【インタビュー】コブクロ、シングル「One Song From Two Hearts」リリース「新曲がたくさんできたことで“あの休養期間は充電でした”って、胸張って言える」

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■「ダイヤモンド」はお互い足並みを揃えていくのが大事な曲──黒田
■一旦コブクロを閉じた時の気持ちを僕は強烈に覚えていて──小渕

──ダブルAサイドなので、もう1曲の話もしましょう。「ダイヤモンド」は、今年の夏の高校野球の応援ソングになってます。

小渕:これも、12月のメロディ作りの時にできていた1曲です。サビで♪ラララ~ラララ~って、絶叫してるところが気持ちいいメロディだったので、しばらく「絶叫(仮)」がタイトルだったんですけど(笑)。イメージは、デビュー2~3年の、UKロックのバンドのヴォーカルが、エレキを弾きながら歌ってるみたいな、初々しい感じと爆発力がイメージとしてありました。その頃に高校野球のテーマのお話をいただいて、どの曲がいいかな?と思った時に、「絶叫(仮)」がうまくハマッたんですね。だいたいワンコーラスできた時に、高校野球の映像を見ながら聴いたら、恥ずかしながら、ポロッと涙が出てきたんですよ。それで、“ああ、これは大丈夫だな”と。

──なるほど。

小渕:そのうちに“ダイヤモンド”というテーマが出てきたので、反対に“石ころ”とか、そういう言葉も出てきて、自分で“うんうん、そうだな”と思いながら書いていきました。“この子たちは石ころなんだ。だけど、ダイヤモンドになっていくんだ”と。傷ついて、転んで、磨かれていく中で。印象的なシーンとして入れたかったのは、袖口やグローブで涙をぬぐう瞬間の、あの何とも言えないシーンが……いろんなスポーツがあるけれど、ああいうふうにポロッと涙を流すスポーツって、意外とほかにないかな?と。サッカーはもう少し感情表現が大きい気がするし。高校野球は、静かに涙を流すイメージがあるんですよね。

黒田:礼に始まり礼に終わるからね。高校野球は。

小渕:そういうことね。

黒田:そりゃそうですよ。徹底的にしつけられてますから。

小渕:そういう美学みたいなものも、美しいなと思ったし。そうしていくうちに、一番最後に“さあ走り抜けろ、ダイヤモンド”という歌詞が出てきた。それも偶然というか、忘れていたんですけど、そういえば野球のグラウンドって、ダイヤモンドって言うよな?って。

──あ、偶然なんですね。それありきで書き始めたのかな?と思ったんですけど。

小渕:それが違うんです。たまたまで、ラッキー!みたいな(笑)。あれは僕の中では、石ころだった子たちがダイヤモンドになって、輝きながら“さあ走り抜けろ”という気持ちで書いていたら、偶然意味が重なったので。面白いことが起こったなと。“咲くLove”と同じぐらい、ニヤッとしました。

──自分で自分にうまい!と(笑)。

小渕:そういうのは、ニヤッとしちゃいますね(笑)。それと、“頑張れ頑張れ”という歌詞があって、今までこういう言葉を使わずに来たところがあるんですけど、今回は使わないと駄目だろうなと。彼らを見てて何を思うか?というと、“頑張れ”しかないんですよ。僕らに言える言葉はそれしかない。応援する人は、ただひたすらに“頑張れ”と思う、だから“頑張れ”と歌おうと。

──しかも、目線が敗者により強く向いてますよね。勝者ではなく。

小渕:2サビの、“終わりはいつでも待ってる 君の前に”という言葉は、高校野球もそうなんですけど、僕らも自分たちで休養することを決めて……“ここで一回やめよう”と思ったら、そこで終わってしまうんだけど、“いや、ちょっと待て”と思って、みんな頑張ってるわけじゃないですか? そうやって一旦コブクロを閉じた時の気持ちを、僕は強烈に覚えていて。彼らは勝負の世界で、“このボールをキャッチできなかったら負け”ということがわかっている、ギリギリの状態で戦っている。いつでも終われるし、休もうと思えばすぐ休める。でも簡単には負けられない。“終わり”という言葉はネガティヴに聞こえますけど、そうではなく、ポジティヴに変換していくという。彼らのギリギリの緊張感をどう表現しようかな?と思いながら選んだ言葉ばかりですね。

