかったです(笑)。
一同 : ははははは!
コージー : 出せないじゃん、みたいな(笑)。でもそれじゃあ駄目なんで。一回仕切り直して、バーっと、爽やかに出来た、というところですね。それを突き詰めると、『Smile』になっちゃいますからね(笑)。
── こだわり抜いた結果出来た音は、単純に楽しめるロックンロールで。それがカッコイイなと思いました。
コージー : まあ、そこを求めてたのかな、という気はしていますけどね。
── そしてアルバムのビジュアルの弾けっぷりについてお伺いしたいんですが。
一同 : ははははは。
トミー : これでも、いつも同じ空気感を維持するのが大変なんですよ。
コージー : うちのお袋なんかが見ると、「毎回同じ」っていう感じなんですけど。でも毎回この中からはみ出ないんだけど、違う、という(笑)。
バイク : 小さい枠の中からはみ出ないように、いろいろ表現する、という。
コージー : 合成とか、角度を散々試した上で、この『狂騒天国』のジャケットは一発で撮ったんです。一発で撮れた嬉しさがありますね(笑)。だってバイクをまたがる為に上げた足も、ずっとそのままにしてないといけないし。割と40過ぎるとキツいんですよ(笑)。顔もこの顔作ったまま止めてないといけないし(笑)。
── なるほど、結構大変ですね(笑)。
コージー : まあただ、それがいったい何を表現しているのかというのはね、もはやわからないんだけど(笑)。
一同 : ははははは(爆笑)!
── もはやわからない(笑)!。
コージー : (笑)わからないんだけど、とにかくこうでいたいんだ、というね。
── 『狂騒天国』というにっかつ風のロゴも含めて、そこに理由は……。
コージー : 無い(キッパリと)!
一同 : ははははは!
コージー : 裏ジャケは、「もうヘルメットいらないや」って言って投げてる写真なんですけど、自然に撮れた写真で、今の自分達を表していると思ったんで使いました。
── 10年目にして吹っ切れて、もう一度一からロックンロールやるぞ、という意思表示と捉えて良いですか?
コージー : そうですね。そういうところがジャケットで表現できたと思います。
── あと気になるのが、「昭和八十八年」とか、昭和で統一された年代の表記なんですけど、文章を書く立場からすると、現代表記に置き換えるのが、正直非常に面倒臭いんですが。
一同 : ははははは!
コージー : いや、やっぱりこう、昭和が終わってないんでしょうね、自分の中で。あと、こうやってしつこく昭和を使っていると、「昭和八十八年…え~と、今年?」みたいに思ってくれる、キャッチとしてひっかかるものがあるかな、というね。だけど、ある程度の年齢の人は、「あれ?昭和って何年まであったんだっけ!?」って(笑)。
── ははは。「真面目か!?」っていう(笑)。
コージー : 小さいお子さんをお持ちのファンの方は「昭和ってなに?」みたいになったり。レコードを見ても、小さい子はなんだかわからなかったりだとか。だけど逆に、ヒップホップをやっているような中高生がレコードを買い漁っていたりもするし、興味の対象っていうのに繋げて行けるものがあったらいいかな、という1つの方法です。