──自分と重ね合わせながら。

小渕:だから、野球の歌なんですけど、いろんな人にとっての勝負というものに通じるような気がします。たとえば、会社を急にやめさせられたりとか、学校をやめなきゃいけないとか、こういう時代の中で、きっといろんなことがある。そういう時に思うことは何だろう?と。僕はそういう経験をしたことがないので、実感がなかったんですけど、この歌を作ることで、ものすごく勉強になりましたね。言葉のチョイスが、自然と変わった気がします。揺るぎない鉄骨のようなものではなく、ゆるんだり外れたりしながらそれでも何かを守っていくような、いい意味でアラのある、人間らしい歌ができたと思います。それは今回の新曲のすべてに言えることなんですけど。

──黒田さんは、「ダイヤモンド」については?

黒田:僕も昔、ちょっと野球をやっていたので。甲子園を目指す人たちへの思い入れはすごくあるので、入っていきやすかったですね。ただ一番難儀だなと思ったのは、サビがユニゾンで、ちょっとしたズレがすごく気になるので、大胆かつ慎重に歌いました。そこが一番大事かな。お互い足並みを揃えていくのが大事な曲ですね。

──そして、すでに次のアルバムのタイトルも『One Song From Two Hearts』だと、発表しちゃいましたね。この冬ということ以外にまだリリース日も決まってないうちに。

小渕:何でそうしたか?には理由があって。ツアーが終わって、アルバムが完成するまでに、もっといいタイトルが浮かべば変えようと言ってたんですよ、最初は。でも、それは無理だなと。『One Song From Two Hearts』よりもアルバムに適した言葉が、浮かぶはずがない。だったら、ツアーの段階でアルバムタイトルも発表して、「これは僕らのアルバムであり、みんなのアルバムであり、今日のライヴを忘れないでほしい」ということで、みんなで一つの勲章を掲げるような意味合いで、「アルバムタイトルはこれです」と言うことにしたんですね。

──目標を明確に定めるというか。

小渕:そのほうがアルバムも作りやすいし、ブレないとも思ったので。めったにないですけどね。こんなこと、十何年に一回だと思いますけど。

黒田:曲は出揃っているんで、全体のイメージは見えてきています。細かい作業を抜きにすれば、もう7割ぐらいは出来かけているんですよ。いつもみたいに「あと1曲足りない」とかいうのもないし、どっちかというと「どれを入れようか?」「これは入れられるかな?」という、ぜいたくな悩みがあるくらいで。タイトルも決まっているし、あとはジャケットぐらいですね。気楽なもんです(笑)。こんなに前倒しでアルバムが進んでいるなんて、人生で初めてです。

──楽しみにしてます。変わらぬコブクロらしさと、変わってゆくコブクロらしさの、両方を期待してます。

小渕:やっと、「あの休養期間は充電でした」って、胸張って言える気がするんですよ。こうして新曲がたくさんできたことで。これで出来なかったら、ただの休養で終わってたと思うんですけど、ちゃんと充電でしたと今は言えます。

取材・文◎宮本英夫


ダブルAサイド・シングル
「One Song From Two Hearts/ダイヤモンド」
7月24日(木)発売
WPCL-11531 1,200-(Tax. incl)
M1. One Song From Two Hearts 
M2. ダイヤモンド  
M3. ラブレター
M4. One Song From Two Hearts (Instrumental)
M5. ダイヤモンド(Instrumental)  
M6. ラブレター(Instrumental)
<初回プレス特典>
・ジャケットデザインステッカー封入
・“One Song From Two Hearts"キャンペーン 連動応募施策シリアルコード封入
※初回プレス分は在庫が終了次第、通常仕様に切り替わります。

◆コブクロ オフィシャルサイト
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